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交響曲第4番 ハ短調 作品43

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指揮者オーケストラ録音年レーベル番号備考評価
AKUTAGAWA, YasushiNew Symphony Orchestra1986FontecFOCD3247Live(20 July)
ASHKENAZY, VladimirRoyal Philharmonic Orchestra1989LondonF00L-20448
ASHKENAZY, VladimirNHK Symphony Orchestra2006DeccaUCCD-1191Live(8 & 9 Mar.)
BAREZA, NiksaCroatian Radio and Television Symphony Orchestra2000ORFEJCD ORF 314Live(27 Apr.)
BARSHAI, RudolfGerman National Youth Orchestra1992DHMHM 1068-2Live(15 Aug.)
BARSHAI, RudolfWDR Sinfonieorchester1996Brilliant6324Brilliant-8128
BOREYKO, AndreyRadio-Sinfonieorchester Stuttgart des SWR2006hänsslerCD 93.193Live (27-28 Apr.)
BYCHKOV, SemyonWDR Sinfonieorchester Köln2005AvieAV 2114SACD
CAETANI, OlegOrchestra Sinfonica di Milano Giuseppe Verdi2004Arts47703-2Live(March).
CHUNG, Myung-WhunPhiladelphia Orchestra1994DGUCCG-1070
FEDOSEEV, VladimirTchaikovsky Symphony Orchestra of Moscow Radio2004ReliefCR991078Live(6 Dec.)
GERGIEV, ValeryKirov Orchestra2001Philips470 842-2Live(20-22 Nov.), Philips-470 841-2
GERGIEV, ValeryMariinsky Orchestra2013MariinskyMAR0545SACD, Live(24-27 June)
HAITINK, BernardLondon Philharmonic Orchestra1979LondonPOCL-9255/66
HAITINK, BernardChicago Symphony Orchestra2008CSO-ResoundCSOR 901 814Live(May)
HERBIG, GüntherRundfunk-Sinfonieorchester Saarbrücken2005Berlin Classics0016112BC
INBAL, EliahuWiener Symphoniker1992DenonCOCO-75330
INBAL, EliahuTokyo Metropolitan Symphony Orchestra2012EXTONOVCL-00472Live(23 Mar.)
INOUE, MichiyoshiTokyo Philharmonic Orchestra2007Octavia RecordsOVCL00777Live(1 Dec.)
JANSONS, MarissSymphonieorchester des Bayerischen Rundfunks2004EMI7243 5 57824 2 7
JÄRVI, NeemeScottish National Orchestra1989ChandosCHAN 8640
JUDD, JamesEuropean Community Youth Orchestra1988Nuova Era6734Live(18 Aug.)
KEGEL, HerbertRundfunk-Sinfonieorchester Leipzig1969WeitblickSSS0040-2Live(20 May)
KITAENKO, DmitriGürzenich-Orchester Köln2003Capriccio71 029SACD, Live(7-11 Feb.)
KONDRASHIN, KirilMoscow Philharmonic Symphony Orchestra1961Moscow ConservatorySMC CD 0162-0163Live(30 Dec.)
KONDRASHIN, KirilStaatskapelle Dresden1963ProfilPH06023Live(26 Feb.)
KONDRASHIN, KirilMoscow Philharmonic Symphony Orchestra1966VictorVICC-40094/103Melodiya-MEL CD 10 01065, Membran-600591
KONDRASHIN, KirilRoyal Consertgebouw Orchestra1971RCO LiveRCO 06004Live(10 Jan.)
NELSONS, AndrisBoston Symphony Orchestra2018DG483 5220Live(Mar. - Apr.)
NOSEDA, GianandreaLondon Symphony Orchestra2018LSOLSO0832Live(1 & 4 Nov.), SACD
ORMANDY, EugenePhiladelphia Orchestra1963SonySB2K 62 409
PETRENKO, VasilyRoyal Liverpool Philharmonic Orchestra2013Naxos8.573188
PLETNEV, MikhailRussian National Orchestra2017PentaTonePTC 5186 647
POLYANSKY, ValéryRussian State Symphony Capella1994Vista VeraVVCD-00174
PREVIN, AndréChicago Symphony Orchestra1977EMI7243 5 72658 2 9
RAISKIN, DanielStaatsorchester Rheinische Philharmonie, Philharmonisches Staatsorchester Mainz2009Avi-music8553235Live(19 & 20 Mar.).
RATTLE, SimonCity of Birmingham Symphony Orchestra1994EMITOCE-8747
ROSTROPOVICH, MstislavNational Symphony Orchestra1992TeldecWPCC-5104
ROSTROPOVICH, MstislavLondon Symphony Orchestra1998AndanteSC-AN-4090Live(26 Feb.).
ROZHDESTVENSKY, GennadyPhilharmonia Orchestra1962BBCBBCL 4220-2Live(7 Sept.)
ROZHDESTVENSKY, GennadyWiener Philharmoniker1978CincinCCCD 1021Live
ROZHDESTVENSKY, GennadyBBC Symphony Orchestra1978icaICAC 5169Live(9 Sept.)
