現在私が所有している録音の一覧です。ステレオまたはディジタルのスタジオ録音のCDをデフォルトとして表記し、それ以外の物については“備考”欄に記します。独奏者の名前をクリックすると、その録音についてのコメントを見ることができます。なお、★印による評価は演奏と録音の両方を考慮しており、5点満点です。また、ディスク番号をクリックするとジャケット画像が別ウィンドウに表示されます。
独奏者 | 指揮者 | オーケストラ | 録音年 | レーベル | 番号 | 備考 | 評価 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
BÁRTA, Jirí | SHOSTAKOVICH, Maxim | Prague Symphony Orchestra | 1999 | Supraphon | SU 3414-2 031 | Live(2 Mar.) | |
BRUNS, Peter | FLOR, Claus Peter | Berliner Sinfonie Orchestra | 1988 | Berlin Classics | 0120 012 | ||
CAPUÇON, Gautier | GERGIEV, Valery | Mariinsky Orchestra | 2014 | Erato | 0825646069736 | Live(3 June) | |
COPPEY, Marc | FOSTER, Lawrence | Polish National Radio Symphony Orchestra | 2019 | audite | 97.777 | Live(19 Dec.) | |
FEIGIN, Valentin | SHOSTAKOVICH, Maxim | USSR TV and Radio Symphony Orchestra | 1980 | Melodiya | C10-13769-70 | LP, Melodiya-C10-13769-70(LP) | |
GABETTA, Sol | ALBRECHT, Marc | Münchner Philharmoniker | 2008 | RCA | BVCC-31109 | Live(11-13 Jan.). | |
GERHARDT, Alban | SARASTE, Jukka-Pekka | WDR Sinfonieorchester | 2018 | Hyperion | CDA68340 | ||
GUTMAN, Natalia | KITAJENKO, Dmitri | Moscow Philharmonic Symphony Orchestra | 1986 | Live Classics | LCL 202 | Live(11 Nov.) | |
GUTMAN, Natalia | TEMIRKANOV, Yuri | Royal Philharmonic Orchestra | 1988 | RCA | BVCC-39 | ||
HARRELL, Lynn | SCHWARZ, Gerard | Royal Liverpool Philharmonic Orchestra | 2005 | Avie | AV2090 | ||
HELMERSON, Frans | POLYANSKY, Valéry | Russian State Symphony Orchestra | 1996 | Chandos | CHAN9585 | ||
HORNUNG, Maximilian | POGA, Andris | Deutsches Symphonie-Orchester Berlin | 2017 | myrios | MYR023 | ||
IVASHKIN, Alexander | POLYANSKY, Valéry | Moscow Symphony Orchestra | 1997 | Brilliant | 7620 | Brilliant-8128 | |
KLIEGEL, Maria | WIT, Antoni | Polish National Radio Symphony Orchestra | 1995 | Naxos | 8.550813 | ||
KWIATKOWSKI, Rafał | RAJSKI, Wojciech | Polish Radio Orchestra | 2000 | DUX | DUX 0549 | ||
MAISKY, Mischa | THOMAS, Michael Tilson | London Symphony Orchestra | 1993 | DG | 445 821-2 | ||
