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交響曲第4番 ハ短調 作品43

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指揮者オーケストラ録音年レーベル番号備考評価
AKUTAGAWA, YasushiNew Symphony Orchestra1986FontecFOCD3247Live(20 July)****
ASHKENAZY, VladimirRoyal Philharmonic Orchestra1989LondonF00L-20448
*****
BAREZA, NiksaCroatian Radio and Television Symphony Orchestra2000ORFEJCD ORF 314Live(27 Apr.)****
BARSHAI, RudolfGerman National Youth Orchestra1992DHMHM 1068-2Live(15 Aug.)****
BARSHAI, RudolfWDR Sinfonieorchester1996Brilliant6324Brilliant-8128*****
BOREYKO, AndreyRadio-Sinfonieorchester Stuttgart des SWR2006hänsslerCD 93.193Live (27-28 Apr.)****
BYCHKOV, SemyonWDR Sinfonieorchester Köln2005AvieAV 2114SACD****
CAETANI, OlegOrchestra Sinfonica di Milano Giuseppe Verdi2004Arts47703-2Live(March).****
CHUNG, Myung-WhunPhiladelphia Orchestra1994DGUCCG-1070
****
GERGIEV, ValeryKirov Orchestra2001Philips470 842-2Live(20-22 Nov.)****
HAITINK, BernardLondon Philharmonic Orchestra1979LondonPOCL-9255/66
****
HAITINK, BernardChicago Symphony Orchestra2008CSO-ResoundCSOR 901 814Live(May)*****
INBAL, EliahuWiener Symphoniker1992DenonCOCO-75330
****
JANSONS, MarissSymphonieorchester des Bayerischen Rundfunks2004EMI7243 5 57824 2 7
****
JÄRVI, NeemeScottish National Orchestra1989ChandosCHAN 8640
*****
JUDD, JamesEuropean Community Youth Orchestra1988Nuova Era6734Live(18 Aug.)****
KEGEL, HerbertRundfunk-Sinfonieorchester Leipzig1969WeitblickSSS0040-2Live(20 May)****
KITAENKO, DmitriGürzenich-Orchester Köln2003Capriccio71 029SACD, Live(7-11 Feb.)*****
KONDRASHIN, KirilStaatskapelle Dresden1963ProfilPH06023Live(23 Feb.)*****
KONDRASHIN, KirilMoscow Philharmonic Symphony Orchestra1966VictorVICC-40094/103Melodiya-MEL CD 10 01065*****
KONDRASHIN, KirilRoyal Consertgebouw Orchestra1971RCO LiveRCO 06004Live(10 Jan.)*****
ORMANDY, EugenePhiladelphia Orchestra1963SonySB2K 62 409
****
PREVIN, AndréChicago Symphony Orchestra1977EMI7243 5 72658 2 9
*****
RATTLE, SimonCity of Birmingham Symphony Orchestra1994EMITOCE-8747