ROZHDESTVENSKY, GennadyBolshoi Theatre Orchestra1981Russian DiscRD CD 11 190Live(28 Mar.)
ROZHDESTVENSKY, GennadyUSSR Ministry of Culture State Symphony Orchestra1985VictorVICC-40001/11Praga-PR 250 090, Melodiya-A10 00319 000(LP, with `My work at Symphony No. 4 by D. Shostakovich' by G. Rozhdestvensky.)
ROZHDESTVENSKY, GennadyUSSR Ministry of Culture State Symphony Orchestra1987Brilliant9019Live(24 May)
SALONEN, Esa-PekkaLos Angeles Philharmonic2011DG479 0249
SHOSTAKOVICH, MaximPrague Symphony Orchestra1998SupraphonSU 3353-2 031Live(3 & 4 Feb.), Supraphon-SU 3890-2
SIMONOV, YuriOrchestre National de Belgique1996CypresCYP 2618Live(16-18, Feb.)
SINAISKY, VassilyBBC Philharmonic2000BBCMM220Live(20 July)
SLATKIN, LeonardSaint Louis Symphony Orchestra1989BMG09026-600887-2
SLOVÁK, LadislavCzecho-Slovak Radio Symphony Orchestra1988Naxos8.550625
TABAKOV, EmilBulgarian National Radio Symphony Orchestra2010Armada8 86470 39262 9Live(8 Oct.)
TABAKOV, EmilBulgarian National Radio Symphony Orchestra2013Gega NewGD 380
VENZAGO, MarioSwiss Philharmonic Orchestra1997MGBCD 6149Live(20 Sept.)
WIGGLESWORTH, MarkNetherlands Radio Philharmonic Orchestra2005BISBIS-SACD-1553SACD
HAYROUDINOFF, Rustem & STONE, Colin (Pf)2004ChandosCHAN 10296Arr. for two pianos by D. D. Shostakovich.

芥川也寸志/新交響楽団
第1楽章: 26'52"
第2楽章: 8'48"
第3楽章: 26'38" 
日本初演時のライヴ録音。アマチュアがこの大曲の初演を手がけたことにも驚かされるが、その曲理解と共感の深さには更に驚かされる。もちろん技術的には十全と言い難いが、それを補って余りある熱さが感じられる演奏である。
V. Ashkenazy/Royal Philharmonic Orchestra
第1楽章: 25'14"
第2楽章: 8'50"
第3楽章: 24'09" 
アシケナージによる交響曲シリーズ中、最も出来の良い演奏の一つ。各楽器(特に金管楽器と打楽器)の効果が自然に強調され、曲の流れを重視した演奏となっている。この難解な曲を分かりやすく聴かせるという点では、傑出している。ただ、オーケストラに力量不足が感じられる部分も少なくなく(第1楽章のフーガ等)、時折音楽が断片的になってしまうのが惜しい。
V. Ashkenazy/NHK交響楽団
第1楽章: 26'32"
第2楽章: 8'37"
第3楽章: 25'53" 
旧盤の路線をさらに究めたまろやかな音楽に仕上がっている。N響も世界水準の美しい音を出していて、この作品が持つ尖った支離滅裂さが受け入れられない聴き手にとっては、あるいはベストに推される演奏かもしれない。しかしながら、第4番をこのように奏でてしまうと、第3番と同種の冗長さが際立ってしまい(特に第3楽章)、曲の面白味が一方的に減じる結果となっているように、私には感じられる。聴き手の嗜好によって大きく評価が分かれるだろう。
N. Bareza/Croatian Radio and Television Symphony Orchestra
第1楽章: 26'44"
第2楽章: 8'33"
第3楽章: 27'45" 
まず、テンションの高さが、いくらライヴだからといえ、異常過ぎる。冒頭から勢い余り過ぎて、こめかみから血が噴き出しているかのよう。次に、技術的にはいかにも旧東側の田舎オケといった風情で、率直に言って下手。少なくとも録音で繰り返し鑑賞するには、崩壊している箇所が多すぎる。したがって、勢いに任せた猛烈に荒っぽい演奏…なのだが、奏でられている音楽には、妙に胸をざわつかせられる。お世辞にも上質とは言えない演奏ながらも、恥ずかしいほどストレートに作品の本質を聴き手にぶつけてくるような、そんな不思議な音楽である。手放しで賞賛することはできないが、無視することもできない。