MONIGHETTI, Ivan | VÁLEK, Vladimír | Prague Radio Symphony Orchestra | 1992 | harmonia mundi s.a | LDC 278 1099 | ||
MØRK, Truls | JANSONS, Mariss | London Philharmonic Orchestra | 1995 | Virgin Classics | VC 5 45145 2 | ||
MØRK, Truls | PETRENKO, Vasily | Oslo Philharmonic Orchestra | 2013 | Ondine | ODE 1218-2 | ||
MÜLLER-SCHOTT, Daniel | KREIZBERG, Yakov | Symphonieorchester des Bayerischen Rundfunks | 2005 | Orfeo | C 659 081 A | ||
NORAS, Arto | RASILAINEN, Ari | Norwegian Radio Orchestra | 1997 | Finlandia | 3984-21441-2 | Finlandia-8573-81969-2 | |
RODIN, Kyrill | KRIMETS, Konstantin | Russian Philharmonic Orchestra | 1996 | Arte Nova | 74321 49688 2 | ||
ROSTROPOVICH, Mstislav | SVETLANOV, Evgeni | USSR State Symphony Orchestra | 1966 | EMI | TOCE-9414 | Live(25 Sept.), Russian Disc-RD CD 11 109, EMI-7243 5 72016 2 9 | |
ROSTROPOVICH, Mstislav | DAVIS, Colin | BBC Symphony Orchestra | 1966 | BBC Legends | BBCL 4073-2 | Live(5 Oct.) | |
ROSTROPOVICH, Mstislav | ROZHDESTVENSKY, Gennadi | London Symphony Orchestra | 1967 | Intaglio | INCD 7251 | Live(26 Feb.) | |
ROSTROPOVICH, Mstislav | OISTRAKH, David | Moscow Philharmonic Orchestra | 1967 | Yedang | YCC-0037 | Live(12 Nov.) | |
ROSTROPOVICH, Mstislav | SVETLANOV, Evgeni | Prague Symphony Orchestra | 1967 | Supraphon | SU 4101-2 | Live(11 Dec.) | |
ROSTROPOVICH, Mstislav | BELLUGI, Piero | Orchestra Sinfonica di Milano della RAI Radiotelevisione Italiana | 1968 | Stradivarius | STR 10049 | Live(15 Mar.) | |
ROSTROPOVICH, Mstislav | MARTINON, Jean | Chicago Symphony Orchestra | Aries | LP-1601 | LP, Live. | ||
ROSTROPOVICH, Mstislav | OZAWA, Seiji | Boston Symphony Orchestra | 1975 | DG | 431 475-2 | ||
SANDERLING, Michael | SANDERLING, Kurt | Rundfunk-Sinfonieorchester Berlin | 2000 | En Larmes | ELS 00-7 | CD-R, Live(29 Oct.), “0”“0”“0”Classics-TH076 | |
SCHIFF, Heinrich | SHOSTAKOVICH, Maxim | Symphonie Orchester des Bayerischen Rundfunks | 1984 | Philips | 412 526-2 | ||
SHAFRAN, Daniil | TEMIRKANOV, Yuri | Moscow Philharmonic Orchestra | 1970 | Triton | DICC-20021 | ||