*****
ROSTROPOVICH, MstislavNational Symphony Orchestra1992TeldecWPCC-5104
****
ROSTROPOVICH, MstislavLondon Symphony Orchestra1998AndanteSC-AN-4090Live(26 Feb.).****
ROZHDESTVENSKY, GennadyPhilharmonia Orchestra1962BBCBBCL 4220-2Live(7 Sept.)****
ROZHDESTVENSKY, GennadyWiener Philharmoniker1978CincinCCCD 1021Live****
ROZHDESTVENSKY, GennadyBolshoi Theatre Orchestra1981Russian DiscRD CD 11 190Live(28 Mar.)*****
ROZHDESTVENSKY, GennadyUSSR Ministry of Culture State Symphony Orchestra1985VictorVICC-40001/11Praga-PR 250 090, Melodiya-A10 00319 000(LP, with `My work at Symphony No. 4 by D. Shostakovich' by G. Rozhdestvensky.)*****
ROZHDESTVENSKY, GennadyUSSR Ministry of Culture State Symphony Orchestra1987Brilliant9019Live(24 May)*****
SALONEN, Esa-PekkaLos Angeles Philharmonic2011DG479 0249
****
SHOSTAKOVICH, MaximPrague Symphony Orchestra1998SupraphonSU 3353-2 031Live(3 & 4 Feb.), Supraphon-SU 3890-2****
SIMONOV, YuriOrchestre National de Belgique1996CypresCYP 2618Live(16-18, Feb.)*****
SINAISKY, VassilyBBC Philharmonic2000BBCMM220Live(20 July)****
SLATKIN, LeonardSaint Louis Symphony Orchestra1989BMG09026-600887-2
*****
SLOVÁK, LadislavCzecho-Slovak Radio Symphony Orchestra1988Naxos8.550625
****
VENZAGO, MarioSwiss Philharmonic Orchestra1997MGBCD 6149Live(20 Sept.)****
HAYROUDINOFF, Rustem & STONE, Colin (Pf)2004ChandosCHAN 10296Arr. for two pianos by D. D. Shostakovich.****

芥川也寸志/新交響楽団
第1楽章: 26'52"
第2楽章: 8'48"
第3楽章: 26'38" 
日本初演時のライヴ録音。アマチュアがこの大曲の初演を手がけたことにも驚かされるが、その曲理解と共感の深さには更に驚かされる。もちろん技術的には十全と言い難いが、それを補って余りある熱さが感じられる演奏である。
V. Ashkenazy/Royal Philharmonic Orchestra
第1楽章: 25'14"
第2楽章: 8'50"
第3楽章: 24'09" 
アシケナージによる交響曲シリーズ中、最も出来の良い演奏の一つ。各楽器(特に金管楽器と打楽器)の効果が自然に強調され、曲の流れを重視した演奏となっている。この難解な曲を分かりやすく聴かせるという点では、傑出している。ただ、オーケストラに力量不足が感じられる部分も少なくなく(第1楽章のフーガ等)、時折音楽が断片的になってしまうのが惜しい。
N. Bareza/Croatian Radio and Television Symphony Orchestra
第1楽章: 26'44"
第2楽章: 8'33"
第3楽章: 27'45" 
