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チェロ協奏曲第1番 変ホ長調 作品107

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独奏者指揮者オーケストラ録音年レーベル番号備考評価
BAILLIE, AlexanderZANDER, BenjaminBoston Philharmonic Orchestra1993Carlton Classics30366 01012Live(2 May)****
BÁRTA, JiríSHOSTAKOVICH, MaximPrague Symphony Orchestra1996SupraphonSU 3278-2 031Live(14 Nov.), Supraphon-SU 3414-2 031***
BOHORQUEZ, ClaudioFELDMANN, ArkadiStaatliches Symphonieorchester Kaliningrad1996Bella MusicaBM-CD 31.9097Live(21 Nov.)***
CHANG, Han-NaPAPPANO, AntonioLondon Symphony Orchestra2005EMI0946 3 32422 2 7
***
DE ROSA, WilliamCALDWELL, SarahEkaterinburg Philharmonic Orchestra1995AudiofonCD 72060Live(1 Nov.)****
DROBINSKY, MarkMANSUROV, FuatKazan Symphony Orchestra2002talentDOM 2910 85
*****
FEIGIN, ValentinSHOSTAKOVICH, MaximUSSR TV and Radio Symphony Orchestra1978MelodiyaC10-14091-92LP*****
FOURNIER, PierreHORENSTEIN, JaschaOrchestre de la Suisse Romande1962CascavelleVEL 2009Live(19 Dec.)***
GUTMAN, NataliaKONDRASHIN, KyrillMoscow Radio Symphony Orchestra1976Live ClassicsLCL 202Live(21 June)*****
GUTMAN, NataliaTEMIRKANOV, YuriRoyal Philharmonic Orchestra1988RCABVCC-39
****
HARRELL, LynnHAITINK, BernardConcertgebouw Orchestra1984London414 162-2
****
HELMERSON, FransPOLYANSKY, ValéryRussian State Symphony Orchestra1996ChandosCHAN9550Regis-RRC 1181(Daniil Shafran(vc) Konstantin Ivanov/Moscow Philharmonic Symphony Orchestra)*****
IVASHKIN, AlexanderPOLYANSKY, ValéryMoscow Symphony Orchestra1997Brilliant7620Brilliant-8128****
KHOMITSER, MikhailROZHDESTVENSKY, GennadyUSSR Radio Symphony Orchestra1968RCA74321 29254 2Melodiya-CM 01883-4(LP)*****
KLIEGEL, MariaWIT, AntoniPolish National Radio Symphony Orchestra1995Naxos8.550813
*****
KWIATKOWSKI, RafałRAJSKI, WojciechPolish Radio Orchestra2000DUXDUX 0549
*****
MA, Yo-YoORMANDY, EugenePhiladelphia Orchestra1982CBS/SONY22DC 5594
*****
MAISKY, MischaTHOMAS, Michael TilsonLondon Symphony Orchestra1993DG445 821-2
