現在私が所有している録音の一覧です。ステレオまたはディジタルのスタジオ録音のCDをデフォルトとして表記し、それ以外の物については“備考”欄に記します。独奏者の名前をクリックすると、その録音についてのコメントを見ることができます。なお、★印による評価は演奏と録音の両方を考慮しており、5点満点です。また、ディスク番号をクリックするとジャケット画像が別ウィンドウに表示されます。
ヴィオラ | ピアノ | 録音年 | レーベル | 番号 | 備考 | 評価 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
AMBARTSUMIAN, Levon | SHELUDYAKOV, Anatoly | 2003 | Phoenix | PHCD 155 | |||
BARTHOLDY, Annette | DRAKE, Julius | 2001 | Naxos | 8.557231 | |||
BASHMET, Yuri | RICHTER, Sviatoslav | 1982 | tnc Recordings | CD-H1475-76A&B (3) | Live(17 & 18 Sep.) | ||
BASHMET, Yuri | RICHTER, Sviatoslav | 1982 | Yedang | YCC-0106 | Live(26 Sep.) | ||
BASHMET, Yuri | RICHTER, Sviatoslav | 1985 | Victor | VDC-5541 | Live(6-8 Mar.) | ||
BASHMET, Yuri | MUNTIAN, Mikhail | 1991 | RCA | 09026-61273-2 | |||
BEZVERKHNY, Mikhail | SERGEYENYA, Timur | 2003 | Northern Flowers | NF/PMA 9921/9922 | |||
BORISOVA, Viera | PACHECO, Ignacio | 1986 | Egrem | LD-4403 | LP | ||
BUKAC, Vladimir | KASMAN, Yakov | 2005 | Calliope | CAL 9355 | |||
CAUSSÉ, Gérard | ENGERER, Brigitte | 2011 | Mirare | MIR 172 | |||
CHORZELSKI, Krzysztof | APEKISHEVA, Katya | 2010 | Champs Hill Records | CHRCD029 | |||
COLETTI, Paul | BUSH, Phillip | Ars Produktion | FCD 368316 | ||||
CREITZ, James | SARBU, Mihail | 1990-1 | Dynamic | CDS 61 | |||
DRUZHININ, Feodor | MUNTIAN, Mikhail | 1975 | Victor | VICC-2049 | Le Chant du Monde-LDC 278 1018/19 | ||
ELS, Susanne van | DE LEEUW, Reinbert | 2007 | Etcetera | KTC 1351 | |||
FRANZEWA, Alexandra | MOKROSCH, Viola | 1999 | Cadenza | CAD 800 851 | |||
GOLANI, Rivka | SANDERS, Samuel | 1984-5 | Discopedia | MBS 2021/2 | LP | ||
GOLANI, Rivka | LENEHAN, John | 2006 | Hungaroton | HCD 32743-44 | Live(28 Mar.) | ||
GROSZ, Amihai | KIM, Sunwook | 2019 | Alpha | ALPHA 634 | |||
HASEGAWA, Yayoi | NODAIRA, Ichiro | 1998 | Ongaku no Tomo Sha | OCD 0068 | Live(9 Sept.) | ||
HILLYER, Raphael | DE LEEUW, Reinbert | 1989 | Koch | 3-1161-2 | |||
IMAI, Nobuko | PÖNTINEN, Roland | 1986 | BIS | BIS-CD-358 | |||
JAKUBOVSKY, Dmitry | URJASH, Igor | Elap | 44175CD | ||||
KASHKASHIAN, Kim | LEVIN, Robert | 1990 | ECM | 1425 | |||
KEULEN, Isabelle van | BRAUTIGAM, Ronald | 1992 | Fidelio | 9203 | Brilliant-7535, Brilliant-8128 | ||