まず、テンションの高さが、いくらライヴだからといえ、異常過ぎる。冒頭から勢い余り過ぎて、こめかみから血が噴き出しているかのよう。次に、技術的にはいかにも旧東側の田舎オケといった風情で、率直に言って下手。少なくとも録音で繰り返し鑑賞するには、崩壊している箇所が多すぎる。したがって、勢いに任せた猛烈に荒っぽい演奏…なのだが、奏でられている音楽には、妙に胸をざわつかせられる。お世辞にも上質とは言えない演奏ながらも、恥ずかしいほどストレートに作品の本質を聴き手にぶつけてくるような、そんな不思議な音楽である。手放しで賞賛することはできないが、無視することもできない。
R. Barshai/German National Youth Orchestra
第1楽章: 26'50"
第2楽章: 9'05"
第3楽章: 26'35" 
解釈自体はよく練られたもの。しかしながらオーケストラの音が軽く、全体に非力な印象を拭い去ることができない。弱音の表現力も強音の爆発力にも欠ける。バルシャーイのスマートな音楽の運びが独特なだけに、その魅力が発揮しきれなかったのは残念。
R. Barshai/WDR Sinfonieorchester
第1楽章: 27'15"
第2楽章: 8'45"
第3楽章: 26'04" 
非常に誠実で衒いのない、理知的な秀演。一見散漫に感じられるこの作品を、緊密な構成を感じさせながら模範的にまとめあげている。それでいて、断片的な各々のエピソードの個性を十分に生かしているところが素晴らしい。全体にやや生真面目すぎて、はったりの効いた面白みには欠けるが、それは聴き手個人の趣味によって評価がわかれるところだろう。オーケストラは傑出しているとまでは言えないものの、健闘している。
A. Boreyko/Radio-Sinfonieorchester Stuttgart des SWR
第1楽章: 27'51"
第2楽章: 9'52"
第3楽章: 27'39" 
オーケストラの特性でもあるのか、落ち着いた渋い音色と、端正に整えられたアンサンブルが印象的。音量的には、鳴らすべきところで鳴らしているのだが、全体のテンションはむしろ地に足がついた雰囲気と言うべきだろう。響きのせいもあって、ショスタコーヴィチの鋭さよりも、マーラーのロマンティシズム(こう表現して良いのかはわからないが)を強く想起させるような仕上がりになっているのが面白い。
S. Bychkov/WDR Sinfonieorchester Köln
第1楽章: 27'48"
第2楽章: 8'59"
第3楽章: 27'32" 
端正な音楽作りに好感が持てる。古典的とさえ言える構成感で全曲を仕上げているが、洗練された響きと相まって、いささか小粒にまとまり過ぎた感も否めない。この作品に対する聴き手の思い入れによって、評価は大きく分かれるだろう。
O. Caetani/Orchestra Sinfonica di Milano Giuseppe Verdi
第1楽章: 26'35"
第2楽章: 8'59"
第3楽章: 25'47" 
丁寧な音楽作りには好感が持てるが、オーケストラに今一つ冴えがない。収拾のつかない音楽の奔流を描き出すには力不足。
M. Chung/Philadelphia Orchestra
第1楽章: 27'04"
第2楽章: 8'08"
第3楽章: 25'21" 
録音済みとの情報が先行し、発売が長らく待たれた録音だが、その期待に十分に応えるとまでは言い難い内容。早目のテンポでオーケストラの機能を存分に生かした演奏は、いわゆる“スマートで現代的”なのだろうが、豊穣な響きに酔いしれているだけで作品が持つ苦みや狂暴性が描ききれていない。チョンならではの明快な構成感もあってこの作品に初めて接する聴き手には良いかもしれないが、それ以上の内容は残念ながらない。
V. Gergiev/Kirov Orchestra
第1楽章: 28'58"
第2楽章: 8'01"
第3楽章: 27'10" 
やはり、ゲールギエフにショスタコーヴィチは合わないのだろう。心を打つものがないばかりか、純粋に音楽的な観点からも冴えが感じられない。もちろん、オーケストラはうまい。うまいのだが、凄さを感じない。このコンビの他の録音には、好き嫌いは別として感心する部分が必ずといってよいほどある。しかし、この録音にはそれがない。あえて言うならば、第3楽章のまとめ方のうまさだろうか。極端なロシア風味ではなく、技術的に高精度の演奏が繰り広げられているという点で、この演奏が広く受け入れられたのかもしれないが、これが本当に“わかりやすい”演奏なのだろうか?そもそも、この第4交響曲は“わかりやすい”作品なのだろうか?この演奏を高く評価することは、僕にはどうしてもできない。
B. Haitink/London Philharmonic Orchestra