****
MONIGHETTI, IvanVÁLEK, VladimírPrague Radio Symphony Orchestra1992harmonia mundi s.aLDC 278 1099
****
MØRK, TrulsJANSONS, MarissLondon Philharmonic Orchestra1995Virgin ClassicsVC 5 45145 2
*****
NORAS, ArtoRASILAINEN, AriNorwegian Radio Orchestra1997Finlandia3984-21441-2Finlandia-8573-81969-2*****
PRIETO, CarlosDE LA FUENTE, HerreraOrquestra Sindonica de Xalapa
IMP ClassicsPCD 1084
***
RODIN, KyrillKRIMETS, KonstantinRussian Philharmonic Orchestra1996Arte Nova74321 49688 2
****
ROSEN, NathanielTABAKOV, EmilSofia Philharmonic Orchestra
John Marks RecordsJMR 3
***
ROSTROPOVICH, MstislavGAUK, AlexanderMoscow Philharmonic Orchestra1959Moscow ConservatoireSMC CD 0029Live(9 Oct.). Supraphon-SU 4101-2 (dated 6 Oct.)****
ROSTROPOVICH, MstislavORMANDY, EuginePhiladelphia Orchestra1959CBSMPK 44850Sony-MHK 63327*****
ROSTROPOVICH, MstislavKONDRASHIN, KyrilMoscow Philharmonic Orchestra1960sPeriod ShowcaseSHO 337LP, Live*****
ROSTROPOVICH, MstislavKONDRASHIN, KyrilCzech Philharmonic Orchestra1960IntaglioINCD 7251Live(29 May), Supraphon-SU 4101-2*****
ROSTROPOVICH, MstislavROZHDESTVENSKY, GennadiMoscow Philharmonic Orchestra1961EMITOCE-9414Live(10 Feb.), EMI-7243 5 72016 2 9*****
ROSTROPOVICH, MstislavROZHDESTVENSKY, GennadiLeningrad Philharmonic Orchestra1961BBCBBCL 4024-2Live(9 Sept.), BBCL 4143-2****
ROSTROPOVICH, MstislavOISTRAKH, DavidMoscow Philharmonic Orchestra1965Russian DiscRD CD 11 106Live(24 Jan.), Revelation-RV10087, Yedang-YCC-0037*****
ROSTROPOVICH, MstislavSVETLANOV, EvgeniUSSR State Symphony Orchestra1966Russian DiscRD CD 11 109Live(29 Sept.)*****
ROSTROPOVICH, MstislavOZAWA, SeijiLondon Symphony Orchestra1987Erato2292-45332-2
*****
SÁDLO, MilosANCERL, KarelCzech Philharmonic Orchestra1968Supraphon1 11 0676-2
****
SCHIFF, HeinrichSHOSTAKOVICH, MaximSymphonie Orchester des Bayerischen Rundfunks1984Philips412 526-2
****
SCHIFF, HeinrichDOHONÁNYI, Christoph vonVienna Philharmonic Orchestra1988‘Fachmann für Klassischer Musik’ SocietyFKM-CDR-183CD-R, Live(23 Oct.)****