SPANOGHE, Viviane | TABAKOV, Emil | Sofia Soloists Symphony Orchestra | 1984 | talent | DOM 2910 11 | talent-DOM 3810 12-13 | |
THEDÉEN, Torleif | DEPREIST, James | Malmö Symphony Orchestra | 1992 | BIS | BIS-CD-626 | ||
VOGLER, Jan | GERGIEV, Valery | Mariinsky Orchestra | 2019 | Sony | 19439774942 | Live(3 June) | |
WALTON, Jamie | BRIGER, Alexander | Philharmonia Orchestra | 2008 | Signum | SIGCD137 |
J. Bárta, M. Shostakovich/Prague Symphony Orchestra | ||||||||
第1楽章: | 15'29" | 第2楽章: | 4'41" | 第3楽章: | 17'22" | |||
ライヴ録音だが、それほど大きな瑕はない。しかしながら、独奏の線が細すぎて、何をやっているのか良くわからない。これでは伴奏も手の出しようがないだろう。 | ||||||||
P. Bruns, C. P. Flor/Berliner Sinfonie Orchestra | ||||||||
第1楽章: | 13'44" | 第2楽章: | 4'22" | 第3楽章: | 16'51" | |||
丁寧に弾き込まれた、きれいな演奏。リズムもバランスもきちんと整えられていて大変好感が持てるが、今一つ表現力の弱さを感じる。 | ||||||||
G. Capuçon, V. Gergiev/Mariinsky Orchestra | ||||||||
第1楽章: | 14'36" | 第2楽章: | 4'25" | 第3楽章: | 16'27" | |||
技術的な破綻こそないものの、独奏はともかく、オーケストラには巧さを感じることがなく、全体として冴えない演奏。全体に集中力にも欠け、終始散漫な印象が否めない。第3楽章冒頭のホルンに象徴されるように、聴き手が期待するツボで悉く肩透かしを食らう感じ。 | ||||||||
M. Coppey, L. Foster/Polish National Radio Symphony Orchestra | ||||||||
第1楽章: | 12'58" | 第2楽章: | 4'18" | 第3楽章: | 14'53" | |||
重心の低い男臭い音色がたまらなく魅力的な演奏である。フォスターが指揮するオーケストラのリズム感の良さも特筆に値する。技術面は現代の水準で洗練されている一方で、時に軋むことも厭わぬ武骨な表現意欲も作品に相応しい。独奏に関しては非の打ち所のない見事な出来だが、第2楽章から第3楽章にかけてのホルンが許し難いほど腰抜けなのが残念。ここは、バケツの底が抜けたような強烈な音でなければ。 | ||||||||
V. Feigin, M. Shostakovich/USSR TV and Radio Symphony Orchestra | ||||||||
第1楽章: | 15'20" | 第2&3楽章: | 20'46" | |||||
とにかくオーケストラの華やかでアクの強い響きが凄い。ギラギラとメタリックな肌触りを持つ管楽器の音色が、この作品の持つ色彩感を余すところなく描き出している。爆発力だけでなく弱奏部での緊張感も立派で、オーケストラの仕上がりという点においては決定的な名演といえるだろう。とはいえ、独奏チェロもオーケストラに力負けしない骨太で男らしい音楽を奏でている。技術的にも丁寧な仕上がり。音楽的にはさすがにロストロポーヴィチよりもスケールが小さく感じられる部分もあるが、あえて比較しなければ気にはならない。 | ||||||||
S. Gabetta, M. Albrecht/Münchner Philharmoniker | ||||||||
第1楽章: | 15'46" | 第2楽章: | 4'31" | 第3楽章: | 17'02" | |||
伸びやかで落ち着いた美感を持つチェロの音色は、いかにも最近の若手奏者らしい。音楽作りも素直で、いたずらに晦渋さを演出しないところに好感が持てる。ただ、表面的には地味な作品だけに、とりわけオーケストラにはもう少し多彩さを求めたいところ。 | ||||||||
A. Gerhardt, J.-P. Saraste/WDR Sinfonieorchester | ||||||||
第1楽章: | 11'26" | 第2楽章: | 4'33" | 第3楽章: | 14'39" | |||