第1楽章: 28'46"
第2楽章: 9'05"
第3楽章: 29'32" 
堅実で安定した音楽。この複雑で謎に満ちた曲を、丁寧に解きほぐすかのような解釈には好感が持てる。しかし、オーケストラのキャラクターのためか、全体に鋭い切れ味に欠ける。よく言えばまろやかな響きということになるのだろうが、全てがその響きの中に包み込まれてしまい、切実なメッセージがあまり感じられない結果になってしまった。
B. Haitink/Chicago Symphony Orchestra
第1楽章: 29'39"
第2楽章: 9'41"
第3楽章: 31'06" 
シカゴSOという名器を操り、憎らしいまでの余裕に満ちた音楽が奏でられる。スケールは極めて大きく、終結の静寂に向かって、楽章単位ではなく全曲を通したクライマックスの構成がなされているので、たとえば第1楽章展開部のフーガで暴発するようなことはない。全体にゆったりとしたテンポは、この作品の抒情的な側面を、今まで誰もやったことがないような感じで顕にしている。この演奏は、ハイティンクが辿り着いた一つの極致に違いないし、作品の本質に鋭く迫っていることに疑う余地はない。オーケストラの響きも極上。だが、後先考えないやみくもな勢いというのが、やはりこの作品には不可欠ではないだろうか。ここまで“大人”な音楽に仕上がってしまうと、違和感の方が先に立ってしまう。

ボーナスDVDは、シカゴSOが行っている「Beyond the Score(スコアを越えて)」というレクチャー企画に基づいた、交響曲第4番にまつわる社会背景に関するドキュメンタリー(マクバーニーとギルマーによるレクチャー、および当時の映像の合間にハイティンク/シカゴSOの演奏風景が挿入される構成)。日本語字幕もあるが、行頭の文字が抜け落ちるなどの表示上の問題もさることながら、日本語として成立してない部分が多いのは残念。これらの問題は、ボーナス・ディスクということで、修正の予定は一切ない模様。ボーナス、というわりにはしっかりとした作りではあるものの、ごくありきたりの内容なので、コアなファンにとってはあまり見どころはないだろう。この他に、字幕はないが、ハイティンクとマクバーニー(クリエイティヴ・ディレクター)へのインタビューも収録されている。ハイティンクのインタビューには、ショスタコーヴィチと会った時のことなど、興味を惹かれる部分もあるのだが、マクバーニーの方は、何を今さら……というような話が延々と続くだけで、初めてこの交響曲に接する人以外にはありがたみはないだろう。
E. Inbal/Wiener Symphoniker
第1楽章: 28'16"
第2楽章: 9'07"
第3楽章: 26'00" 
スコアの構造を透かして見せるようなインバルの分析力が光るが、オーケストラの特性ゆえに無機的で硬質な響きになっていないところが面白い。とはいえ、全体にまろやかで地味な響きはこの曲とは異質なものであることは否めない。流れは良いものの徹底して熱くならないこの演奏には、あまり力が感じられない。
M. Jansons/Symphonieorchester des Bayerischen Rundfunks
第1楽章: 28'03"
第2楽章: 8'45"
第3楽章: 27'23" 
オーケストラの魅力を十分に引き出した演奏。解釈も奇を衒わない妥当なもので、聴き易さという点で優れた演奏。ただし、このような聴き易さがこの作品の本質に合致するかと言うと、必ずしもそうではないだろう。この作品が持つ切実さは、決して耳に優しいものではない。
N. Järvi/Scottish National Orchestra
第1楽章: 27'28"
第2楽章: 8'55"
第3楽章: 24'44" 
力感に満ちた立派な演奏。ホルンの強奏が印象的なオーケストラはやや粗いものの、丁寧な仕事ぶりに好感が持てる。やみくもな情熱が十分に表現されており、この曲が若きショスタコーヴィチの手による作品であることを再認識させてくれる。敢えて言えば弱奏部の雰囲気が若干物足りないが、手堅くまとめあげられた秀演である。録音も素晴らしい。
J. Judd/European Community Youth Orchestra
第1楽章: 26'45"
第2楽章: 8'42"
第3楽章: 27'30" 
よくまとまった演奏ではあるが、健闘はしているもののオーケストラの技量があまり高くなく、音に力がない。解釈自体はごくオーソドックスなものだが、鳴っている響きは地味で精彩を欠く。ライヴでならともかく、録音で繰り返し聴くほどの演奏ではないだろう。