SHAKHOVSKAYA, NatalyaROZHDESTVENSKY, GennadiMoscow Radio Symphony Orchestra1966BBC15656 91702Live(18 Aug.)*****
SPANOGHE, VivianeTABAKOV, EmilSofia Soloists Symphony Orchestra1984talentDOM 2910 11
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STARKER, JanosANDREAE, MarcOrchestra della Radiotelevisione della Svizzera Italiana
ErmitageERM 147Live***
STRAUCH, PierreMYRAT, AlexandreLe Sinfonietta Orchestre Régional de Picardie1987harmonia mundiLBL 6505LP****
THEDÉEN, TorleifDEPREIST, JamesMalmö Symphony Orchestra1993BISBIS-CD-626
****
TOLPYGO, Mikhail (Va)KITAENKO, DmitrySoloist's Ensemble of USSR State Symphony Orchestra1978Melodiya33 C 10-07263-64LP, Arr. by V. Borisovsky.****
TORTELIER, PaulBERGLUND, PaavoBournemouth Symphony Orchestra1973EMIASD 2924LP****
WALLFISCH, RaphaelSIMON, GeoffreyEnglish Chamber Orchestra1982ChandosCHAN8322
****
WIEDER-ATHERTON, SoniaFÜRST, JanosSinfonia Varsovia2006RCA88697 028292
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WISPELWEY, PieterTOGNETTI, RichardAustralian Chamber Orchestra1999Channel ClassicsCCS 15398
****

A. Baillie, B. Zander/Boston Philharmonic Orchestra
第1楽章: 6'50"
第2楽章: 12'47"
第3楽章: 5'46"
第4楽章: 5'12" 
曲想をしっかりと捉えた演奏だが、ソロの技量が足りない。全体に音が汚く、この曲の持つ名技性を表現しきれていない。オーケストラは上品過ぎる感じもするが、丁寧な好演。
J. Bárta, M. Shostakovich/Prague Symphony Orchestra
第1楽章: 6'06"
第2楽章: 11'51"
第3楽章: 5'44"
第4楽章: 5'23" 
リズムが非常に悪い。ソロもオーケストラとも一生懸命に演奏しているが、技量不足の感は否めない。楽譜を弾きこなすのに精一杯で、何も伝わってこない。
C. Bohorquez, A. Feldmann/Staatliches Symphonieorchester Kaliningrad
第1楽章: 5'58"
第2楽章: 11'22"
第3楽章: 5'30"
第4楽章: 4'41" 
レベルの低い演奏。特にオーケストラの技量不足が顕著である。ホルンの情けない響きは最悪。ソロも、特に高音部で頼りない音を出しており、録音で繰り返し鑑賞する価値は全くない。
H. Chang, A. Pappano/London Symphony Orchestra
第1楽章: 6'08"
第2楽章: 11'59"
第3楽章: 6'08"
第4楽章: 4'28" 
ライヴのような一貫した熱気が感じられる(収録も一日で行われている)が、全体にチェロの音量が小さく、無理して荒れた音になっているのが気になる。音楽自体も、ソロ、オーケストラ共に平凡。第3楽章のカデンツァでは調弦の狂いも気になる。
W. De Rosa, S. Caldwell/Ekaterinburg Philharmonic Orchestra
第1楽章: 6'34"
第2楽章: 11'51"
第3楽章: 6'51"
第4楽章: 4'56" 