R. Barshai/German National Youth Orchestra
第1楽章: 26'50"
第2楽章: 9'05"
第3楽章: 26'35" 
解釈自体はよく練られたもの。しかしながらオーケストラの音が軽く、全体に非力な印象を拭い去ることができない。弱音の表現力も強音の爆発力にも欠ける。バルシャーイのスマートな音楽の運びが独特なだけに、その魅力が発揮しきれなかったのは残念。
R. Barshai/WDR Sinfonieorchester
第1楽章: 27'15"
第2楽章: 8'45"
第3楽章: 26'04" 
非常に誠実で衒いのない、理知的な秀演。一見散漫に感じられるこの作品を、緊密な構成を感じさせながら模範的にまとめあげている。それでいて、断片的な各々のエピソードの個性を十分に生かしているところが素晴らしい。全体にやや生真面目すぎて、はったりの効いた面白みには欠けるが、それは聴き手個人の趣味によって評価がわかれるところだろう。オーケストラは傑出しているとまでは言えないものの、健闘している。
A. Boreyko/Radio-Sinfonieorchester Stuttgart des SWR
第1楽章: 27'51"
第2楽章: 9'52"
第3楽章: 27'39" 
オーケストラの特性でもあるのか、落ち着いた渋い音色と、端正に整えられたアンサンブルが印象的。音量的には、鳴らすべきところで鳴らしているのだが、全体のテンションはむしろ地に足がついた雰囲気と言うべきだろう。響きのせいもあって、ショスタコーヴィチの鋭さよりも、マーラーのロマンティシズム(こう表現して良いのかはわからないが)を強く想起させるような仕上がりになっているのが面白い。
S. Bychkov/WDR Sinfonieorchester Köln
第1楽章: 27'48"
第2楽章: 8'59"
第3楽章: 27'32" 
端正な音楽作りに好感が持てる。古典的とさえ言える構成感で全曲を仕上げているが、洗練された響きと相まって、いささか小粒にまとまり過ぎた感も否めない。この作品に対する聴き手の思い入れによって、評価は大きく分かれるだろう。
O. Caetani/Orchestra Sinfonica di Milano Giuseppe Verdi
第1楽章: 26'35"
第2楽章: 8'59"
第3楽章: 25'47" 
丁寧な音楽作りには好感が持てるが、オーケストラに今一つ冴えがない。収拾のつかない音楽の奔流を描き出すには力不足。
M. Chung/Philadelphia Orchestra
第1楽章: 27'04"
第2楽章: 8'08"
第3楽章: 25'21" 
録音済みとの情報が先行し、発売が長らく待たれた録音だが、その期待に十分に応えるとまでは言い難い内容。早目のテンポでオーケストラの機能を存分に生かした演奏は、いわゆる“スマートで現代的”なのだろうが、豊穣な響きに酔いしれているだけで作品が持つ苦みや狂暴性が描ききれていない。チョンならではの明快な構成感もあってこの作品に初めて接する聴き手には良いかもしれないが、それ以上の内容は残念ながらない。
V. Fedoseev/Tchaikovsky Symphony Orchestra of Moscow Radio
第1楽章: 26'42"
第2楽章: 9'01"
第3楽章: 27'20" 
素材が雑然と並列されたような構成感の希薄さと個々の素材の描き分けの単調さ故に、特徴の感じられない淡々とした演奏となっている。このコンビならではの高い技術水準に基づく流麗さも、今一つ冴えない。
V. Gergiev/Kirov Orchestra
第1楽章: 28'58"
第2楽章: 8'01"
第3楽章: 27'10" 
やはり、ゲールギエフにショスタコーヴィチは合わないのだろう。心を打つものがないばかりか、純粋に音楽的な観点からも冴えが感じられない。もちろん、オーケストラはうまい。うまいのだが、凄さを感じない。このコンビの他の録音には、好き嫌いは別として感心する部分が必ずといってよいほどある。しかし、この録音にはそれがない。あえて言うならば、第3楽章のまとめ方のうまさだろうか。極端なロシア風味ではなく、技術的に高精度の演奏が繰り広げられているという点で、この演奏が広く受け入れられたのかもしれないが、これが本当に“わかりやすい”演奏なのだろうか?そもそも、この第4交響曲は“わかりやすい”作品なのだろうか?この演奏を高く評価することは、僕にはどうしてもできない。
V. Gergiev/Mariinsky Orchestra
第1楽章: 27'06"
第2楽章: 7'40"
第3楽章: 24'54" 
マーラー的な巨大さよりも内面の律動に強制的に突き動かされ続けるようなリズムが前面に押し出された演奏。第1楽章展開部のフーガや第3楽章の後半部なども唐突な異質さが強調されるのではなく、全体の一貫した流れの中に位置付けられている。ただ、終楽章コーダのアンサンブルが壮大に崩れているのが甚だ残念。
B. Haitink/London Philharmonic Orchestra
第1楽章: 28'46"
第2楽章: 9'05"
第3楽章: 29'32" 