H. Kegel/Rundfunk-Sinfonieorchester Leipzig
第1楽章: 26'29"
第2楽章: 7'59"
第3楽章: 26'37" 
作品の内容をすみずみまで把握しきった素晴らしい音楽。あらゆる表情やテンポの設定、劇的な構成の全てが説得力を持つ。惜しいのはオーケストラの技術が、この作品を十分に演奏するには不足していること。技術的な限界を超えているがゆえに鬼気迫る雰囲気を醸し出している部分もあることは否定できないが。
D. Kitaenko/Gürzenich-Orchester Köln
第1楽章: 30'39"
第2楽章: 9'50"
第3楽章: 28'35" 
ライヴ録音ということだが何回かのテイクをつないでいるようで、技術的な不満はほとんどない。妙な味付けがないものの、手応えのあるコクが全編に満ちていて充実した演奏になっている。きびきびとしたテンポで進められる推進力のある音楽が立派。細部へのこだわりよりは、交響曲としての構成感と全体の流れを重視した解釈だが、実に分かりやすく聴きやすい仕上がりに感心する。やみくもなエネルギーには欠けるが、難解さゆえにこの作品を敬遠してきた聴き手には特に薦められる。
K. Kondrashin/Staatskapelle Dresden
第1楽章: 25'57"
第2楽章: 8'02"
第3楽章: 25'20" 
1963年2月23日に行われた東独初演のライヴ録音。ショスタコーヴィチ作品との相性が抜群のオーケストラであるドレスデン・シュターツカペレを、ムラヴィーンスキイと双璧であるショスタコーヴィチ指揮者であるコンドラーシンが、(ショスタコーヴィチ自身に望まれて)自ら世界初演を担当した作品を演奏した演奏会の記録…というだけで、優れた演奏を期待するのは当然だが、この演奏はその期待のはるか上をいく超弩級の名演である。全体の確かな構成、息の長いクライマックスを実現する緻密な設計、唯一無比の適切なテンポ設定といった基本的な解釈は、当然ながら完璧。凄いのは、全ての音が圧倒的な表現力と意志を有していること。強奏部の凄惨さもさることながら、いつ暴発してもおかしくないぎりぎりの緊張感に貫かれた弱奏部の雄弁さが、際立って素晴らしい。長大な作品にも関わらずあっという間に終るように錯覚させられてしまう集中度の高さと、しばらくは他の音楽を聴きたくなくなるような巨大で深刻な余韻の前には、いかなる形容も無力だ。
K. Kondrashin/Moscow Philharmonic Symphony Orchestra
第1楽章: 25'38"
第2楽章: 8'20"
第3楽章: 26'01" 
今後も決して超えられることのない空前絶後の名演だと断言できる。冒頭の強烈な一撃から終止の緊張感に満ちた音に至るまで、ただの一瞬も意味のない音がない。スコアに込められたエネルギーを全て再現し尽くし、作品の持つ独特な雰囲気を余すところなく表出し切ったコンドラーシンの手腕にはただただ脱帽するのみ。確かに録音に不満は残るし、技術的にも粗い部分はあるが、この巨大な音楽の前では全く問題にはならない。この作品にとどまらず、ショスタコーヴィチを語る上で絶対に聴き逃してはならない超凄演。
K. Kondrashin/Royal Consertgebouw Orchestra
第1楽章: 24'44"
第2楽章: 8'18"
第3楽章: 25'08" 
極めて高カロリーな音楽は、コンドラーシンならではのもの。特に第1楽章の燃焼度は凄まじい。とはいえ、初演から10年弱の時間が経っていることとオーケストラの個性が影響したのか、殺伐とした戦慄はやや後退し、代わりに余裕のある風格が感じられる仕上がりになっている。これをどう評価するかは聴き手によって異なるだろうが、第2〜3楽章では少し集中力が欠けているようにも感じられる。
E. Ormandy/Philadelphia Orchestra
第1楽章: 25'10"
第2楽章: 9'08"
第3楽章: 26'07" 
冒頭から、一体どうしたのかと思うくらい明るく軽快な響きがしている。華やかで、曇りのない磨き抜かれた演奏。それが、逆にこの作品の力を再認識させてくれる瞬間もある。コンドラーシン盤やロジデーストヴェンスキイ盤を聴き込んだ人に、むしろ一聴を薦めたい。非常に個性的な演奏である。
A. Previn/Chicago Symphony Orchestra
第1楽章: 26'06"
第2楽章: 8'30"
第3楽章: 25'53" 
自然な音楽の流れと、響きの美しさをじっくりと聴かせてくれる、内容のぎっしりとつまった秀演。これだけ狂暴性を押えながらも、この作品の狂気を認識させてくれる演奏も珍しい。刺激的な響きを求める向きには物足りなさが残るだろうが、聴き終えた後の充実感は素晴らしい。