技術水準の高さ故に奮闘するような熱気は感じられないが、洗練されてはいるものの、作品が内含する情動や昂奮は十分に表出されている。オーケストラの存在感も確かなもので、含蓄のある優れた演奏に仕上がっている。 | ||||||||
N. Gutman, D. Kitajenko/Moscow Philharmonic Symphony Orchestra | ||||||||
第1楽章: | 13'32" | 第2楽章: | 4'26" | 第3楽章: | 16'12" | |||
2年後のスタジオ録音とは別次元の、気迫に満ちた秀演。極めてスケールが大きく骨太の音楽は、表面的な美感を犠牲にしてでも作品の本質を抉り出そうとしているかのよう。とはいえ、技術的にも非常に高水準で安定しており、作品本来が持つ響きの美しさは十分に引き出されている。ライヴ故かやや勢いと気合いが先行してしまい、深みに乏しい部分があるのは惜しい。オーケストラはアクの強い響きでショスタコーヴィチの音世界をしっかりと描き出しているが、グートマンに比べると表現力に差が感じられるのは致し方ないところか。 | ||||||||
N. Gutman, Y. Temirkanov/Royal Philharmonic Orchestra | ||||||||
第1楽章: | 14'55" | 第2楽章: | 4'39" | 第3楽章: | 16'50" | |||
ソロの音量が小さいためか、第1楽章や第3楽章のクライマックスなどが唐突な印象を受ける。オーケストラの音程が少し悪いが、総じて安定した演奏といえよう。 | ||||||||
L. Harrell, G. Schwarz/Royal Liverpool Philharmonic Orchestra | ||||||||
第1楽章: | 13'42" | 第2楽章: | 4'40 | 第3楽章: | 15'58" | |||
オーケストラの音色に華やかさがないせいか全体として地味な演奏だが、独奏とオーケストラとのアンサンブルも含めて丁寧に整えられた仕上げは非常に好印象。ハレルの余裕を感じさせるスケールの大きな音楽は、それでいて細部に至るまで意思の通った格調の高いもの。ただ、時にはけばけばしいまでの色彩感を求めたくなる瞬間があるのも事実。 | ||||||||
F. Helmerson, V. Polyansky/Russian State Symphony Orchestra | ||||||||
第1楽章: | 13'40" | 第2楽章: | 4'19 | 第3楽章: | 15'26" | |||
ごく平均的な内容ではあるが、ソロの音が強奏で汚くなることと、オーケストラのリズムの悪さが気になる。解釈の焦点が今一つ定まりきらず、全体の印象がやや散漫。 | ||||||||
M. Hornung, A. Poga/Deutsches Symphonie-Orchester Berlin | ||||||||
第1楽章: | 15'28" | 第2楽章: | 4'31 | 第3楽章: | 17'31" | |||
極めて高い精度のテクニックをもって隅々まで明晰に解釈された、いかにも現代的な精緻さを有した演奏と言えるだろう。この作品の陰鬱でありながらも諧謔を感じさせる繰り言のような独特の雰囲気は、いささか平準化されてしまったようにも思えるが、より普遍的な聴きやすさという点では決して悪くはない。 | ||||||||
A. Ivashkin, V. Polyansky/Moscow Symphony Orchestra | ||||||||
第1楽章: | 15'44" | 第2楽章: | 4'20" | 第3楽章: | 16'18" | |||
硬質で煌びやかなオーケストラの響きにポリャーンスキイの特質が発揮されているが、イヴァーシキンの独奏にはもう少し重心の低い骨太な響きを求めたい。 | ||||||||
M. Kliegel, A. Wit/Polish National Radio Symphony Orchestra | ||||||||
第1楽章: | 15'11" | 第2楽章: | 4'29" | 第3楽章: | 15'33" | |||
真摯な演奏で、よく健闘している。しかしながら、ソロが曲に撥ね返されているような印象を受ける。この曲を弾き切るには、今一歩の線の太さが必要なようだ。オーケストラは、ソツのない出来。 | ||||||||
R. Kwiatkowski, W. Rajski/Polish Radio Orchestra | ||||||||
第1楽章: | 14'37" | 第2楽章: | 4'37" | 第3楽章: | 16'06" | |||
溌剌とした、それでいて深みのある良い音色に耳が惹きつけられる。技術的にも非常に高水準で洗練されているので、明快なリズム感が鮮やかに表出されており、最良の意味での現代的な演奏と言ってよいだろう。オーケストラは地味ながらも無難かつ端正な出来。ホルンは少々物足りないが、独奏の素晴らしさを妨げるほどのものではない。 | ||||||||