KHOLODENKO, Anton | MILSTEIN, Sergueï | 1993 | REM | 311210 | |||
LAREDO, Jaime | KALICHSTEIN, Joseph | 1995-6 | Arabesque | Z6698 | |||
LÉNERT, Pierre | REYES, Eliane | 2011 | Integral Classic | INT 221.243 | |||
MEINICH, Ada | ASHKENAZY, Vladimir (Pf) | 2015 | Decca | 478 9382 | |||
MINKLER, Peter | JOHNSON, Lura | 2008 | Centaur | CRC 3049 | |||
MINTZ, Schlomo | POSTNIKOVA, Viktoria | 1991 | Erato | 2292-45804-2 | |||
MYRUP, Claus | TOFTEMARK, Lotte | 2001 | Classico | ClassCd 420 | |||
PĚRUŠKA, Jan | KŮDA, František | 1986 | panton | 81 0665-1 | LP | ||
PĚRUŠKA, Jan | KŮDA, František | 2003 | Artesmon | AS 712-2 | |||
RACHLIN, Julian | GOLAN, Itamar | 2004 | Warner | WPCS-11881/2 | |||
SCHUMANN, Manfred | CZAPSKI, Jutta | Eterna | 0031512BC | edel-01592CCC | |||
STANCHEV, Ognyan | EVTIMOV, Ivan | 1984 | Balkanton | BKA 11424 | LP | ||
SUK, Josef | PANENKA, Jan | 1976 | Supraphon | 25CO-3194 | Supraphon-1111 2000 G(LP) | ||
TANAMURA, Mazumi | SCHNURR, Friedrich Wilhelm | 1994 | Meister Music | MM-1002 | Live(Mar.) | ||
TCHAVDAROV, Zahari | ZAHARIEVA, Albena | 1977 | BIS | BIS-CD-81 | |||
TELECKY, Milan | MAJLINGOVÁ, Lydia | 1976 | Rediffusion Aurora | AUR 5051 | LP, Opus-9111 0492(LP) | ||
THOMAS, Milton | STEVENSON, Doris | 1981 | Laurel Record | LR-118 | LP | ||
TOLPYGO, Mikhail | GONZÁLEZ, Manuel | Urtext | JBCC 116 | ||||
TOMTER, Lars Anders | GIMSE, Håvard | 2003 | Somm | SOMMCD 030 | |||
DUO TSCHOPPBOVINO (Mirjam Tschopp (Va), Riccardo Bovino (Pf)) | 2015 | Genuin | GEN 16428 | ||||
USCHER, Nancy | STERNFIELD, Allan | 1979 | Musical Heritage Society | MHS 4484 | LP | ||
UZUKA, Toshiyuki | PENNETIER, Jean-Claude | 1991 | fontec | FOCD3146 | |||
VEREBES, Robert | BARTLETT, Dale | 1987 | Société nouvelle d'enregistrement | SNE-535 | LP | ||
YUROV, Yuri | KRAINEV, Vladimir | 1978 | Melodiya | 33 C 10-11381-82 | LP | ||
ZIMMERMANN, Tabea | HÖLL, Hartmut | 1991 | EMI | TOCE-7853 | |||
【チェロ用編曲(D. Shafran編)】 | |||||||
チェロ | ピアノ | 録音年 | レーベル | 番号 | 備考 | 評価 | |
BEKOVA, Alfia | BEKOVA, Eleonora | 1996 | Chandos | CHAN 9526(2) | |||
ELSCHENBROICH, Leonard | GRYNYUK, Alexei | 2012 | Onyx | ONYX 4116 | |||
KLEINHAPL, Friedrich | WOYKE, Andreas | 2003 | Ars Produktion | ARS 38 003 | SACD | ||
