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ヴァイオリン協奏曲第2番 嬰ハ短調 作品129

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独奏者指揮者オーケストラ録音年レーベル番号備考評価
FEDOTOV, MaximVEDERNIKOV, AlexanderRussian State Symphony Orchestra1995Triton17 006
GOTKOVSKY, NellKAZANDJIEV, VassilBulgarian National Radio Symphony1987Pyramid13493
HOPE, DanielSHOSTAKOVICH, MaximBBC Symphony Orchestra2005Warner2564 62546-2
KALER, IlyaWIT, AntoniPolish National Radio Symphony Orchestra1996Naxos8.550814
KHACHATRYAN, SergeyMASUR, KurtOrchestre National de France2006NaiveV 5025
KOGAN, DmitriSHOSTAKOVICH, MaximTchaikovsky Symphony Orchestra2005DelosDE 3363
KOTMEL, BohumilALTRICHTER, PetrCzech Philharmonic Orchestra1996SupraphonSU 3178-2 031Live(15 & 16 Feb.)
KREMER, GidonOZAWA, SeijiBoston Symphony Orchestra1992DG439 890-2Live(Apr.)
MORDKOVITCH, LydiaJÄRVI, NeemeScottish National Orchestra1989ChandosCHAN 8820
OISTRAKH, DavidORMANDY, EugeneLondon Symphony Orchestra1967BBC LegendsBBCL 4267-2Live(19 Nov.)
OISTRAKH, DavidKONDRASHIN, KirilMoscow Philharmonic Orchestra1968VictorVICC-2020eurodisc-GD 69084, Russian Disc-RD CD 11 025, Dante-LYS 568-573, Icone-ICN-9408-2, Melodiya-C 10-06907-08(LP, with Talk between D. Oistrakh and D. Shostakovich), Victor-VIC-2067(LP, with Talk between D. Oistrakh and D. Shostakovich), Melodiya-MEL CD 10 01065
OISTRAKH, DavidSVETLANOV, EvgenyUSSR State Symphony Orchestra1968intaglioINCD 7241Live(22 Aug.), BBC-BBCL 4060-2
OISTRAKH, DavidROZHDESTVENSKY, GennadyMoscow Philharmonic Symphony Orchestra1968Brilliant7620Live(27 Sept. or Apr.?), Melodiya-C10-14091-92(LP), Brilliant-8128
POCHEKIN, IvanURYUPIN, ValentinRussian National Orchestra2019ProfilPH19073
SCHEUBLÉ, MarieDEPREIST, JamesOrchestre Philharmonique de Monte-Carlo1995ArionARN 68326
SHOJI, SayakaLISS, DmitriUral Philharmonic Orchestra2011MirareMIR166
SITKOVETSKY, DmitryDAVIS, AndrewBBC Symphony Orchestra1989Virgin ClassicsVJCC-23090
STEINBACHER, ArabellaNELSONS, AndrisSymphonieorchester des Bayerischen Rundfunks2006OrfeoC 687 061 A
TETZLAFF, ChristianSTORGÅRDS, JohnHelsinki Philharmonic Orchestra2013OndineODE 1239-2
TOMASEK, JiriMACKERRAS, CharlesPrague Radio Symphony Orchestra1982PragaPR 250052Live(Feb.)
TRETYAKOV, VictorKEGEL, HerbertSächsische Staatskapelle Dresden1969WeitblickSSS0058-2Live(10 Oct.)
TRETYAKOV, VictorJANSONS, MarissState Symphony Orchestra of the USSR1979RevelationRV10108Live(28 Dec.)
TRETYAKOV, VictorFEDOSEYEV, VladimirMoscow Radio Symphony Orchestra1983Brilliant93005Live(3 June.)
VENGEROV, MaximROSTROPOVICH, MstislavLondon Symphony Orchestra1996Teldec0630-13150-2
WILKOMIRSKA, WandaMICHNIEWSKI, WojciechWarsaw Philharmonic Orchestra1979MuzaSX 1749LP
ZIMMERMANN, Frank PeterGILBERT, AlanNDR Elbphilharmonie Orchester2015BISBIS-2247SACD. Live(29 & 30 Oct.)