堅実で安定した音楽。この複雑で謎に満ちた曲を、丁寧に解きほぐすかのような解釈には好感が持てる。しかし、オーケストラのキャラクターのためか、全体に鋭い切れ味に欠ける。よく言えばまろやかな響きということになるのだろうが、全てがその響きの中に包み込まれてしまい、切実なメッセージがあまり感じられない結果になってしまった。
B. Haitink/Chicago Symphony Orchestra
第1楽章: 29'39"
第2楽章: 9'41"
第3楽章: 31'06" 
シカゴSOという名器を操り、憎らしいまでの余裕に満ちた音楽が奏でられる。スケールは極めて大きく、終結の静寂に向かって、楽章単位ではなく全曲を通したクライマックスの構成がなされているので、たとえば第1楽章展開部のフーガで暴発するようなことはない。全体にゆったりとしたテンポは、この作品の抒情的な側面を、今まで誰もやったことがないような感じで顕にしている。この演奏は、ハイティンクが辿り着いた一つの極致に違いないし、作品の本質に鋭く迫っていることに疑う余地はない。オーケストラの響きも極上。だが、後先考えないやみくもな勢いというのが、やはりこの作品には不可欠ではないだろうか。ここまで“大人”な音楽に仕上がってしまうと、違和感の方が先に立ってしまう。

ボーナスDVDは、シカゴSOが行っている「Beyond the Score(スコアを越えて)」というレクチャー企画に基づいた、交響曲第4番にまつわる社会背景に関するドキュメンタリー(マクバーニーとギルマーによるレクチャー、および当時の映像の合間にハイティンク/シカゴSOの演奏風景が挿入される構成)。日本語字幕もあるが、行頭の文字が抜け落ちるなどの表示上の問題もさることながら、日本語として成立してない部分が多いのは残念。これらの問題は、ボーナス・ディスクということで、修正の予定は一切ない模様。ボーナス、というわりにはしっかりとした作りではあるものの、ごくありきたりの内容なので、コアなファンにとってはあまり見どころはないだろう。この他に、字幕はないが、ハイティンクとマクバーニー(クリエイティヴ・ディレクター)へのインタビューも収録されている。ハイティンクのインタビューには、ショスタコーヴィチと会った時のことなど、興味を惹かれる部分もあるのだが、マクバーニーの方は、何を今さら……というような話が延々と続くだけで、初めてこの交響曲に接する人以外にはありがたみはないだろう。
G. Herbig/Rundfunk-Sinfonieorchester Saarbrücken
第1楽章: 27'30"
第2楽章: 9'25"
第3楽章: 27'00" 
いかにもドイツ的なロシア音楽に仕上がっている。地味ながらも堅実なアンサンブルで、錯綜したスコアが見通し良くすっきりと整理されており、実に聴きやすい。先鋭的な箇所もまろやかに均されている点で評価は分かれるだろうが、交響曲としてのまとまりが卓越した渋い演奏と言えるだろう。
E. Inbal/Wiener Symphoniker
第1楽章: 28'16"
第2楽章: 9'07"
第3楽章: 26'00" 
スコアの構造を透かして見せるようなインバルの分析力が光るが、オーケストラの特性ゆえに無機的で硬質な響きになっていないところが面白い。とはいえ、全体にまろやかで地味な響きはこの曲とは異質なものであることは否めない。流れは良いものの徹底して熱くならないこの演奏には、あまり力が感じられない。
E. Inbal/東京都交響楽団
第1楽章: 27'41"
第2楽章: 9'06"
第3楽章: 25'20" 
冒頭から、極めて機能性に優れたオーケストラのクリアな響きに感心させられる。技術的な難所も、それを感じさせない鮮やかさで軽々と通り過ぎていく。ピッチの精確さ故か全体に響きは明るめで、文学的な思い入れを廃した無機質で無色透明な音楽の運びには、旧盤とも共通するインバルの個性も存分に発揮されている。これを現代的な名演とするか、それとも表面的な音響に溺れた凡演とするか、聴き手によって評価は二分されるような気がする。
井上道義/東京フィルハーモニー交響楽団
第1楽章: 26'17"
第2楽章: 9'30"
第3楽章: 26'56" 
支離滅裂に暴発するエネルギーの凄まじさに、井上氏の真骨頂を聴く。故意に限界を超えてドライブした結果としてのアンサンブルの乱れにすら、説得力がある。
M. Jansons/Symphonieorchester des Bayerischen Rundfunks
第1楽章: 28'03"
第2楽章: 8'45"
第3楽章: 27'23" 
オーケストラの魅力を十分に引き出した演奏。解釈も奇を衒わない妥当なもので、聴き易さという点で優れた演奏。ただし、このような聴き易さがこの作品の本質に合致するかと言うと、必ずしもそうではないだろう。この作品が持つ切実さは、決して耳に優しいものではない。
N. Järvi/Scottish National Orchestra
第1楽章: 27'28"
第2楽章: 8'55"
第3楽章: 24'44" 
力感に満ちた立派な演奏。ホルンの強奏が印象的なオーケストラはやや粗いものの、丁寧な仕事ぶりに好感が持てる。やみくもな情熱が十分に表現されており、この曲が若きショスタコーヴィチの手による作品であることを再認識させてくれる。敢えて言えば弱奏部の雰囲気が若干物足りないが、手堅くまとめあげられた秀演である。録音も素晴らしい。