KNIAZEV, Alexander | VOSKRESENSKY, Mikhail | 2001 | Exton | OVCL-00202 | |||
PRAUSE, Petr | KASMAN, Yakov | 2002 | Calliope | CAL 9326 | |||
SHAFRAN, Daniil | GINSBURG, Anton | 1975 | Victor | VICC-2049 | |||
SPANOGHE, Viviane | DE GROOTE, André | 2008 | talent | DOM 3810 12-13 | |||
WALLFISCH, Raphael | YORK, John | 2000 | Black box | BBM1032 | |||
PRIETO, Carlos | STEVENSON, Doris | 2006 | Urtext | JBCC 123 | Arr. by C. Prieto. | ||
【ヴィオラと室内オーケストラのためのソナタ 作品147a(V. Mendelssohn編)】 | |||||||
ヴィオラ | 指揮者 | オーケストラ | 録音年 | レーベル | 番号 | 備考 | 評価 |
BASHMET, Yuri | KREMER, Gidon | Kremerata Baltica | 2005 | DG | 477 6196 | ||
MENDELSSOHN, Vladimir | MARKIZ, Lev | Nieuw Sinfonietta Amsterdam | 1992 | Globe | GLO 5093 |
L. Ambartsumian, A. Sheludyakov | ||||||||
第1楽章: | 9'17" | 第2楽章: | 6'31" | 第3楽章: | 13'52" | |||
ごく平凡な内容。特に、ピアノの表現意欲の希薄さが気になる。ヴィオラの方は、左手の技術についての不満は特にない。楽器の質の問題なのかもしれないが、低音の力強さはあるものの全体に肌理の粗い音色で、特に高音の艶に不足するのは残念。 | ||||||||
A. Bartholdy, J. Drake | ||||||||
第1楽章: | 11'20" | 第2楽章: | 7'32" | 第3楽章: | 15'38" | |||
作品に対する丁寧な姿勢は窺えるが、表現の幅が狭いために全体として単調な印象。これはヴィオリストだけの問題ではなく、ピアニストの責任もかなり大きい。 | ||||||||
Y. Bashmet, S. Richter | ||||||||
第1楽章: | 11'06" | 第2楽章: | 6'20" | 第3楽章: | 17'39" | |||
同時期のライヴ録音と、内容はほぼ同一。敢えて違いを言うならば、録音がやや遠い感じのため、熱気よりは沈み込むような瞑想性が強く感じられる。 | ||||||||
Y. Bashmet, S. Richter | ||||||||
第1楽章: | 11'02" | 第2楽章: | 6'18" | 第3楽章: | 16'58" | |||
同じ顔合わせによる3年後の録音と基本的には同じ傾向の演奏だが、こちらの方が若干早めのテンポで勢いがある。このデュオの完成した姿は後年の録音に示されているものの、この録音に聴かれる熱気も捨て難い。 | ||||||||
Y. Bashmet, S. Richter | ||||||||
第1楽章: | 11'45" | 第2楽章: | 6'58" | 第3楽章: | 17'05" | |||
バシメートの卓越した技巧を存分に味わうことができる。粘着質の歌い回しには好き嫌いが分かれるだろうが、ヴィオラという楽器の魅力が最大限に引き出されている。リヒテルの巨大で圧倒的な伴奏も特筆すべき出来。深淵で瞑想的な雰囲気は、リヒテルの音楽性に負うところが大だろう。比類なき精度とスケールの大きさ、そして内面的な燃焼度を誇る名演。 | ||||||||
Y. Bashmet, M. Muntian | ||||||||
第1楽章: | 11'24" | 第2楽章: | 6'52" | 第3楽章: | 17'53" | |||
旧盤では、いささかリヒテルの音楽に押し切られてしまったバシメートの音楽性が、遺憾なく発揮されている。とにかくよく歌うヴィオラ(筆者にはややねちっこ過ぎるが)が、軟派ながらも魅力的。技術的な至難な部分を感じさせない鮮やかな技巧と相まって、スコアに込められたあらゆる表情がもれなく表現されている。ムンチャンの伴奏は強烈に主張するようなことはないが、初演者という自信と確信に満ちたサポートぶりには、安心して耳を委ねることができる。両端楽章の極端に遅いテンポも、全く弛緩することがない。 | ||||||||
M. Bezverkhny, T. Sergeyenya | ||||||||
第1楽章: | 12'37" | 第2楽章: | 8'34" | 第3楽章: | 17'48" | |||