M. Fedotov, A. Vedernikov/Russian State Symphony Orchestra
第1楽章: 13'00"
第2楽章: 9'00"
第3楽章: 8'14" 
非常に立派な演奏。技術的には全く安心して聴くことができるし、フェドトフの音色もこの曲によく合っている。この曲の美しさが素直に表現されているのが大変好ましい。欲をいえば、もっと背筋が凍るような緊張感が欲しい部分もある。
N. Gotkovsky, V. Kazandjiev/Bulgarian National Radio Symphony
第1楽章: 12'31"
第2楽章: 9'26"
第3楽章: 8'00" 
全体にリズム感が悪く、雑な仕上がり。中では第2楽章が美しい。後半でのオーケストラのグリッサンドは素晴らしい。オーケストラが曲にふさわしい響きを出しているのに対し、ソロはあくまでマイペース。技術的にも音楽的にも曲に負けてしまっている。
D. Hope, M. Shostakovich/BBC Symphony Orchestra
第1楽章: 13'52"
第2楽章: 10'11"
第3楽章: 9'00" 
マクシーム率いる野性味たっぷりのオーケストラがまさに血沸き肉踊る雰囲気を醸し出していて楽しい。独奏はやや線が細く、それゆえに音楽に隙間が空いてしまう瞬間があるのが残念。もっとも、弱奏部での音色の使い分けには結構凝っているので、独特の効果を発揮している部分もある。
I. Kaler, A. Wit/Polish National Radio Symphony Orchestra
第1楽章: 13'24"
第2楽章: 10'19"
第3楽章: 8'05" 
非常に真摯な態度で演奏されているのが好ましい。オーケストラに弱さが散見されるが、曲の持つ独特の雰囲気は素直に表出されている。ソロの切味に比べて、オーケストラの鈍さが不満と言えば不満。
S. Khachatryan, K. Masur/Orchestre National de France
第1楽章:  
第2楽章:  
第3楽章:   
達者な技術に基づいたやや粘り気のある深い音色は、なかなかに魅力的。特に、第2楽章で聴かせる弱音の美しさはとても印象的である。ただ音楽そのものは、独奏、オーケストラ共にやや平凡。落ち着いた音楽の運びは貫禄十分だが、もう一歩踏み込んだ狂気を求めたいところ。
D. Kogan, M. Shostakovich/Tchaikovsky Symphony Orchestra
第1楽章: 14'42"
第2楽章: 9'45"
第3楽章: 9'14" 
オーケストラの、どこか節操のない存在感が際立つ演奏である。情緒に流されがちではあるが、スケール感にも不足していない。終始生理的な快感に満ちた響きが繰り広げられるが、第2楽章などでは一層の官能性を求めたいところ。作品への真摯な姿勢が光るコーガンのヴァイオリンは高水準であるものの、快刀乱麻を断つとは言い難く、残念ながら速い楽章では音楽がもたつく。
B. Kotmel, P. Altrichter/Czech Philharmonic Orchestra
第1楽章: 13'14"
第2楽章: 9'41"
第3楽章: 9'09" 
破綻している箇所はないが、譜面に書いてある音符を音にした、という以上のものは何もない。技術的なキレ味にも乏しく、敢えてこの盤を選んで聴こうという気には全くならない。
G. Kremer, 小澤征爾/Boston Symphony Orchestra
第1楽章: 13'55"
第2楽章: 9'34"
第3楽章: 8'20" 
クレーメルは相変わらずの巧さを見せ付けているが、彼独特の弾き崩しがこの曲にはあまりそぐわない。また第3楽章363小節の音を間違っているのも気になる。表現の踏み込みも中途半端で、全般に精彩に欠ける。柔らかいサウンドは耳に心地良いものの小澤の伴奏は一本調子で、ただただソツのなさだけが印象に残る。技術的な水準の高さにもかかわらず、音楽的には特に聴くべきところはない。
L. Mordkovitch, N. Järvi/Scottish National Orchestra
第1楽章: 12'58"
第2楽章: 9'36"
第3楽章: 8'13" 
オーケストラのアクの強い音色が素晴らしい。ソロはしっかりとしたリズム感で、この曲の持つ複雑な表情を見事に描き出している。非常に安定した演奏だが、時折力任せの汚い音がするのが残念。
D. Oistrakh, E. Ormandy/London Symphony Orchestra
