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弦楽四重奏曲第7番 嬰ヘ短調 作品108

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演奏者録音年レーベル番号備考評価
ALEXANDER QUARTET (Zakarias Grafilo, Frederick Lifsitz, Paul Yarbrough, Sandy Wilson)2005FoghornCD1988
AMATI QUARTET (Willi Zimmermann, Barbara Suter, Nicolas Corti, Johannes Degen)1987Jecklin-DiscoJD 620-2
ARTEMIS QUARTET (Vineta Sareika, Anthea Kreston, Gregor Sigl, Eckart Runge)2018Erato0190295540760
ATRIUM QUARTET (Alexei Naumenko, Anton Ilyunin, Dmitri Oussov, Anna Gorelova)2003EMI7243 5 85638 2 5
BEETHOVEN QUARTET (Dmitri Tsyganov, Vasily Shirinsky, Vadim Borisovsky, Sergei Shirinsky)1960TritonMECC-26019Live(17 Sept.)
BEETHOVEN QUARTET (Dmitri Tsyganov, Vasili Shirinsky, Vadim Borisovsky, Sergei Shirinsky)1961Consonance81-3006
BORODIN QUARTET (Rostislav Dubinsky, Yaroslav Alexsandrov, Dmitri Shebalin, Valentin Berlinsky)1963ShinsekaiSMK-7525-9LP, Chandos-CHAN10064(4)
BORODIN QUARTET (Mikhail Kopelman, Andrei Abramenkov, Dmitri Shebalin, Valentin Berlinsky)1981VictorVICC-40018/23
BORODIN QUARTET (Mikhail Kopelman, Andrei Abramenkov, Dmitri Shebalin, Valentin Berlinsky)1990Virgin0777 7590412 3
BRODSKY QUARTET (Michael Thomas, Ian Belton, Paul Cassidy, Jacqueline Thomas)1989Teldec244 919-2
CAVANI QUARTET (Annie Fullard, Mari Sato, Kirsten Docter, Merry Peckham)1996AzicaACD-71208
CLASSICAL QUARTET OF MONTREAL (Arthur Garami, Luis Grinhauz, Robert Verebes, William Valleau)1972CBCSM-206LP
QUATUOR DANEL (Marc Danel, Gilles Millet, Tony Nys, Guy Danel)2003Fuga LiberaFUG512
QUATUOR DEBUSSY (Christophe Collette, Dominique Lonca, Vincent Deprecq, Yannick Callier)1999ArionARN 68506
ÉDER QUARTET (György Selmeczi, Péter Szüts, Sándor Papp, György Éder)1993Naxos8.550972
EMERSON QUARTET (Eugene Drucker, Philip Setzer, Lawrence Dutton, David Finckel)1998DG463 284-2Live
FINE ARTS QUARTET (Ralph Evans, Efim Boico, Jerry Horner, Wolfgang Laufer)1989Ades14.161-2
FITZWILLIAM QUARTET (Christopher Rowland, Jonathan Sparey, Alan George, Iaon Davis)1977LondonF00L-29155/60
HAGEN QUARTET (Lukas Hagen, Rainer Schmidt, Veronika Hagen, Clemens Hagen)2005DG00289 477 6146
QUARTETTO ITALIANO (Paolo Borciani, Elisa Pegreffi, Piero Farulli, Franco Rossi)1963audite21.456
KOPELMAN QUARTET (Mikhail Kopelman, Boris Kuschnir, Igor Sulyga, Mikhail Milman)2005NimbusNI 5762
KREUTZER QUARTET (Peter Sheppard, Gordon MacKay, Bridget Carey, Neil Hyde)1996Carlton30366 00622
LENINGRAD CONSERVATORY STUDENTS' QUARTET (Alla Aranovskaya, Alla Goryainova, Andrei Dogadin, Leonid Shukayev)1987Melodiya33 C 10 27377 003LP, Live(25 Sept.). Prizewinners at the First International Competition for String Quartets named after D. D. Shostakovich.