残念ながら演奏の水準が低い。弱音に傾倒した表現そのものに問題はないのだが、技術的に心許ない上に、肝心のヴィオラの音色がその表現に耐えられ得るものではない。下手なクレーメルといった感じ。また、テンポが遅過ぎで、思わせぶりなだけの平面的な音楽に終始している。 | ||||||||
V. Borisova, I. Pacheco | ||||||||
第1楽章: | 8'41" | 第2楽章: | 6'33" | 第3楽章: | 12'43" | |||
キューバはハバナのレーベルということで、優れたリズム感が聴けるのではないだろうか(偏見以外の何ものでもありませんね(^^;)など色々と期待してしまうが、完全な期待はずれ。使っている楽器もよくないのだろうが、重音奏法での汚い音など技術的な問題が多々ある。音楽的にも表面をなぞった以上のものは聴かれない。 | ||||||||
V. Bukac, Y. Kasman | ||||||||
第1楽章: | 10'45" | 第2楽章: | 6'45" | 第3楽章: | 13'58" | |||
幾分鈍重な演奏。第2楽章では、技術的なもたつきも気になる。ただ、第3楽章だけは歯車が噛みあったかのように、充実した仕上がりとなっている。 | ||||||||
G. Caussé, B. Engerer | ||||||||
第1楽章: | 10'05" | 第2楽章: | 7'59" | 第3楽章: | 16'21" | |||
ヴィオラらしい哀愁漂う深い音色でありながらも、澄み切った明るさが印象的。ドルジーニン的な辞世の歌ではなく、浄化され切った白鳥の歌といった佇まいで、際立った美演である。 | ||||||||
K. Chorzelski, K. Apekisheva | ||||||||
第1楽章: | 10'24" | 第2楽章: | 7'16" | 第3楽章: | 15'18" | |||
ベルチャQのヴィオラ奏者であるホジェルスキの演奏は、力みを感じさせることなく伸びやかに気持ちよく楽器が鳴っており、左手の精度も極めて高水準であることに加え、フレーズ間のちょっとした間合いや、自在に伸び縮みしつつも一貫して揺るぎない律動が持続する絶妙なリズム感、透明でありながらも奥行きのある最弱音の響きなど、ベルチャQの美点が集約されている。 | ||||||||
P. Coletti, P. Bush | ||||||||
第1楽章: | 9'11" | 第2楽章: | 6'30" | 第3楽章: | 14'06" | |||
しっかりとした音で丁寧に演奏しているのが好ましい。全体に淡々とした弾きぶりだが、それなりに雰囲気は出ている。ただ、第2楽章などで聴かれるわざとらしい表情付けには、あまり納得できない。また、作品が持つ微妙で複雑なニュアンスが捉えきれてないので、コーダの感銘が薄い。 | ||||||||
J. Creitz, M. Sarbu | ||||||||
第1楽章: | 8'05" | 第2楽章: | 7'01" | 第3楽章: | 11'09" | |||
つつがない演奏ではあるが、それに終始する。この演奏では作品の魅力が十分に伝わることはないだろう。 | ||||||||
F. Druzhinin, M. Muntian | ||||||||
第1楽章: | 8'30" | 第2楽章: | 6'49" | 第3楽章: | 14'23" | |||
初演者による録音。そうした歴史的価値だけではなく、真摯な演奏は依然として圧倒的な力を持っている。高音部の音程などに若干不安定な要素も見られるが、ロシア流儀の太く深い音色は大変素晴らしい。後期の弦楽四重奏曲を数多く演奏してきた経験からか、ショスタコーヴィチ最晩年の様式を完全に手中におさめている安心感がある。変な癖や小細工といったものとは全く無縁の演奏だが、だからこそなお曲の素晴らしさが完璧に表出されている。名演。 | ||||||||
S. van Els, R. de Leeuw | ||||||||
第1楽章: | 9'54" | 第2楽章: | 7'55" | 第3楽章: | 17'42" | |||
テンポ設定から細かい表情に至るまで、ごく模範的な演奏。彼女の暗くヴィオラらしい音色は美しいものの、個性に欠けるように感じられるせいか、優れた内容にもかかわらず印象は薄いのが惜しい。 | ||||||||
A. Franzewa, V. Mokrosch | ||||||||
第1楽章: | 8'46" | 第2楽章: | 7'29" | 第3楽章: | 13'54" | |||
奏者の技量が不足している。結果として勢いに任せただけの演奏となっており、非常に不満を感じる。雑音成分の多い音色も美しくない。 | ||||||||
R. Golani, S. Sanders | ||||||||
第1楽章: | 8'32" | 第2楽章: | 7'12" | 第3楽章: | 13'50" | |||
早目のテンポに落ち着きのなさが感じられるのは残念だが、解釈そのものはごく標準的なもの。第3楽章で技術的な不安定さが露呈すること以外は、取り立てて特記すべきことはない。 | ||||||||
R. Golani, J. Lenehan | ||||||||