第1楽章: 11'49"
第2楽章: 8'00"
第3楽章: 8'13" 
さすがに無疵とは言えないものの、独奏・オーケストラ共に自らが奏する音の意味を的確に把握した、完成度の高い見事な演奏である。オーマンディの指揮ゆえか、オーケストラが協奏曲らしい華やかさを持っているのが面白く、オーイストラフの他の録音とは少し異なる盛り上がり方に興奮を禁じ得ない。
D. Oistrakh, K. Kondrashin/Moscow Philharmonic Orchestra
第1楽章: 12'38"
第2楽章: 8'50"
第3楽章: 8'10" 
全ての面において理想的な演奏。オーイストラフも全盛期とは違った、少し枯れた音色がこの曲においてはふさわしい。リズムやディナーミクの扱いも完璧。文句のつけどころがない。各楽章のカデンツァの素晴らしさは筆舌に尽くしがたい。オーケストラも素晴らしい音色とリズム感でソロを十全に支えている。第2楽章の深く瞑想的で美しい音楽には、心を奪われてしまう。第3楽章での打楽器の強烈な音色は最高。
D. Oistrakh, E. Svetlanov/USSR State Symphony Orchestra
第1楽章: 11'24"
第2楽章: 7'52"
第3楽章: 8'11" 
オーイストラフは、何とこの曲を深く把握していることか。他の演奏者であれば単に走っているとしか思えないところでも、まるでショスタコーヴィチの自演を聴いているかのような錯覚を起こさせる。また、どんなに走ってもリズムが崩れないのは驚嘆に値する。圧巻は3楽章のカデンツァ。聴いていて窒息しそうになるほどの緊張感と勢いは最高。3楽章のはじめの方で間違えているところがあるなどライヴ特有の瑕もあるが、聴き終えた後の感動と充実感はもの凄い。
D. Oistrakh, G. Rozhdestvensky/Moscow Philharmonic Symphony Orchestra
第1楽章: 11'56"
第2&3楽章: 16'17" 
ライヴならではの熱気はもちろんあるが、それ以上に風格を感じさせるスケールの大きな落ち着きが素晴らしい。アンサンブルの乱れもあるが、それほど気にはならない。ロジデーストヴェンスキイの輝かしい伴奏も効果的で立派なもの。文句なしの名演である。
I. Pochekin, V. Uryupin/Russian National Orchestra
第1楽章: 13'13"
第2楽章: 10'46"
第3楽章: 9'29" 
可もなく不可もなくといったところで、あまり印象に残らない。オーケストラ共々、技術的な問題はないし、全体の解釈や細部の表情付けも極めて模範的。敢えて言えば、独奏ヴァイオリンの音色に艶や華がないとは思うが、決定的な欠点という訳でもない。奏者が発散する熱量が楽曲に対して十分でない、ということだろう。
M. Scheublé, J. DePreist/Orchestre Philharmonique de Monte-Carlo
第1楽章: 12'46"
第2楽章: 8'58"
第3楽章: 8'27" 
線は細いが、丁寧に美しく演奏されていて好感が持てる。スコアを素直に再現しているのが、この演奏の場合には良い方向に作用しているようだ。この曲の哲学的な側面よりは、生命感に満ちた美しさが前面に出ている。
庄司紗矢香, D. Liss/Ural Philharmonic Orchestra
第1楽章: 14'15"
第2楽章: 9'02"
第3楽章: 8'50" 
端的に言えば“地味”な印象。それはオーケストラの音色が大きく影響しているのだろうが、編成からも分かるようにスコア自体が志向している響きを理想的に音化していると捉えるべきだろう。ただし、呟きのような音の連なりの中に微妙な散漫さが感じられるのが惜しい。テンポ設定などの基本的な解釈はごく模範的で、奏者の威力を見せ付けるような豪華絢爛ささえ求めなければ、楽曲の真正な姿を聴かせてくれる立派な演奏として広く推薦に値する。
D. Sitkovetsky, A. Davis/BBC Symphony Orchestra
第1楽章: 12'31"
第2楽章: 9'40"
第3楽章: 8'03" 
特に取り上げる欠点はないのだが、何とも物足りない。せっかくきちんとした技術をもって、よく考えられた解釈で演奏しているのだが、どの音も真実味を持って響いてこない。オーケストラの表現力の弱さも大きな理由の一つだろうが、何よりこの辺りがシトコヴェツキイの限界なのかもしれない。