丁寧で美しい仕上がり。決して汚い音を出さないソロと、堅実なアンサンブルでまとめられたオーケストラとが好ましい雰囲気を醸し出している。しかし、少しこじんまりとした印象が強く、表面的な綺麗事で終わっている感じも拭いきれない。
M. Drobinsky, F. Mansurov/Kazan Symphony Orchestra
第1楽章: 6'07"
第2楽章: 11'25"
第3楽章: 5'00"
第4楽章: 4'46" 
独奏とオーケストラの双方に若干泥臭さが漂うが、それが気にならないのであればなかなかの秀演。技術的には高度に安定している上、音楽的にも奇を衒うことのない誠実な演奏である。落ち着いた推進力とでも形容できそうな、独特な存在感を持った仕上がり。
V. Feigin, M. Shostakovich/USSR TV and Radio Symphony Orchestra
時間不詳
オーケストラのギラついたメタリックな響きに魅了される。特にホルンは最上級の仕上がりと言ってよいだろう。妙に引き締まった緊張感が漂う音楽は、このコンビならではのもの。ただ、マクシーム特有の垢抜けないリズム感が、この作品においては若干気になる。フェイギンの独奏はやや地味だが、決して悪くない。
P. Fournier, J. Horenstein/Orchestre de la Suisse Romande
第1楽章: 6'12"
第2楽章: 10'19" 第3&4楽章: 10'13" 
第1楽章の崩壊具合が酷い。よく止まらなかったものだと、逆に感心する。両端楽章ではフルニエに技術に不満が残るものの、緩徐楽章の美しさはなかなか。しかし、オーケストラも力不足であり、わざわざ聴くほどの演奏ではない。
N. Gutman, K. Kondrashin/Moscow Radio Symphony Orchestra
第1楽章: 6'08"
第2楽章: 11'17"
第3楽章: 5'44"
第4楽章: 4'39" 
文字通り心技体の全てが最高の状態でこそなし得た名演。表面的な美感に溺れることなく、全身全霊を傾けて楽譜の底から音楽を掴み出しているような壮絶さに心を打たれる。コンドラーシンの伴奏も極めて凄絶。極めて大きなスケールの中でアクの強いロシアン・サウンドが全開になっているのが魅力的だが、それでいて勢いに任せているわけでなく、すみずみまで完璧にコントロールされている。録音の鮮度はやや落ちるものの、非常に優れた演奏である。
N. Gutman, Y. Temirkanov/Royal Philharmonic Orchestra
第1楽章: 6'17"
第2楽章: 11'44"
第3楽章: 6'04"
第4楽章: 4'49" 
なんとも冴えない印象。技術的にも問題はないし、ショスタコーヴィチにふさわしい音色もしているのだが、力強さに欠ける上にリズムも鈍重であるため、曲の魅力が伝わってこない。
L. Harrell, B. Haitink/Concertgebouw Orchestra
第1楽章: 6'31"
第2楽章: 12'01"
第3楽章: 5'46"
第4楽章: 4'50" 
ソロに今一つ魅力が感じられない。ソツなく弾きこなしてはいるが、切味の良さはない。解釈自体は適切で、テンポは妥当なもの。ハイティンクの伴奏はこの曲の交響性を押えており、大変素晴らしい。協奏曲として聴かなければなかなか良い演奏。
F. Helmerson, V. Polyansky/Russian State Symphony Orchestra
第1楽章: 5'49"
第2楽章: 11'50"
第3楽章: 5'59"
第4楽章: 4'47" 
非常に安定した演奏。切れ味の良いリズム感と、いかにもロシア音楽らしい異様に長いフレージングで、勢い良く音楽を鳴らしていくポリャンスキイの音楽作りが素晴らしい。終始ソリストがオーケストラを圧倒しながら牽引するようなロストロポーヴィチの演奏とは異なり、両者が対等かつ緊密に音楽を紡いでいる本盤は、最も協奏曲らしい音楽に仕上がっているということができるかもしれない。ただ、響きの割には淡々と音楽が進んでいく印象は否めない。ホルン・ソロが今一つ冴えないのも残念。
A. Ivashkin, V. Polyansky/Moscow Symphony Orchestra
第1楽章: 6'15"
第2楽章: 11'33"
第3楽章: 5'52"
第4楽章: 4'39" 
硬質で煌びやかなオーケストラの響きにポリャーンスキイの特質が発揮されているが、イヴァーシキンの独奏は線が細く、推進力に満ちた音楽を展開してはいるのだが、ところどころで危なっかしい。