S. Rattle/City of Birmingham Symphony Orchestra
第1楽章: 27'44"
第2楽章: 8'47"
第3楽章: 25'47" 
非ロシアの団体で、ここまでこの曲の狂暴性を表出できた演奏は他にない。しかも、指揮者がオーケストラを完璧にドライヴしている。いかにもラトルらしく細部の磨き上げも見事だが、いささか散漫になりがちなこの作品をスケール大きくまとめあげる確かな造形力も光る。オーケストラも大健闘していて、技術的な不満は全くといって良いほど感じられない。テンポ設定などの解釈もオーソドックスでありながら、音楽は常にみずみずしい情熱に満ちている。全ての面で満足できる名演。
M. Rostropovich/National Symphony Orchestra
第1楽章: 28'30"
第2楽章: 8'34"
第3楽章: 27'11" 
ごく標準的な出来。ロストロポーヴィチらしくよく言えば重厚、悪く言えば鈍重な音楽に仕上がっている。質量のある響きや節回しに対して、第1楽章展開部のフーガなどでは鋭さが不足しているのが残念。ロストロポーヴィチによる他の曲の演奏に比べると大胆な表情付けは目立たないが、どこか考えすぎたような煮え切らなさが残る。オーケストラは健闘しているが、やはり一流とは言い難いか。
M. Rostropovich/London Symphony Orchestra
第1楽章: 27'58"
第2楽章: 8'35"
第3楽章: 27'30" 
同じロストロポーヴィチによる全集録音よりは良い出来。ただしこれは、オーケストラの能力に負う部分が大きいだろう。ロストロポーヴィチの演奏様式そのものはほとんど変わっていない。全体にざわついた印象があるのは、ロストロポーヴィチのバトン・テクニックにも一因があると思われる。音楽の高揚と共に演奏そのものが雑然としてしまうのも残念。
G. Rozhdestvensky/Philharmonia Orchestra
第1楽章: 25'31"
第2楽章: 8'39"
第3楽章: 25'26" 
西側初演の記録。歴史的価値は非常に高いが、演奏精度が随分低く、純粋な鑑賞目的には適さないだろう。ロジデーストヴェンスキイの基本的な解釈は後年の録音とそれほど異ならないが、細部の表情付けの面白さは、この時点ではまだそれほどでない(オーケストラの技量も影響しているのだろうが)。巨大な新作の初演という熱気や興奮も感じられないわけではないが、実際の音としてきちんと響いてこないもどかしさが残る。
G. Rozhdestvensky/Wiener Philharmoniker
第1楽章: 28'06"
第2楽章: 9'26"
第3楽章: 29'03" 
録音状態はかなり悪い。演奏そのものはなかなか充実している。第3楽章のトロンボーン・ソロなど、いつものロジデーストヴェンスキイ節に比べるとおとなしい部分もあるが、全体に異様な緊張感が張り詰めた好演である。
G. Rozhdestvensky/Bolshoi Theatre Orchestra
第1楽章: 26'26"
第2楽章: 8'59"
第3楽章: 27'23" 
有無をいわさぬ説得力に満ちた名演。ライヴゆえに細部に綻びがないわけではないが、全体としては十分に精緻な演奏。特に随所に見られる大胆な楽器バランスは、この曲の持つ凶暴さや恐怖感を暴き出している。第3楽章後半などで顕著なエグいまでの表情付けも、曲の本質とよく合致している。
G. Rozhdestvensky/USSR Ministry of Culture State Symphony Orchestra
第1楽章: 27'34"
第2楽章: 9'27"
第3楽章: 28'47" 
曲の内容を完璧に把握しきった名演。オーケストラは巧いのか下手なのかよく分からないが、凄絶な大音響と妙に安っぽい管楽器の音色が絶妙の雰囲気を醸し出している。凝った楽器バランスが非常に効果的で、聴く度に新たな発見がある。ロジデーストヴェンスキイの最良の面が出た演奏と言えるだろう。
G. Rozhdestvensky/USSR Ministry of Culture State Symphony Orchestra
第1楽章: 27'06"
第2楽章: 9'19"
第3楽章: 28'39" 
スケールの大きな音楽の振幅やあざといまでの表情付けはいかにもロジデーストヴェンスキイらしく、この作品の本質を鋭く抉り出している。長大な全曲を通して持続する緊張感も素晴らしい。技術的には怪しい箇所もあるが、それもまたこのコンビらしい。