J. Judd/European Community Youth Orchestra
第1楽章: 26'45"
第2楽章: 8'42"
第3楽章: 27'30" 
よくまとまった演奏ではあるが、健闘はしているもののオーケストラの技量があまり高くなく、音に力がない。解釈自体はごくオーソドックスなものだが、鳴っている響きは地味で精彩を欠く。ライヴでならともかく、録音で繰り返し聴くほどの演奏ではないだろう。
H. Kegel/Rundfunk-Sinfonieorchester Leipzig
第1楽章: 26'29"
第2楽章: 7'59"
第3楽章: 26'37" 
作品の内容をすみずみまで把握しきった素晴らしい音楽。あらゆる表情やテンポの設定、劇的な構成の全てが説得力を持つ。惜しいのはオーケストラの技術が、この作品を十分に演奏するには不足していること。技術的な限界を超えているがゆえに鬼気迫る雰囲気を醸し出している部分もあることは否定できないが。
D. Kitaenko/Gürzenich-Orchester Köln
第1楽章: 30'39"
第2楽章: 9'50"
第3楽章: 28'35" 
ライヴ録音ということだが何回かのテイクをつないでいるようで、技術的な不満はほとんどない。妙な味付けがないものの、手応えのあるコクが全編に満ちていて充実した演奏になっている。きびきびとしたテンポで進められる推進力のある音楽が立派。細部へのこだわりよりは、交響曲としての構成感と全体の流れを重視した解釈だが、実に分かりやすく聴きやすい仕上がりに感心する。やみくもなエネルギーには欠けるが、難解さゆえにこの作品を敬遠してきた聴き手には特に薦められる。
K. Kondrashin/Moscow Philharmonic Symphony Orchestra
第1楽章: 24'55"
第2楽章: 7'59"
第3楽章: 24'50" 
世界初演時のライヴ録音。冒頭から気合いも思い入れも十分で、最初の一音だけで直ちにこの作品の音楽世界に引き込まれる。ただ、序奏後はしばらく浮ついた感じでテンポと言うべきかリズムと言うべきか、いずれにせよ落ち着かない。次から次へと溢れ出てくる楽想の断片の全てがこなれているとも言い難く、さしたる必然性が感じられずに漫然と音が流れる瞬間も少なくない。しかしながら、この長大な全曲を通して一瞬たりとも途切れることのない集中力と、小節毎に凄みを増していく表現意欲の絶倫さは、こうした欠点を補って余りある。このコンビの後年の録音の方があらゆる点でより深く彫琢されているのは言うまでもないが、作品の魅力的なポイントを粗野なまでの力強さで聴き手にぶつけてくるような演奏は初演ならでのもので、聴後のわくわくするような興奮は他の何物にも代え難い。
K. Kondrashin/Staatskapelle Dresden
第1楽章: 25'57"
第2楽章: 8'02"
第3楽章: 25'20" 
1963年2月23日に行われた東独初演のライヴ録音。ショスタコーヴィチ作品との相性が抜群のオーケストラであるドレスデン・シュターツカペレを、ムラヴィーンスキイと双璧であるショスタコーヴィチ指揮者であるコンドラーシンが、(ショスタコーヴィチ自身に望まれて)自ら世界初演を担当した作品を演奏した演奏会の記録…というだけで、優れた演奏を期待するのは当然だが、この演奏はその期待のはるか上をいく超弩級の名演である。全体の確かな構成、息の長いクライマックスを実現する緻密な設計、唯一無比の適切なテンポ設定といった基本的な解釈は、当然ながら完璧。凄いのは、全ての音が圧倒的な表現力と意志を有していること。強奏部の凄惨さもさることながら、いつ暴発してもおかしくないぎりぎりの緊張感に貫かれた弱奏部の雄弁さが、際立って素晴らしい。長大な作品にも関わらずあっという間に終るように錯覚させられてしまう集中度の高さと、しばらくは他の音楽を聴きたくなくなるような巨大で深刻な余韻の前には、いかなる形容も無力だ。
K. Kondrashin/Moscow Philharmonic Symphony Orchestra
第1楽章: 25'38"
第2楽章: 8'20"
第3楽章: 26'01" 
今後も決して超えられることのない空前絶後の名演だと断言できる。冒頭の強烈な一撃から終止の緊張感に満ちた音に至るまで、ただの一瞬も意味のない音がない。スコアに込められたエネルギーを全て再現し尽くし、作品の持つ独特な雰囲気を余すところなく表出し切ったコンドラーシンの手腕にはただただ脱帽するのみ。確かに録音に不満は残るし、技術的にも粗い部分はあるが、この巨大な音楽の前では全く問題にはならない。この作品にとどまらず、ショスタコーヴィチを語る上で絶対に聴き逃してはならない超凄演。
K. Kondrashin/Royal Consertgebouw Orchestra
第1楽章: 24'44"
第2楽章: 8'18"
第3楽章: 25'08" 
極めて高カロリーな音楽は、コンドラーシンならではのもの。特に第1楽章の燃焼度は凄まじい。とはいえ、初演から10年弱の時間が経っていることとオーケストラの個性が影響したのか、殺伐とした戦慄はやや後退し、代わりに余裕のある風格が感じられる仕上がりになっている。これをどう評価するかは聴き手によって異なるだろうが、第2〜3楽章では少し集中力が欠けているようにも感じられる。