M. Khomitser, G. Rozhdestvensky/USSR Radio Symphony Orchestra
第1楽章: 5'46" 第2〜4楽章: 20'13" 
全体的な出来は素晴らしい。テンポ設定や節回しなど、大体において適切なものである。これは主にロジデーストヴェンスキイの指揮に負っていると考えられ、オーケストラの素晴らしさに比べるとソロは大分落ちる。音の力強さはまあまあだが、強奏部分でかなり音が汚い。左手のテクニックは標準的なもの。ソロがもう少しパッとしないと、この曲はあまり面白くない。
M. Kliegel, A. Wit/Polish National Radio Symphony Orchestra
第1楽章: 6'13"
第2楽章: 11'47"
第3楽章: 6'09"
第4楽章: 4'47" 
オーケストラがこじんまりとしているが、ソロは気迫に溢れた立派なもの。技術的にも非常に安定している。高血圧的演奏ではあるが、決して荒っぽくならないところに好感が持てる。複雑な様相を持ったこの曲を完璧に再現しきっているとまでは言えないが、魅力の一面をしっかりと聴かせてくれる。
R. Kwiatkowski, W. Rajski/Polish Radio Orchestra
第1楽章: 6'09"
第2楽章: 11'12"
第3楽章: 5'49"
第4楽章: 4'56" 
冒頭から溌剌とした、それでいて深みのある良い音色に耳が惹きつけられる。技術的にも非常に高水準で洗練されているので、明快なリズム感が鮮やかに表出されており、最良の意味での現代的な演奏と言ってよいだろう。オーケストラは地味ながらも無難かつ端正な出来。
Y. Ma, E. Ormandy/Philadelphia Orchestra
第1楽章: 6'18"
第2楽章: 11'07"
第3楽章: 5'24"
第4楽章: 4'37" 
ロシア風のアクの強い響きとは異なる、いわゆる“西側”のショスタコーヴィチ演奏。しかし、この曲の初録音を伴奏したオーマンディのツボを押えた伴奏にのって繰り広げられる、マのソロは大変素晴らしい。完璧な技術に基づいた全く破綻のない音楽には、ただただ圧倒されるばかりだ。ショスタコーヴィチの音楽では求められる推進力を適切に表現するためにとんでもない技巧を要求されることが多いのだが、マのソロには何の不満も残らない。加えて、マの特質である伸びやかな歌も心地好い。また、ショスタコーヴィチの協奏曲ではオーケストラにも苛酷な要求がされているが、オーマンディ/フィラデルフィアOのコンビは、これに十二分に応えている。第4楽章の活きの良さは、特筆すべき出来。
M. Maisky, M. T. Thomas/London Symphony Orchestra
第1楽章: 6'09"
第2楽章: 11'57"
第3楽章: 5'43"
第4楽章: 4'43" 
ソロの音量が足りないために圧倒的な迫力には欠けるが、マイスキー独特のなよなよとした歌い方がうまくハマっている。鋭い切味を期待する向きには薦められないが、一つの方向として十分価値を持っている。ティルソン=トーマスの伴奏も良い。
I. Monighetti, V. Válek/Prague Radio Symphony Orchestra
第1楽章: 5'53"
第2楽章: 10'41"
第3楽章: 5'12"
第4楽章: 4'42" 
堅実な演奏であるが、この曲ではもっとソロが朗々と鳴らなければ魅力が出てこない。解釈はしっかりしており、それなりに美しいところも多いだけに惜しい。オーケストラは無難だが、あまりパッとしない。
T. Mørk, M. Jansons/London Philharmonic Orchestra
第1楽章: 6'04"
第2楽章: 12'32"
第3楽章: 6'47"
第4楽章: 4'47" 
同じ北欧出身ということもあるのか、ノラス盤と似た傾向の演奏。こちらの方がやや洗練されている。ヤーンソンスの伴奏は、ツボを押えた手堅いもの。ティンパニの強打やホルンのアクの強い音色が生きている。
A. Noras, A. Rasilainen/Norwegian Radio Orchestra
第1楽章: 6'07"
第2楽章: 12'18"
第3楽章: 5'56"
第4楽章: 4'40" 
実に丁寧で美しい演奏。すみずみまで目の行き届いた演奏で、この曲の持つ抒情性を明らかにしてくれる。骨太の男性的なノラスのソロの美質は、特に2楽章で発揮されている。オーケストラはやや弱いが、このようなタイプの演奏では特に気にならない。