第1楽章: | 9'03" | 第2楽章: | 7'39" | 第3楽章: | 16'22" | |||
録音のせいかヴィオラの音色が少しキツく耳に刺さるが、加齢に伴う衰えなどは一切感じられず、スケールの大きな覇気が漲る音楽は聴き手を魅了するに十分なもの。劇的な表現が過度に聴こえる箇所があるものの、全体的には適正な様式感を保った立派な演奏である。 | ||||||||
A. Grosz, S. Kim | ||||||||
第1楽章: | 9'39" | 第2楽章: | 7'32" | 第3楽章: | 15'54" | |||
非常に大柄でソリスティックな演奏。傑出した技巧で自在な表現を聴かせるが、私には少し過剰であるように感じられる。私の好みとしては、もっと沈潜した語り口を求めたいところ。ただ、めっぽう巧いのは確かで、ヴィオラという楽器の魅力は存分に味わうことができる。 | ||||||||
長谷川弥生, 野平一郎 | ||||||||
第1楽章: | 9'16" | 第2楽章: | 7'16" | 第3楽章: | 14'34" | |||
技術的には、より一層の洗練を求めたい部分もあるものの、十分水準に達した仕上がり。ただ、思い入れのあまりか、どぎつい表現には違和感が残る。過剰な演出や表情付けが、逆に作品の美しさや深さを過小に見せてしまう。 | ||||||||
R. Hillyer, R. De Leeuw | ||||||||
第1楽章: | 10'50" | 第2楽章: | 7'58" | 第3楽章: | 18'18" | |||
どことなく鄙びた音色に衰えを感じなくもないが、技術的には不満のない演奏。ロシア風の深い響きとは対照的に、無機質なまでの堅い透明な響きが印象的。もちろん、ヴィオラの美質は十分に発揮されている。決して感傷に溺れることのない硬派な音楽が素晴らしい。 | ||||||||
今井信子, R. Pöntinen | ||||||||
第1楽章: | 9'49" | 第2楽章: | 7'04" | 第3楽章: | 15'36" | |||
やや甘口ではあるが、ヴィオラの美質を十二分に発揮した美演。ペンティネンのピアノも素晴らしい。過剰な思い入れを排したあっさり目のテンポ設定(初演者ドルジーニンらのものとほぼ同じ)が、歌い口の甘さに反して硬派な印象を作り出している。作品の内容を的確に捉え、そして余すところなく表出した名演。 | ||||||||
D. Jakubovsky, I. Urjash | ||||||||
第1楽章: | 11'39" | 第2楽章: | 7'46" | 第3楽章: | 17'01" | |||
海賊盤CDのため、演奏者表記には甚だ疑問が残る。演奏自体もヴィオリストの技術に不満が残り、曲を味わうというレベルには達していない。ピアニストも音に力がなく、全体に単調な音の羅列にしかなっていない。 | ||||||||
K. Kashkashian, R. Levin | ||||||||
第1楽章: | 9'07" | 第2楽章: | 7'17" | 第3楽章: | 15'08" | |||
硬質な輝きを持った、辛口の演奏。とはいえ、フレーズの端々に官能的な歌い回しが聴かれるので、とっつき辛いことはない。低音弦の深い響きにはやや乏しいが(録音のせい?)、非常にバランスのとれた技術的に安定した演奏に仕上がっている。ピアノとの音楽的な関連も十全で、この作品の多様な側面を立派に描き出している。 | ||||||||
I. v. Keulen, R. Brautigam | ||||||||
第1楽章: | 8'23" | 第2楽章: | 6'56" | 第3楽章: | 11'50" | |||
典型的なヴァイオリニストのヴィオラ。技術的には卓越しているが、響きが若干浅い。全体に思い入れのない早目のテンポで弾ききっており、その技巧の確かさには感心するものの、内容はあまり感じられない。曲の美しさは十分に味わえるが、やや退屈な演奏。 | ||||||||
A. Kholodenko, S. Milstein | ||||||||
第1楽章: | 10'15" | 第2楽章: | 7'16" | 第3楽章: | 15'21" | |||
ヴィオリニストらしく、深いヴィオラの響きには欠けるが、雰囲気は悪くない。丁寧に楽譜を読み込んだことが窺える、落ち着いた演奏。 | ||||||||
J. Laredo, J. Kalichstein | ||||||||
第1楽章: | 10'20" | 第2楽章: | 7'48" | 第3楽章: | 16'56" | |||
曲の内容をよく理解した、安心して聴くことのできる演奏。時々顔を見せる甘い節回しには違和感を覚えることもあるが、堅実な技術でしっかりと曲を作り上げている姿勢には好感が持てる。しかしながら、個人的にはヴァイオリニスト特有の軽く明るいヴィオラの音色(奏法の流儀も影響しているが)に不満が残る。これは、好みの問題。 | ||||||||
P. Lénert, E. Reyes | ||||||||
第1楽章: | 9'15" | 第2楽章: | 7'43" | 第3楽章: | 14'58" | |||