A. Nelsons/Boston Symphony Orchestra
第1楽章: 26'43"
第2楽章: 8'24"
第3楽章: 29'17" 
極上の響きで、技術上の欠点は皆無。ロシア色が払拭されて洗練された音楽になっており、若きショスタコーヴィチの情念のやみくもな奔流よりも、楽曲構成の緊密さが際立つ。
G. Noseda/London Symphony Orchestra
第1楽章: 27'02"
第2楽章: 9'03"
第3楽章: 28'34" 
オーケストラの技術的な問題は皆無に等しいし、全体の構成も非常に見通しが良く、前世紀では考えられないほど容易くかつ精密にスコアが音化されている。だが、どうしようもなく衝動的な要素が雑然と詰め込まれているところにこそこの交響曲の魅力がある以上、このあまりに整然とした演奏は退屈以外の何物でもない。唯一、終楽章のコーダの美しさは特筆に値する。
E. Ormandy/Philadelphia Orchestra
第1楽章: 25'10"
第2楽章: 9'08"
第3楽章: 26'07" 
冒頭から、一体どうしたのかと思うくらい明るく軽快な響きがしている。華やかで、曇りのない磨き抜かれた演奏。それが、逆にこの作品の力を再認識させてくれる瞬間もある。コンドラーシン盤やロジデーストヴェンスキイ盤を聴き込んだ人に、むしろ一聴を薦めたい。非常に個性的な演奏である。
V. Petrenko/Royal Liverpool Philharmonic Orchestra
第1楽章: 27'20"
第2楽章: 9'25"
第3楽章: 28'14" 
作品を覆う様々な思い入れを排してスコアを客観的に紐解きつつも、その音の連なりには内から自然に湧き上がる熱気が満ちた、熱くも見通しの良い現代的な演奏である。オーケストラには線の細さを感じる瞬間もあるが、全体の透明感のある澄んだ響きにはむしろ相応しく、それでいてショスタコーヴィチのアクの強さは損なわれていないのが素晴らしい。
M. Pletnev/Russian National Orchestra
第1楽章: 33'56"
第2楽章: 10'11"
第3楽章: 30'36" 
まるでピアノのように全ての音を意識的に弾こうとするかのような演奏。全体のテンポは非常に遅いが、楽曲解釈というよりは、丁寧に弾こうと思ったらこのテンポになりました、といった感じ。ここまで明晰な第1楽章のプレストも珍しいが、一方で混沌とした爆発力や推進力が損なわれているのも事実。細部のこだわり抜いた表情付けには感心するものの、全体としては平坦な印象である。
V. Polyansky/Russian State Symphony Capella
第1楽章: 28'01"
第2楽章: 9'11"
第3楽章: 26'27" 
機能性と野性味とのバランスがとれたロシアン・サウンドは、このコンビの他の録音と共通している。テンポ設定などの基本的な解釈はごく一般的なもので、この作品のオーソドックスな演奏と言うことができるだろう。一方で、特筆すべき特徴に欠けるのも事実。他に優れた音盤が少なくない中、敢えてこの録音を取り上げるだけの積極的な理由は見いだせない。
A. Previn/Chicago Symphony Orchestra
第1楽章: 26'06"
第2楽章: 8'30"
第3楽章: 25'53" 
自然な音楽の流れと、響きの美しさをじっくりと聴かせてくれる、内容のぎっしりとつまった秀演。これだけ狂暴性を押えながらも、この作品の狂気を認識させてくれる演奏も珍しい。刺激的な響きを求める向きには物足りなさが残るだろうが、聴き終えた後の充実感は素晴らしい。
D. Raiskin/Staatsorchester Rheinische Philharmonie, Philharmonisches Staatsorchester Mainz
第1楽章: 27'47"
第2楽章: 8'50"
第3楽章: 28'52" 
まさに現代のショスタコーヴィチ演奏で、輝かしくも精緻で、しかも余裕のある仕上がりである。指揮者だけでなくオーケストラの各奏者が皆全曲の見通しを共有しているような明晰さの一方で、支離滅裂に登場する数々のフレーズの全てに心が通っているのも素晴らしい。合同オーケストラによる演奏のようだが、全体としては冷静な印象だが、終始緊張感に満ちていることで、唐突に暴発するような感情の起伏も俊敏に表出されている。フルートとピッコロの音色が大人し過ぎることを除けば、オーケストラにも不満はない。
S. Rattle/City of Birmingham Symphony Orchestra
第1楽章: 27'44"
第2楽章: 8'47"
第3楽章: 25'47" 
非ロシアの団体で、ここまでこの曲の狂暴性を表出できた演奏は他にない。しかも、指揮者がオーケストラを完璧にドライヴしている。いかにもラトルらしく細部の磨き上げも見事だが、いささか散漫になりがちなこの作品をスケール大きくまとめあげる確かな造形力も光る。オーケストラも大健闘していて、技術的な不満は全くといって良いほど感じられない。テンポ設定などの解釈もオーソドックスでありながら、音楽は常にみずみずしい情熱に満ちている。全ての面で満足できる名演。