C. Prieto, H. de la Fuente/Orquestra Sindonica de Xalapa
第1楽章: 6'25"
第2楽章: 11'34"
第3楽章: 5'50"
第4楽章: 4'50" 
特に酷いことはないが、別に聴くべき内容もない。
K. Rodin, K. Krimets/Russian Philharmonic Orchestra
第1楽章: 6'02"
第2楽章: 12'57"
第3楽章: 6'08"
第4楽章: 5'10" 
チェロの音が非常に良い。ソロ・オーケストラともに堅実な演奏で、技術的な不安はない。全体にもう少し踏み込んだ表現が欲しいが、十分楽しめる。
N. Rosen, E. Tabakov/Sofia Philharmonic Orchestra
第1楽章: 6'22"
第2楽章: 12'31"
第3楽章: 5'54"
第4楽章: 5'11" 
終楽章の遅めのテンポなど、なかなか面白い効果を出しているところもあるのだが、全体に節度なく使用されるポルタメント(技術的な理由だろう)や、やや下品な弾き崩しが非常に気になる。オーケストラも善戦しているが、やはり技量が足りない。気合いは入っているのだが、それだけではこの曲に太刀打ちできない。
M. Rostropovich, A. Gauk/Moscow Philharmonic Orchestra
第1楽章: 6'22"
第2楽章: 10'05"
第3楽章: 5'10"
第4楽章: 4'39" 
モスクワ初演のライヴ録音。辺り憚らぬ鼻息だけでもロストロポーヴィチの凄まじい気合は明らか。ただ、基本的なテンポ設定などはこの一か月後に行われたオーマンディとのスタジオ録音とほぼ同じであり、全体の印象はむしろ落ち着いている。ガーウクの指揮に問題があるのか、リズムが鈍重で諧謔味に欠けるのが残念。ティンパニの打ち込みも守りに入ったような大人しさが物足りない。終盤でアンサンブルに若干の乱れが見られるが、ライヴということを考えれば許容範囲内。
M. Rostropovich, E. Ormandy/Philadelphia Orchestra
第1楽章: 6'29"
第2楽章: 10'38"
第3楽章: 5'32"
第4楽章: 4'37" 
高い技巧が遺憾なく発揮されたソロと、オーケストラの美しい音色で、初録音にふさわしい演奏となっている。すみずみまで丁寧に弾かれているのが好ましいが、全体に落ち着きすぎているのがやや物足りない。実にスムーズに音楽が流れていくが、まだ完全に曲が自分のものになっていないようだ。
M. Rostropovich, K. Kondrashin/Moscow Philharmonic Orchestra
時間不詳
ライヴ録音のようだが、確かにホルンの独奏をはじめとして細かい瑕は少なくないものの、異様な興奮状態の中で展開していく音楽の凄みは格別。第1楽章の引き締まった音楽はコンドラーシンの独壇場だし、第2楽章の深い音楽は、ロストロポーヴィチとコンドラーシンによる最良の共同作業の一つといえるだろう。第4楽章はアンサンブルに危なっかしさがあるものの、全体を通してその造形の見事さが際立つ秀演に仕上がっている。録音があまり良くないのが残念。
M. Rostropovich, K. Kondrashin/Czech Philharmonic Orchestra
第1楽章: 6'08" 第2〜4楽章: 20'08" 
気合いの入ったソロと、コクのある音を聴かせるオーケストラがしっかりと噛み合った演奏。ライヴのゆえに荒い部分も多いが、曲の本質を捉えた響きが素晴らしい。第3楽章の凄まじい息づかいなど、録音の悪さにもかかわらずライヴの雰囲気がよく捉えられている。
M. Rostropovich, G. Rozhdestvensky/Moscow Philharmonic Orchestra
第1楽章: 6'02"
第2楽章: 10'19"
第3楽章: 4'29"
第4楽章: 5'01" 
出だしから、物凄い気迫に圧倒される。全盛期のロストロポーヴィチの充実しきった名演である。カデンツァの凄まじさは筆舌に尽くしがたい。終楽章はさすがに荒くなる部分も多いが、曲想とマッチしているため全く問題にならない。伴奏も理想的な音色と絶妙のリズム感でソロをもり立てている。終楽章コーダの複雑なリズムも、きちんとこなしている。ライヴの熱気が、正確でスケールの大きな高い技巧をより魅力あふれるものとしている。録音も良いとはいえないが、聴きづらいというほどではない。
M. Rostropovich, G. Rozhdestvensky/Leningrad Philharmonic Orchestra