A. Steinbacher, A. Nelsons/Symphonieorchester des Bayerischen Rundfunks
第1楽章: 13'32"
第2楽章: 9'41"
第3楽章: 9'10" 
きちんと弾きましたという以上のものではない。安全運転そのものを否定するつもりはないが、音楽の振幅が小さくて、何も表現できていない。一方のオーケストラは独奏者とのバランスを考えてか、終始控え目。
C. Tetzlaff, J. Storgårds/Helsinki Philharmonic Orchestra
第1楽章: 13'50"
第2楽章: 10'09"
第3楽章: 8'02" 
基本的には過不足のない標準的な演奏である。これと言った特徴はないものの、独奏、オーケストラ共に確かな技術に裏打ちされた適切な表現が取られているので、雰囲気の良い立派な仕上がりとなっている。
J. Tomasek, C. Mackerras/Prague Radio Symphony Orchestra
第1楽章: 12'50"
第2楽章: 8'55"
第3楽章: 8'25" 
完全に技量不足。ソロもひどいが、オケもひどい。楽譜を追うのが精一杯で(それすらも満足には出来ていないが)、音楽を作る余裕など一かけらもない。アマチュアだって、もっとマシな演奏をするだろう。
V. Tretyakov, H. Kegel/Sächsische Staatskapelle Dresden
第1楽章: 13'02"
第2楽章: 11'14"
第3楽章: 8'56" 
ソロ、オーケストラともに真摯で的確な楽曲把握が傑出している。派手さはないものの、思索的な雰囲気は抜群。ライヴ録音にも関わらず技術面での不満は全くなく、録音状態が冴えないことだけが惜しまれる。
V. Tretyakov, M. Jansons/State Symphony Orchestra of the USSR
第1楽章: 13'44"
第2楽章: 11'42"
第3楽章: 8'39" 
ライヴのせいか、特に最初の方にアンサンブルの乱れも散見されるが、全体としては落ち着いた出来。ソロ・オーケストラともに音色が素晴らしい。安定した技巧でしっかりとした演奏に仕上がっている。ただ、曲の持つ複雑な表情を十全に表現しているとは、残念ながらいえない。
V. Tretyakov, V. Fedoseyev/Moscow Radio Symphony Orchestra
第1楽章: 13'23"
第2楽章: 10'41"
第3楽章: 8'29" 
張り詰めた緊張感と作品の内面に真摯に立ち向かう精神の力強さが際立つ秀演である。それでいて、どこか陽性な推進力に満ちているのはフェドセーエフの伴奏によるものと思われる。細かい瑕はあるものの、トレチャコフの自在で男くさい歌は非常に魅力的。
M. Vengerov, M. Rostropovich/London Symphony Orchestra
第1楽章: 14'37"
第2楽章: 10'51"
第3楽章: 8'07" 
技術的には特に申し分ない出来。しかし、ヴェンゲーロフ独特の粘った歌い方が、この曲にはややミスマッチな印象。伴奏のリズム感も今一つ冴えない。
W. Wilkomirska, W. Michniewski/Warsaw Philharmonic Orchestra
第1楽章: 14'08" 第2&3楽章: 19'08" 
作品の雰囲気をよく捉えた独奏は、技術的な面も含めてなかなかの好演。惜しむらくは線の細さ。各楽章のカデンツァなどは、少々神経質に過ぎる響きになってしまっている。一方、オーケストラに関しては不満こそあれ、満足すべき点はほとんどない。破綻がないというだけで、何かを表現するというレベルにまで音楽的な理解度が達していないようだ。
F. P. Zimmermann, A. Gilbert/NDR Elbphilharmonie Orchester
第1楽章: 12'36"
第2楽章: 9'02"
第3楽章: 7'37" 
非の打ち所がない技術的な完璧さに加えて、理知的でありながらも内面の燃焼度にも不足していないのが素晴らしい。ただ、全体にテンポが速過ぎるために、クライマックスに至る過程がおしなべて淡白なのが残念。

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Last Modified 2022.01.06

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