M. Rostropovich/National Symphony Orchestra
第1楽章: 28'30"
第2楽章: 8'34"
第3楽章: 27'11" 
ごく標準的な出来。ロストロポーヴィチらしくよく言えば重厚、悪く言えば鈍重な音楽に仕上がっている。質量のある響きや節回しに対して、第1楽章展開部のフーガなどでは鋭さが不足しているのが残念。ロストロポーヴィチによる他の曲の演奏に比べると大胆な表情付けは目立たないが、どこか考えすぎたような煮え切らなさが残る。オーケストラは健闘しているが、やはり一流とは言い難いか。
M. Rostropovich/London Symphony Orchestra
第1楽章: 27'58"
第2楽章: 8'35"
第3楽章: 27'30" 
同じロストロポーヴィチによる全集録音よりは良い出来。ただしこれは、オーケストラの能力に負う部分が大きいだろう。ロストロポーヴィチの演奏様式そのものはほとんど変わっていない。全体にざわついた印象があるのは、ロストロポーヴィチのバトン・テクニックにも一因があると思われる。音楽の高揚と共に演奏そのものが雑然としてしまうのも残念。
G. Rozhdestvensky/Philharmonia Orchestra
第1楽章: 25'31"
第2楽章: 8'39"
第3楽章: 25'26" 
西側初演の記録。歴史的価値は非常に高いが、演奏精度が随分低く、純粋な鑑賞目的には適さないだろう。ロジデーストヴェンスキイの基本的な解釈は後年の録音とそれほど異ならないが、細部の表情付けの面白さは、この時点ではまだそれほどでない(オーケストラの技量も影響しているのだろうが)。巨大な新作の初演という熱気や興奮も感じられないわけではないが、実際の音としてきちんと響いてこないもどかしさが残る。
G. Rozhdestvensky/Wiener Philharmoniker
第1楽章: 28'06"
第2楽章: 9'26"
第3楽章: 29'03" 
録音状態はかなり悪い。演奏そのものはなかなか充実している。第3楽章のトロンボーン・ソロなど、いつものロジデーストヴェンスキイ節に比べるとおとなしい部分もあるが、全体に異様な緊張感が張り詰めた好演である。
G. Rozhdestvensky/BBC Symphony Orchestra
第1楽章: 26'29"
第2楽章: 8'57"
第3楽章: 26'32" 
あらゆる表情やテンポ設定に決定的な説得力があり、ショスタコーヴィチのロシア的な要素を剥き出しにするような迫力がある。過度な脚色はなく、むしろ直線的にクライマックスを築いているのも、紛う方なき「アンファン・テリブル」だった作曲当時のショスタコーヴィチのありのままの姿を描出しているかのようである。オーケストラの技術水準に不満が残ることだけが惜しい。
G. Rozhdestvensky/Bolshoi Theatre Orchestra
第1楽章: 26'26"
第2楽章: 8'59"
第3楽章: 27'23" 
有無をいわさぬ説得力に満ちた名演。ライヴゆえに細部に綻びがないわけではないが、全体としては十分に精緻な演奏。特に随所に見られる大胆な楽器バランスは、この曲の持つ凶暴さや恐怖感を暴き出している。第3楽章後半などで顕著なエグいまでの表情付けも、曲の本質とよく合致している。
G. Rozhdestvensky/USSR Ministry of Culture State Symphony Orchestra
第1楽章: 27'34"
第2楽章: 9'27"
第3楽章: 28'47" 
曲の内容を完璧に把握しきった名演。オーケストラは巧いのか下手なのかよく分からないが、凄絶な大音響と妙に安っぽい管楽器の音色が絶妙の雰囲気を醸し出している。凝った楽器バランスが非常に効果的で、聴く度に新たな発見がある。ロジデーストヴェンスキイの最良の面が出た演奏と言えるだろう。
G. Rozhdestvensky/USSR Ministry of Culture State Symphony Orchestra
第1楽章: 27'06"
第2楽章: 9'19"
第3楽章: 28'39" 
スケールの大きな音楽の振幅やあざといまでの表情付けはいかにもロジデーストヴェンスキイらしく、この作品の本質を鋭く抉り出している。長大な全曲を通して持続する緊張感も素晴らしい。技術的には怪しい箇所もあるが、それもまたこのコンビらしい。
E.-P. Salonen/Los Angeles Philharmonic
第1楽章: 27'14"
第2楽章: 9'08"
第3楽章: 28'10" 
今ではちょっと古いタイプの“現代的な”演奏。和声や楽曲構造が終始明晰であることに加え、響きが整理されていることによるすっきりとした“無機質な”肌触りなど、サロネンの美質が存分に発揮されている。ただ、指揮者というよりは演奏者側の問題なのだろうが、近年の弦楽器奏者はもう少しアーティキュレイションを意識したボウイングをすることが多いので、それに比べると音楽が静的に過ぎるというか、少々平板に感じられる。
M. Shostakovich/Prague Symphony Orchestra
第1楽章: 27'24"
第2楽章: 8'28"
第3楽章: 27'59" 