第1楽章: 6'35"
第2楽章: 11'09"
第3楽章: 4'56"
第4楽章: 4'55" 
このコンビから想像される通りの演奏。凡百の演奏とは一線を画している、のだが、どうもピンとこない。いつも通りの荒い鼻息、終演後の熱烈な拍手。いずれをとっても名演/熱演と形容したいところなのだが、気持ちが完全に空回りしていると言わざるを得ないだろう。アンサンブルも完璧とは言い難く、何とも消化不良の印象を拭いきれない。彼らにしては、不出来の部類に入る演奏ではないだろうか。
M. Rostropovich, D. Oistrakh/Moscow Philharmonic Orchestra
第1楽章: 6'03"
第2楽章: 10'18"
第3楽章: 4'46"
第4楽章: 4'26" 
いかにもロシア人演奏家らしい、アクの強い響きに惹かれる。ロストロポーヴィチのソロは、いつもながらのスケールの大きさと鋭い切味を持っている。オーイストラフの指揮にやや鈍重さが感じられるのが惜しいが、ティンパニの強打やホルンの強烈な吹奏はなかなか魅力的だ。ただ、ライヴということもあり、かなり荒っぽい。なお、REVELATION盤でカップリングになっている第2番は、時間表記を見ても明らかなように全く別の曲である(僕は知らない曲です。ご存じの方、教えてください。)。購入される場合には注意されたい。
M. Rostropovich, E. Svetlanov/USSR State Symphony Orchestra
第1楽章: 5'48"
第2楽章: 10'09"
第3楽章: 4'34"
第4楽章: 4'20" 
理想的なショスタコーヴィチの響き。リズムの処理が明快で安心して聴くことができる。しかし、ソロとオーケストラの呼吸が今一つで、やや不完全燃焼のような印象を受ける。終楽章が一番良い出来。
M. Rostropovich, 小澤征爾/London Symphony Orchestra
第1楽章: 6'19"
第2楽章: 9'59"
第3楽章: 5'04"
第4楽章: 4'39" 
全体に余裕が感じられる、風格のある演奏。しかし、往年の切味や凄みよりは、やや粘着質なアクの強い歌い回しが耳につく。好みの問題だろうが、僕の好みではない。小澤の指揮は巧いものだが、音色やリズムの生かし方があまりパッとしない。
M. Sádlo, K. Ancerl/Czech Philharmonic Orchestra
第1楽章: 6'04"
第2楽章: 11'04"
第3楽章: 6'37"
第4楽章: 4'47" 
落ち着いた演奏だが、この曲を弾くにはソロの線が細すぎる。オーケストラも同様の印象で、響き自体は美しいだけに惜しい。
N. Shakhovskaya, G. Rozhdestvensky/Moscow Radio Symphony Orchestra
第1楽章: 6'12"
第2楽章: 10'08"
第3楽章: 4'46"
第4楽章: 4'52" 
同じ伴奏によるロストロポーヴィチ盤とよく似た演奏。ロジデーストヴェンスキイによる伴奏は、ティンパニの強打を含めて全く同じといってよい。ソロは高音部に若干張りがないようにも感じられるが、高い技巧に支えられた全体を貫く緊張感が大変素晴らしい。
H. Schiff, M. Shostakovich/Symphonie Orchester des Bayerischen Rundfunks
第1楽章: 6'00"
第2楽章: 11'03"
第3楽章: 6'06"
第4楽章: 4'28" 
ソロもオーケストラも大変きれいな音がしている。スコアを見ながら聴くには最適かもしれない。ただ、リズムに切れがない(伴奏のマクシームの責任が大きいのだろう)ことと、シフの音が強烈なテンションの高さとは違う種類のものであることが惜しい。
H. Schiff, C. v. Dohonányi/Vienna Philharmonic Orchestra
第1楽章: 6'13"
第2楽章: 13'18"
第3楽章: 5'41"
第4楽章: 4'46" 
安定した演奏と言うことができるだろう。ライヴゆえの瑕は皆無ではないが、演奏自体にはライヴであることを意識させるような熱さが感じられない。音色の美しさはなかなかだが、さすがにソロにはやや荒っぽくなる瞬間もある。精度は決して低くないのだが、音楽に今一つ力がないのが惜しい。終演後の拍手にも熱狂は全く感じられない。
V. Spanoghe, E. Tabakov/Sofia Soloists Symphony Orchestra
第1楽章: 6'15"
第2楽章: 12'00"