なめらかな高音とザラついた肌合いの中低音がそれぞれに美しく、ヴィオラという楽器の魅力を味わうことができるのと同時に、精確無比な音程と明瞭な発音という技術の冴えも堪能することができる。 | ||||||||
A. Meinich, V. Ashkenazy | ||||||||
第1楽章: | 9'50" | 第2楽章: | 7'33" | 第3楽章: | 15'31" | |||
音楽的な主導権はアシケナージのピアノにあるが、殊更に前面に出てくることはなく、それでいて的確に踏み込んでいく様に、指揮者としてもキャリアを積んだ音楽家アシケナージの円熟の境地が示されている。全体に極端な表現が取られることはなく、穏当な音楽に仕上げられているものの、その着実な音楽の運びの端々に味わい深い響きを聴くことができる。ただ、少々こじんまりとし過ぎているのは物足りない。 | ||||||||
P. Minkler, L. Johnson | ||||||||
第1楽章: | 9'27" | 第2楽章: | 7'30" | 第3楽章: | 16'24" | |||
ヴァイオリン同様の明晰な響きと、ヴィオラならではの深く暗い響きとがごく自然に両立している、現在のヴィオラ界の技術水準の高さを象徴するような演奏。模範的な解釈だが、ピアノにややロマンティックな傾向があり、透明ながらも薄っすらと色付いた美しさには好みが分かれるかもしれない。 | ||||||||
S. Mintz, V. Postnikova | ||||||||
第1楽章: | 11'19" | 第2楽章: | 7'23" | 第3楽章: | 16'07" | |||
技術的な水準は非常に高い。ただ、典型的なヴァイオリニストの弾くヴィオラなので、音の深みに欠けるのが残念。ミンツ独特の粘っこい弾き方も、この作品に対しては品格を損なっているように聴こえる。ピアノ共々安心して聴くことのできる演奏ではあるのだが、少なくとも僕が求めているタイプの演奏ではない。 | ||||||||
C. Myrup, L. Toftemark | ||||||||
第1楽章: | 9'02" | 第2楽章: | 7'13" | 第3楽章: | 13'10" | |||
非常に素晴らしい内容。難所も清潔に弾ききる確かな技術にも感心するが、何よりヴィオラの美質を凝縮したような音色の見事さに惚れ惚れとする。 | ||||||||
J. Pěruška, F. Kůda | ||||||||
第1楽章: | 9'15" | 第2楽章: | 7'50" | 第3楽章: | 15'06" | |||
技術的には無難な出来。第2楽章のゆったりしたテンポは、むしろ音楽を弛緩させる結果となっている。全体に鋭さや厳しさとは無縁で、響きの豊かさにも関わらず物足りなさが残る。 | ||||||||
J. Pěruška, F. Kůda | ||||||||
第1楽章: | 8'38" | 第2楽章: | 7'26" | 第3楽章: | 13'50" | |||
技術的な切れ味は旧盤に劣るが、ゆったりとした音楽の懐の深さは本盤に軍配が上がる。ただし、鋭さや厳しさとは無縁の解釈は共通しており、残念ながら物足りなさもまた共通している。 | ||||||||
J. Rachlin, I. Golan | ||||||||
第1楽章: | 13'19" | 第2楽章: | 7'51" | 第3楽章: | 19'33" | |||
いかにもヴァイオリニストのヴィオラという音色だが、技術的には全く問題のない澄み切った響きは立派なもの。見事にコントロールされた弱音で徹底的に静謐感を描き出そうとする解釈には説得力があるものの、歌い口に軟派なところがあって筆者の好みとは異なる。 | ||||||||
M. Schumann, J. Czapski | ||||||||
第1楽章: | 8'12" | 第2楽章: | 6'28" | 第3楽章: | 14'42" | |||
出だしは、ドイツ流儀の深い音色かと期待させられるが、すぐにそのひ弱な音楽に失望させられる。真摯な演奏ではあるのだが、音に力がなく、この作品の多様な側面を十分に音化しているとは言い難い。 | ||||||||
O. Stanchev, I. Evtimov | ||||||||
時間不詳 | ||||||||
スタンチェフのヴィオラは、深くもどこか枯れた響きがしている辺り、ロシアではなく東欧の特徴が強く感じられる。全体に早めのテンポが採られているが、細部に至るまで丁寧に磨き上げられた表情に聴き応えがある。技術的にも立派な出来。 | ||||||||
J. Suk, J. Panenka | ||||||||
第1楽章: | 9'58" | 第2楽章: | 7'30" | 第3楽章: | 12'02" | |||
ヴィオラ、ピアノ共に絹のような美しい音色でしっとりと歌い込んだ演奏。渋味溢れる雰囲気はなかなかだが、作品に対する切り込みは今一つで、聴き終えた後の印象はそれほど残らないのが惜しい。 | ||||||||
店村眞積, F. W. Schnurr | ||||||||
第1楽章: | 9'18" | 第2楽章: | 7'18" | 第3楽章: | 11'25" | |||