M. Maisky, M. T. Thomas/London Symphony Orchestra | ||||||||
第1楽章: | 15'06" | 第2楽章: | 4'40" | 第3楽章: | 16'06" | |||
丁寧に仕上げてはあるのだが、ソロがあまりに鳴らないために平坦な印象しか残らない。マイスキーの気ままなフレージングも好ましくない。オーケストラも今一つ冴えない。 | ||||||||
I. Monighetti, V. Válek/Prague Radio Symphony Orchestra | ||||||||
第1楽章: | 12'49" | 第2楽章: | 4'09" | 第3楽章: | 14'01" | |||
ソロもオーケストラも、音の力に不足している。解釈自体は非常に真摯なもので美しい演奏ではあるのだが、肝心なところでの力強さに欠けるために、せっかく適切なイントネーションをもっているにもかかわらず、それが活きていない。 | ||||||||
T. Mørk, M. Jansons/London Philharmonic Orchestra | ||||||||
第1楽章: | 14'37" | 第2楽章: | 4'21" | 第3楽章: | 16'46" | |||
ソロ、オーケストラ共に洗練された演奏。しっかりと弾き込まれている印象があり、安心して音楽に身を委ねることができる。我を忘れるような興奮とは無縁な演奏だが、非常に美しい。 | ||||||||
T. Mørk, V. Petrenko/Oslo Philharmonic Orchestra | ||||||||
第1楽章: | 14'31" | 第2楽章: | 4'34" | 第3楽章: | 17'05" | |||
技術的な問題は全くなく、洗練されてはいるものの骨太な力強さにも不足しない独奏には貫録を感じる。オーケストラも精緻なアンサンブルで独奏に絡んでおり、派手さはないものの完成度の高い演奏である。しかしながら、妙に広がりのない録音が興を削ぐのがもったいない。 | ||||||||
D. Müller-Schott, Y. Kreizberg/Symphonieorchester des Bayerischen Rundfunks | ||||||||
第1楽章: | 15'01" | 第2楽章: | 4'25" | 第3楽章: | 17'30" | |||
感覚的な美しさと熱狂とが理性的な計算の下にバランス良く構成された、お手本のような演奏に貫禄すら感じる。それはクライツベルク率いるオーケストラも同様で、同時代的な熱気という手垢を洗い落とした現代的な秀演と言えるだろう。 | ||||||||
A. Noras, A. Rasilainen/Norwegian Radio Orchestra | ||||||||
第1楽章: | 14'45" | 第2楽章: | 4'18" | 第3楽章: | 15'25" | |||
非常に落ち着いた、それでいて軽くない美しさに満ちた演奏。どんな時でも荒くならずに余裕をもって楽器を鳴らすノラスの名演が光る。多彩な響きと内容を持ったこの曲の魅力を、淡々とした表情の中で十二分に描き出している。オーケストラは若干弱く、特に2楽章や3楽章のリズム感にもっと望みたいものもあるが、ソロがこれだけ素晴らしければ十分であろう。 | ||||||||
K. Rodin, K. Krimets/Russian Philharmonic Orchestra | ||||||||
第1楽章: | 15'25" | 第2楽章: | 4'33" | 第3楽章: | 21'08" | |||
丁寧に演奏されているが、楽譜に書かれている内容を十分に表現するところまでは達していない。第3楽章の遅いテンポは、音楽の深みにはつながらずに、単に弛緩した印象を与えるだけの結果になっている。 | ||||||||
M. Rostropovich, E. Svetlanov/USSR State Symphony Orchestra | ||||||||
第1楽章: | 13'53" | 第2楽章: | 4'20" | 第3楽章: | 14'49" | |||
世界初演のライヴ録音。全体に荒っぽいことは確かだが、この巨大な曲と格闘している雰囲気が切実に伝わってくる。圧倒的な技巧でスコアが音化されているため、全ての音符に意味が見い出せる。一瞬たりとも緊張感がとぎれることのない集中力は、ライヴならではのものだろう。スヴェトラーノフは伴奏の域を出ることができていないが、十分にその役目を果たしているといえるだろう。オーケストラの音色も理想的である。 | ||||||||