第3楽章: 6'30"
第4楽章: 4'55" 
オーケストラは、おそらく弦楽器の室内アンサンブルであるソフィア・ゾリスデンを中心に管楽器等を補強した団体ではないかと推察されるが、雰囲気は悪くないものの響きに求心力がない。特に、ホルンに力強さが欠けていることが致命的。ソロも技術的な不満はないとはいえ、やはり強靭さが感じられないのは物足りない。カデンツァではしっかりと間合いをとった重厚な表現を志向しているが、そのわりに音楽自体は軽い。
J. Starker, M. Andreae/Orchestra della Radiotelevisione della Svizzera Italiana
第1楽章: 5'54"
第2楽章: 10'58"
第3楽章: 4'33"
第4楽章: 4'52" 
全体に自己流の弾き崩しが好ましくない。特に1楽章はひどい。技術的にはしっかりしているが、オーケストラの弱さとも相まってネガティヴな印象しか残らない。
P. Strauch, A. Myrat/Le Sinfonietta Orchestre Régional de Picardie
時間不詳
ソツなくまとまっているものの、全く凄みが感じられない。切れ味の鋭さもなく、この作品を聴く喜びはあまり感じられない。オーケストラも同じような印象だが、こちらはそれなりに美しさが感じられる瞬間もないわけではない。
T. Thedéen, J. DePreist/Malmö Symphony Orchestra
第1楽章: 6'02"
第2楽章: 12'06"
第3楽章: 6'08"
第4楽章: 5'04" 
しっかりとした演奏なのだが、チェロの低音に力がないために線の細い印象を受ける。ソロ・オーケストラ共に丁寧に楽譜を読んでいることは分かるだけに、惜しい。
M. Tolpygo (Va), D. Kitaenko/Soloist's Ensemble of USSR State Symphony Orchestra
時間不詳
ベートーヴェン四重奏団のヴィオリスト、ボリソーフスキイがヴィオラ独奏用に編曲したもの。独奏者はボリソーフスキイ門下で、当時ソヴィエト国立交響楽団の首席ヴィオラ奏者だった。技術的には優れた出来で、ボリソーフスキイ譲りの深く豊かな音色は素晴らしい。演奏も立派なものだが、さすがにオクターヴの変更などで生じる違和感は拭いきれないのが残念。オーケストラは冴えない。
P. Tortelier, P. Berglund/Bournemouth Symphony Orchestra
時間不詳
全体にバランスのよくとれた佳演。聴き手を圧倒するタイプの演奏ではないが、すみずみまで丁寧に仕上げられていながらもたっぷりとしたスケール感を保っているのが立派。リズムの切れ味やアクの強い節回しなどに物足りなさを感じることは確かだが、この気品漂う雰囲気は決して悪くない。
R. Wallfisch, G. Simon/English Chamber Orchestra
第1楽章: 6'36"
第2楽章: 12'52"
第3楽章: 5'30"
第4楽章: 5'00" 
解釈自体はなかなかのものなのだが、録音のせいか、ソロもオーケストラも音がきつくて汚い。迫力とか壮絶さにはつながらず、単に乱暴で雑な印象しか残らない。それ以外の点においては、しっかりとした演奏。
S. Wieder-Atherton, J. Fürst/Sinfonia Varsovia
第1楽章: 6'22"
第2楽章: 11'51"
第3楽章: 6'21"
第4楽章: 5'03" 
やや渋めの心地好い音色で奏でられる歌は、それなりに魅力的。ただ、オーケストラと拮抗するには、いささか腕力不足の感が否めない。表現の幅が狭く、平坦な音楽に聴こえてしまうのが惜しい。
P. Wispelwey, R. Tognetti/Australian Chamber Orchestra
第1楽章: 6'30"
第2楽章: 11'22"
第3楽章: 6'08"
第4楽章: 4'36" 
きれいにソツなくまとめられている。丁寧に楽譜を読み込んだ跡が窺われ、時折考えすぎてしまったような部分もあるものの、全体的にはポイントをはずしていない。オーケストラも弦楽器はしっかりとしており、ティンパニの強打も効いている。ただし、ホルンは力量不足。

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Last Modified 2014.07.08

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