技術的に酷い出来で、解釈云々のレベルに達していない。特に重音の音程は酷い。ほとんどぶっつけ本番だったのだろうか? | ||||||||
Z. Tchavdarov, A. Zaharieva | ||||||||
第1楽章: | 7'50" | 第2楽章: | 7'21" | 第3楽章: | 11'38" | |||
軋むような男性的なヴィオラの音色がなかなか素敵。小細工せずに淡々と音楽を紡ぐ演奏は悪くないが、物足りなさは否めない。テンポの速さ以上に音楽が駆け足で過ぎ去っていくような印象を受ける。 | ||||||||
M. Telecky, L. Majilingová | ||||||||
第1楽章: | 8'35" | 第2楽章: | 8'02" | 第3楽章: | 16'34" | |||
平凡な内容。酷評するほどではないものの、ピアノも含めて、技術的にもぱっとしない。ヴィオラの深い響き自体はなかなか魅力的だが。 | ||||||||
M. Thomas, D. Stevenson | ||||||||
Total Time: | 26'14" | |||||||
共感に満ちた、硬派で熱い演奏。少々力任せの弾き方のせいか、音色がひずんだりテンポがゆがんだりする部分もあるのが惜しいが、深みがあまり感じられないという不満は熱気溢れる盛り上げで十分にカヴァーされている。 | ||||||||
M. Tolpygo, M. González | ||||||||
第1楽章: | 8'13" | 第2楽章: | 7'05" | 第3楽章: | 11'53" | |||
正統派の解釈で端正な演奏ではあるのだが、全体に不安定なのが惜しい。音色もさることながら音楽の線が細いことがその一因だと思われる。 | ||||||||
L. A. Tomter, H. Gimse | ||||||||
第1楽章: | 8'32" | 第2楽章: | 7'09" | 第3楽章: | 14'32" | |||
いまひとつの出来。技術的な精度の甘さも気になるが、音楽的な掘り下げの浅さが何とももどかしい。この演奏では、暗いけど、何となくきれいな感じのする曲…というような印象しか持てない。 | ||||||||
Duo TschoppBovino | ||||||||
第1楽章: | 9'45" | 第2楽章: | 7'36" | 第3楽章: | 13'30" | |||
よく歌う叙情的な音楽は魅力的なだけに、ヴィオラの響きがヴァイオリン寄りであり、楽々と演奏している割りに、特に高音域が広がりのないキツい響きとなっているのが残念。 | ||||||||
N. Uscher, A. Sternfield | ||||||||
第1楽章: | 8'04" | 第2楽章: | 6'40" | 第3楽章: | 12'03" | |||
安定した技巧でよく歌っているが、音楽にコクのようなものはなく、一種のムード音楽のように流れていく。苦みのようなものがほとんど感じられないのは、物足りない。 | ||||||||
兎束俊之, J.-C. Pennetier | ||||||||
第1楽章: | 10'49" | 第2楽章: | 7'37" | 第3楽章: | 15'21" | |||
悪くない。のだが、今一つ垢抜けない。技術的にも音楽的にもあと一歩の洗練を望みたいところ。解釈は真摯なもので、丁寧に作品に取り組んでいることがよくわかる。好感の持てる仕上がりだけに、惜しい。 | ||||||||
R. Verbes, D. Bartlett | ||||||||
第1楽章: | 8'54" | 第2楽章: | 7'03" | 第3楽章: | 13'40" | |||
ヴェレベスのヴィオラは地味ながらも手堅いものだが、音色はともかく、技術的な精度は一昔前の水準。至極真っ当な演奏だが、これといった特徴がない。 | ||||||||
Y. Yurov, V. Krainev | ||||||||
第1楽章: | 9'27" | 第2楽章: | 7'25" | 第3楽章: | 14'55" | |||
骨太で伸びやかな美音が魅力的な佳演。音楽的に際立った特徴があるわけではないが、安定度の高い模範的な仕上がりになっている。 | ||||||||
T. Zimmermann, H. Höll | ||||||||
第1楽章: | 9'18" | 第2楽章: | 6'43" | 第3楽章: | 15'06" | |||
徹底的に感傷的な歌い込みで押し通した演奏。技術的な不満は全くないが、この波乱に満ちた大作曲家の到達点としては、あまりに表面的に過ぎるように感じられる。ただ、こういう美しさもこの作品の一面であることは確かで、あまりにぶっきらぼうなドルジーニン盤などよりも、この演奏を好む向きがあるのは当然だろう。 | ||||||||
A. Bekova (Vc), E. Bekova | ||||||||
第1楽章: | 12'41" | 第2楽章: | 7'17" | 第3楽章: | 18'52" | |||