早目のテンポでスマートに仕上げている。こういう解釈も悪くはないが、オーケストラの音に力強さが足りないために、聴いていて物足りなさが残ってしまう。技術的にも厳しい部分が若干ある。鳴っている音楽そのものは、なかなか立派なものであるのだが。
Y. Simonov/Orchestre National de Belgique
第1楽章: 28'44"
第2楽章: 8'45"
第3楽章: 26'28" 
非常に安定した解釈で、曲の内容を明らかにする優れた演奏。全ての音に意味が感じられる。オーケストラは、音色やアンサンブルに今一つキレがなく、音の力に不足するのが残念だが、逆にこの曲が交響曲であることを再認識させるような落ち着いた仕上がりになっている。響きにロシア色は少ないものの、内容はロシアそのものであるところが大変素晴らしい。
V. Sinaisky/BBC Philharmonic
第1楽章: 27'01"
第2楽章: 8'53"
第3楽章: 27'56" 
オーケストラの音が軽いのが残念だが、流麗ながらも地に足のついた音楽はなかなかのもの。録音で繰り返し聴こうという程のセールスポイントには欠けるが、実演に接していればかなり感銘の残る演奏と評価できるだろう。
L. Slatkin/Saint Louis Symphony Orchestra
第1楽章: 27'55"
第2楽章: 7'58"
第3楽章: 27'40" 
オーケストラの高い機能を存分に生かした、整然として格調の高い秀演。ロシア風のアクの強さは陰をひそめているが、音色に対する感覚は抜群で、期待をはずされることはない。スラトキンの曲理解も堅実なもので、この曲の複雑な内容をきちんと整理して捉えているのがよく分かる。ただ、全体に流麗に音楽が流れていくため、人によって多少好みは分かれるだろう。しかし、立派な演奏であることには違いない。
L. Slovák/Czecho-Slovak Radio Symphony Orchestra
第1楽章: 28'15"
第2楽章: 8'41"
第3楽章: 27'55" 
全体にソツなくまとめられた、安心して聴くことのできる演奏。演奏者の技量不足の面も散見されるが、まずは及第点に達していると評価できよう。しかし、あまりにも安全運転に過ぎるため、音楽が冗長に聴こえてしまったり、物足りなさを感じてしまう部分も多いのが惜しい。
E. Tabakov/Bulgarian National Radio Symphony Orchestra
第1楽章: 27'22"
第2楽章: 9'28"
第3楽章: 27'27" 
現代の一流オーケストラの技術水準には及ばないものの、大きな破綻がある訳ではなく、些細な瑕も、ライヴならではの一貫した推進力の故にほぼ気にならない。構成面での特異性は、個々の旋律やリズムの分かりやすさを優先することによって丸められており、この作品に抵抗のある聴き手にとっては耳に優しい演奏と言えるかもしれない。
E. Tabakov/Bulgarian National Radio Symphony Orchestra
第1楽章: 27'07"
第2楽章: 9'13"
第3楽章: 26'23" 
煌びやかなサウンドや精緻なアンサンブルには不足するものの、洗練されていない野暮ったい音には懐かしい温もりがあり、第4番の持つ前衛性よりは第5番に繋がるわかりやすいチープな音楽素材の面白さが前面に出ているように聴こえる。
M. Venzago/Swiss Philharmonic Orchestra
第1楽章: 27'47"
第2楽章: 8'52"
第3楽章: 28'10" 
ライヴ録音にもかかわらず、ソツなく丁寧に仕上げられた演奏。真面目に作品に取り組んだことがよく分かるが、オーケストラの力量不足と指揮者の音楽性の故か、この曲が本来秘めているやり場のない凶暴なまでの情熱や力強さに欠ける。この曲に慣れている聴き手ならばともかく、これではただ散漫な曲だという印象だけを受けてしまうかもしれない。
M. Wigglesworth/Netherlands Radio Philharmonic Orchestra
第1楽章: 29'10"
第2楽章: 8'35"
第3楽章: 27'52" 
非常に整った美しい演奏である。全ての音符がコントロールされていて、若気の至りが詰め込まれて収拾がつかなくなったような作品であるにも関わらず、隅々まで整理され尽くしている。音量という意味での盛り上がりは十分に巨大だが、基本的には客観的で冷静な音楽である。同時代的な共感を持ち得なくなった現代ならではの、立派な演奏である。
R. Hayroudinoff & C. Stone (Pf)
第1楽章: 25'58"
第2楽章: 8'45"
第3楽章: 24'16" 
コンドラーシンが初演にあたって勉強したと語っているものと同じ編曲ではないかと推測され、資料的な価値は抜群。もちろん世界初録音。演奏は手堅く、単なる資料音源の域を超えた音楽が表出されている。オーケストラでは響きに埋もれてしまってわからない和声の仕掛けや、対位法的な絡みが明快に聴き取れるのも面白い。

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Last Modified 2024.01.26

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