E.-P. Salonen/Los Angeles Philharmonic
第1楽章: 27'14"
第2楽章: 9'08"
第3楽章: 28'10" 
今ではちょっと古いタイプの“現代的な”演奏。和声や楽曲構造が終始明晰であることに加え、響きが整理されていることによるすっきりとした“無機質な”肌触りなど、サロネンの美質が存分に発揮されている。ただ、指揮者というよりは演奏者側の問題なのだろうが、近年の弦楽器奏者はもう少しアーティキュレイションを意識したボウイングをすることが多いので、それに比べると音楽が静的に過ぎるというか、少々平板に感じられる。
M. Shostakovich/Prague Symphony Orchestra
第1楽章: 27'24"
第2楽章: 8'28"
第3楽章: 27'59" 
早目のテンポでスマートに仕上げている。こういう解釈も悪くはないが、オーケストラの音に力強さが足りないために、聴いていて物足りなさが残ってしまう。技術的にも厳しい部分が若干ある。鳴っている音楽そのものは、なかなか立派なものであるのだが。
Y. Simonov/Orchestre National de Belgique
第1楽章: 28'44"
第2楽章: 8'45"
第3楽章: 26'28" 
非常に安定した解釈で、曲の内容を明らかにする優れた演奏。全ての音に意味が感じられる。オーケストラは、音色やアンサンブルに今一つキレがなく、音の力に不足するのが残念だが、逆にこの曲が交響曲であることを再認識させるような落ち着いた仕上がりになっている。響きにロシア色は少ないものの、内容はロシアそのものであるところが大変素晴らしい。
V. Sinaisky/BBC Philharmonic
第1楽章: 27'01"
第2楽章: 8'53"
第3楽章: 27'56" 
オーケストラの音が軽いのが残念だが、流麗ながらも地に足のついた音楽はなかなかのもの。録音で繰り返し聴こうという程のセールスポイントには欠けるが、実演に接していればかなり感銘の残る演奏と評価できるだろう。
L. Slatkin/Saint Louis Symphony Orchestra
第1楽章: 27'55"
第2楽章: 7'58"
第3楽章: 27'40" 
オーケストラの高い機能を存分に生かした、整然として格調の高い秀演。ロシア風のアクの強さは陰をひそめているが、音色に対する感覚は抜群で、期待をはずされることはない。スラトキンの曲理解も堅実なもので、この曲の複雑な内容をきちんと整理して捉えているのがよく分かる。ただ、全体に流麗に音楽が流れていくため、人によって多少好みは分かれるだろう。しかし、立派な演奏であることには違いない。
L. Slovák/Czecho-Slovak Radio Symphony Orchestra
第1楽章: 28'15"
第2楽章: 8'41"
第3楽章: 27'55" 
全体にソツなくまとめられた、安心して聴くことのできる演奏。演奏者の技量不足の面も散見されるが、まずは及第点に達していると評価できよう。しかし、あまりにも安全運転に過ぎるため、音楽が冗長に聴こえてしまったり、物足りなさを感じてしまう部分も多いのが惜しい。
M. Venzago/Swiss Philharmonic Orchestra
第1楽章: 27'47"
第2楽章: 8'52"
第3楽章: 28'10" 
ライヴ録音にもかかわらず、ソツなく丁寧に仕上げられた演奏。真面目に作品に取り組んだことがよく分かるが、オーケストラの力量不足と指揮者の音楽性の故か、この曲が本来秘めているやり場のない凶暴なまでの情熱や力強さに欠ける。この曲に慣れている聴き手ならばともかく、これではただ散漫な曲だという印象だけを受けてしまうかもしれない。
R. Hayroudinoff & C. Stone (Pf)
第1楽章: 25'58"
第2楽章: 8'45"
第3楽章: 24'16" 
コンドラーシンが初演にあたって勉強したと語っているものと同じ編曲ではないかと推測され、資料的な価値は抜群。もちろん世界初録音。演奏は手堅く、単なる資料音源の域を超えた音楽が表出されている。オーケストラでは響きに埋もれてしまってわからない和声の仕掛けや、対位法的な絡みが明快に聴き取れるのも面白い。

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Last Modified 2014.06.27

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