締まりのない音楽。この曲をチェロで演奏することにつきまとう違和感を払拭するような演奏でもなく、取り立てて魅力は感じられない。時折耳を惹きつけられる部分は、演奏に起因するものではなく、純粋に曲の力。 | ||||||||
L. Elschenbroich (Vc), A. Grynyuk | ||||||||
第1楽章: | 10'04" | 第2楽章: | 7'00" | 第3楽章: | 16'13" | |||
編曲に伴う旋律線の変更もほとんど気にならない自然な息吹と、端正に洗練されていながらも深みのある音色が傑出している。チェロ編曲版としては決定盤である。 | ||||||||
F. Kleinhapl (Vc), A. Woyke | ||||||||
第1楽章: | 8'28" | 第2楽章: | 6'35" | 第3楽章: | 17'11" | |||
弱音の使い方に個性が感じられるものの、強奏部分が力み過ぎで耳障りな音がしている。響きの線が細いのだろうが、テンポ設定などはごくオーソドックスで、左手の精度も低くないだけにもったいない。 | ||||||||
A. Kniazev (Vc), M. Voskresensky | ||||||||
第1楽章: | 11'47" | 第2楽章: | 7'44" | 第3楽章: | 16'34" | |||
チェロで演奏したものの中では最も優れた部類に入る内容。遅めのテンポが表面的な重々しさに留まることなく、複雑怪奇な内容に対する真正面からの取組みの結果であることがよく伝わってくる。ヴォスクレセンスキイのサポートも見事。確かに旋律線の変更などに伴う違和感がないわけではないが、それを超えて聴き手に訴えかける何かがある演奏である。 | ||||||||
P. Prause (Vc), Y. Kasman | ||||||||
第1楽章: | 11'24" | 第2楽章: | 7'38" | 第3楽章: | 16'12" | |||
伸びやかに歌いつつも淡々と進められる音楽の雰囲気がなかなか良い。堅実で滑らかな演奏技術にも不満はない。 | ||||||||
D. Shafran (Vc), A. Ginsburg | ||||||||
第1楽章: | 8'46" | 第2楽章: | 6'30" | 第3楽章: | 14'39" | |||
編曲者自身による演奏。この曲をチェロでも弾きたいと思うのは、チェロ弾きならば当然のことかもしれない。しかしながら、この作品はヴィオラで演奏してこそその真価が発揮される。音域が変わり、楽器が変わることでこの作品の魅力は半減してしまう。シャフランの演奏は、自ら編曲するほどの思い入れを窺わせる情熱的なものだが、だらしのないポルタメントが頻発する軟派な演奏には、大きな違和感を覚える。テンポ設定等は、初演者ドルジーニンらの演奏を参考にしているようだ。 | ||||||||
V. Spanoghe (Vc), A. de Groote | ||||||||
第1楽章: | 9'23" | 第2楽章: | 7'46" | 第3楽章: | 14'16" | |||
志向している解釈や音楽は至極真っ当ながらも、力強さが決定的に不足している。 | ||||||||
R. Wallfisch (Vc), J. York | ||||||||
第1楽章: | 8'25" | 第2楽章: | 7'23" | 第3楽章: | 15'13" | |||
実に美しい音と達者な技巧で、チェロで弾く不利を全く感じさせない。ただ、音域の関係で旋律線が変更されてしまう違和感は、この見事な演奏でもやはり拭えない。 | ||||||||
C. Prieto (Vc), D. Stevenson | ||||||||
第1楽章: | 10'01" | 第2楽章: | 7'26" | 第3楽章: | 13'55" | |||
精緻な技巧で圧倒するタイプではないようで細部は結構緩いが、全体としてはごく教科書的な仕上がり。ただ、それ以上の特徴が全く感じられず、自ら編曲を手掛けてまで録音するほど、この作品の何に惹かれ共感しているのかが何一つ伝わってこない。 | ||||||||
Y. Bashmet, G. Kremer/Kremerata Baltica | ||||||||
第1楽章: | 11'41" | 第2楽章: | 7'05" | 第3楽章: | 17'00" | |||
響きの表面的な美しさをなぞっただけのような編曲で、実演でその響きに包まれるのならばともかく、録音で聴いても空虚なだけ。バシメートは貫禄の演奏だが、鬼気迫る張り詰めた雰囲気は薄い。 | ||||||||
V. Mendelssohn, L. Markiz/Nieuw Sinfonietta Amsterdam | ||||||||
第1楽章: | 11'19" | 第2楽章: | 7'26" | 第3楽章: | 14'14" | |||
何という軟派な音楽なのか。楽譜のアーティキュレーションも無視し、ただただ表面上の美しさに耽溺するソロには我慢がならない。伴奏を弦楽合奏にしたことも少なからず影響しているのだろう。技術的な破綻はないが、これをショスタコーヴィチの“白鳥の歌”だと思われては困る。 |
Last Modified 2023.09.29