M. Rostropovich, C. Davis/BBC Symphony Orchestra | ||||||||
第1楽章: | 14'17" | 第2楽章: | 4'20" | 第3楽章: | 15'05" | |||
初演直後の西側初演のライヴ録音。少々荒っぽいものの、覇気に満ちた全盛期のロストロポーヴィチの凄みにはただただ圧倒される。オーケストラは技術的に傑出しているわけではないが、デイヴィスの堅実な棒に支えられてか十分に健闘している。強烈なロシア臭こそないものの、ホルンや大太鼓の奮闘は立派。もっとも、オーケストラが作品を完全に消化しているとまでは言い難く、ただ音符に追われているだけの部分もあったり、ロストロポーヴィチの気合いが空回りしてしまう部分もあるので、完全無欠の名演とまでは言えないだろうが、それでも十分に存在感を持った力演である。 | ||||||||
M. Rostropovich, G. Rozhdestvensky/London Symphony Orchestra | ||||||||
第1楽章: | 14'43" | 第2楽章: | 4'32" | 第3楽章: | 15'39" | |||
ロストロポーヴィチだけではなく、ロジデーストヴェンスキイの凄い気合いにも圧倒される。第2楽章から第3楽章に突入する部分での唸り声は、ライヴならではの雰囲気を伝えてくれる。技術的にも音楽的にも全く問題はなく素晴らしい出来だが、残念ながらやや荒っぽい。 | ||||||||
M. Rostropovich, D. Oistrakh/Moscow Philharmonic Orchestra | ||||||||
第1楽章: | 13'53" | 第2楽章: | 4'14" | 第3楽章: | 14'31" | |||
コンディションが余程良かったのだろうか、このロストロポーヴィチは相当凄い。いつもながらの圧倒的な技巧と気迫、輝かしくも深みのある音に加え、時に甘さすら感じさせる表現の幅。オーイストラフの指揮も単なる伴奏にとどまることなく、時にはロストロポーヴィチ以上に雄弁に主張してくる。ショスタコーヴィチの音楽を知り尽くした二人だからできる名演である。ただ、オーケストラはかなり荒い。筆者はこういう音に魅力を感じるのだが、やはり一般的には眉をひそめる人も多いだろう。 | ||||||||
M. Rostropovich, E. Svetlanov/Prague Symphony Orchestra | ||||||||
第1楽章: | 13'02" | 第2楽章: | 4'07" | 第3楽章: | 14'11" | |||
初演を担当した2人による演奏だけに、音楽の運びは確信に満ちているが、残念なことにオーケストラの水準が低過ぎる。第3楽章の崩れ方を聴くに、オーケストラをフォローするだけで精一杯といった感じで、部分的には味わい深い音楽も聴かれるものの、全体としては録音で繰り返し鑑賞するのは少々辛い。 | ||||||||
M. Rostropovich, P. Bellugi/Orchestra Sinfonica di Milano della RAI Radiotelevisione Italiana | ||||||||
第1楽章: | 13'41" | 第2&3楽章: | 18'53" | |||||
ロストロポーヴィチはこの曲を数多く演奏してきたと思われるが、その中には出来不出来があって当然である。これは、おそらく最も悪い部類の記録だろう。第1楽章に限っていえばロストロポーヴィチとしては普通(つまり、一般的には最上級)の演奏であるが、第2楽章以降が酷い。171小節でティンパニが間違ったのを皮切りに、次々とオーケストラが落ちていき、ついに練習番号62では全員が落ちる。これで集中力を失ったロストロポーヴィチは、第3楽章の練習番号86で入りを間違え、練習番号88の途中までカオス状態が続く。そもそも、ホルンの音を聴く限り、このオーケストラにこの曲を弾くことは無理だったのだろう。止まらなかっただけマシなのかもしれない。 | ||||||||
M. Rostropovich, J. Martinon/Chicago Symphony Orchestra | 時間不詳 | |||||||
ロストロポーヴィチの独奏は、いつものように気合い十分。ただ、それが音楽の深さに直結せずに空回りしている印象は否めない。オーケストラ(レコードジャケットには指揮者・オーケストラ名の表記はない)は無難に演奏しているものの、(音色の不満はおいておくとしても)表面的な技術上の問題しかクリアしていない。オーケストラがやや遠く感じられる録音の影響もあるのだろうが、それを差し引いても、ロストロポーヴィチによるこの曲の演奏中で上位を占める演奏とは言い難い。 | ||||||||
M. Rostropovich, 小澤征爾/Boston Symphony Orchestra | ||||||||
第1楽章: | 13'55" | 第2楽章: | 4'19" | 第3楽章: | 14'59" | |||
ロストロポーヴィチ唯一のスタジオ録音にふさわしい、丁寧で落ち着いた演奏である。曲を完全に手中におさめた安心感がある。曲の持つ深い情感が心に沁みる。小澤の伴奏もいつになく透徹した美しさがあり、リズムやアンサンブルの的確な処理とともに素晴らしい出来。 | ||||||||
M. Sanderling, K. Sanderling/Rundfunk-Sinfonieorchester Berlin | ||||||||
第1楽章: | 13'45" | 第2楽章: | 4'30" | 第3楽章: | 17'24" | |||
的確な譜読みが光る佳演。ソロ、オーケストラ共に地味ではあるが正攻法の取り組みが好ましい。ただ、ソロがオーケストラに埋没することが多いのと、オーケストラが十分に整理されてない部分があることが惜しい。ザンデルリンクの深い音楽は素晴らしいが、最後まで緊張感が持続していないようにも思われる。 | ||||||||
H. Schiff, M. Shostakovich/Symphonie Orchester des Bayerischen Rundfunks | ||||||||
第1楽章: | 14'04" | 第2楽章: | 4'06" | 第3楽章: | 15'19" | |||
きれいに整った演奏。録音が少ない曲なだけに、こういう丁寧な演奏があること自体は大変好ましい。しかし、有無をいわさずに聴き手を引き込む力には欠けている。もっとも、シフの音楽性はそういう方向とは違うものだろうが。マクシームの伴奏もただシフに追随しているだけで、せっかく優秀なオーケストラを使っているのにもったいない。 | ||||||||
D. Shafran, Y. Temirkanov/Moscow Philharmonic Orchestra | ||||||||
第1楽章: | 11'48" | 第2楽章: | 11'40" | 第3楽章: | 5'09" | |||
冒頭から鼻のつまったようなシャフラン節全開。妙に気合いの入った演奏だが、暴走しすぎて空回りしている部分が多すぎる。アンサンブルが崩壊しているところも多く、シャフラン・ファンには良いだろうがこの作品を聴くという立場からはお薦めしかねる。 | ||||||||
V. Spanoghe, E. Tabakov/Sofia Soloists Symphony Orchestra | ||||||||
第1楽章: | 13'00" | 第2楽章: | 4'35" | 第3楽章: | 14'45" | |||
全体を通して単調さが否めない。オーケストラは、おそらく弦楽器の室内アンサンブルであるソフィア・ゾリスデンを中心に管楽器等を補強した団体ではないかと推察されるが、雰囲気は悪くないものの響きに求心力がない。特に、ホルンに力強さが欠けていることが致命的。ソロも技術的な不満はないとはいえ、やはり強靭さが感じられないのは物足りない。 | ||||||||
T. Thedéen, J. DePreist/Malmö Symphony Orchestra | ||||||||
第1楽章: | 13'43" | 第2楽章: | 4'23" | 第3楽章: | 15'55" | |||
きちんとした演奏なのだが、ソロの音にもう一つ張りがないために説得力が半減している。テンポ設定や、ディナーミクの配分など解釈はしっかりとしている。デプリーストの伴奏も丁寧に整えられており、好感が持てる。 | ||||||||
J. Vogler, V. Gergiev/Mariinsky Orchestra | ||||||||
第1楽章: | 11'49" | 第2楽章: | 4'09" | 第3楽章: | 13'58" | |||
フォーグラーのチェロが腕力不足で、第2楽章以降に物足りなさが残る。オーケストラが明らかに音量を絞っており、こうなるとこの作品の魅力が消え去ってしまう。左手の確かな技術と繊細な音色で第1楽章はじっくりと聴かせているだけに、何とも勿体ない。 | ||||||||
J. Walton, A. Briger/Philharmonia Orchestra | ||||||||
第1楽章: | 14'39" | 第2楽章: | 4'32" | 第3楽章: | 15'41" | |||
全体の見通しが良い、手堅くまとめられた演奏に仕上がっているが、細身の音質に物足りなさが残る。張りつめた鋭さを持つ強奏部に対比する弱奏部の雰囲気を表現するには、泥臭さと紙一重の低音が欲しいところ。 |
Last Modified 2023.10.25