MANDELRING QUARTET (Sebastian Schmidt, Nanette Schmidt, Roland Glassl, Bernhard Schmidt)2007audite21.411
MANHATTAN QUARTET (Eric Lewis, Roy Lewis, John Dexter, Judith Glyde)1990ESS.A.YCD1009
META4 (Antti Tikkanen, Minna Pensola, Atte Kilpeläinen, Tomas Djupsjöbacka)2012HänsslerCD 98.644
MORGAUA QUARTET (Eiji Arai, Takashi Aoki, Hisashi Ono, Ryoichi Fujimori)1996EMITOCE-9079
QUARTETTO NOÛS (Tiziano Baviera, Alberto Franchin, Sara Dambruoso, Tommaso Tesini)2021Brilliant96418
PACIFICA QUARTET (Simin Ganatra, Sibbi Bemhardsson, Masumi Per Rostad, Brandon Vamos)2011CedilleCDR 90000 127
PHILHARMONIA QUARTET BERLIN (Daniel Stabrawa, Christian Stadelmann, Neithard Resa, Jan Disselhorst)1995ThorofonCTH 2238
PRAŽÁK QUARTET (Pavel Hůla, Vlastimil Holek, Josef Klusoň, Michal Kaňka)2010PragaPRD 250 421
RASUMOWSKY QUARTET (Dora Bratchkova, Ewgenia Grandjean, Gerhard Müller, Alina Kudelevic)2005OEHMSOC 562
RUBIO QUARTET (Dirk Van de Velde, Dirk Van den Hauwe, Marc Sonnaert, Peter Devos)1998GlobeGLO 5181
RUBIO QUARTET (Dirk Van de Velde, Dirk Van den Hauwe, Marc Sonnaert, Peter Devos)2002Brilliant6429Brilliant-8128
SCHIDLOF QUARTET (Ofer Falk, Rafael Todes, Graham Oppenheimer, Oleg Kogan)1996LinnCKD 065
SHOSTAKOVICH QUARTET (Andrei Shishlov, Sergei Pishchugin, Alexander Galkovsky, Alexander Korchagin)1981OlympiaOCD 532Melodiya-C10 17213-4(LP)
SHOSTAKOVICH QUARTET (Andrei Shishlov, Sergei Pishchugin, Alexander Galkovsky, Alexander Korchagin)1992SacrambowOMCC-1001
SLOVÁK QUARTET (Aladár Mózi, Alojz Nemec, Milan Telecky, Frantisek Tannenberger)1966SupraphonSUA ST 50629LP. RCA-PRL 1-9060(LP)
SORREL QUARTET (Gina McCormack, Catherine Yates, Vicci Wardman, Helen Thatcher)1998ChandosCHAN 9741
ST LAWRENCE QUARTET (Geoff Nuttall, Barry Shiffman, Lesley Robertson, Christopher Costanza)2006EMI0946 3 59956 2 6
ST PETERSBURG QUARTET (Alla Aranovskaya, Ilya Teplyakov, Andrei Dogadin, Leonid Shukaev)1994SonySMK66592
ST PETERSBURG QUARTET (Alla Aranovskaya, Ilya Teplyakov, Alexei Koptev, Leonid Shukaev)2000HyperionCDA67155
TANEYEV QUARTET (Vladimir Ovcharek, Grigori Lutsky, Vissarion Soloviev, Iosif Levinzon)1977VictorVICC-40104/9Praga-PR 250 077
VALENTIN BERLINSKY QUARTET (Bartek Nizoł, Wang Xiaoming, David Greenlees, Alexander Neustroev)2010AvieAV2253
YGGDRASIL QUARTET (Henrik Peterson, Per Öman, Robert Westlund, Per Nyström)1998BISBIS-CD-913
【編曲】
ENGLISH BRASS ENSEMBLE1988ASVCRCB-117Arr. by Paul Archibald.
DAFOV, YordanTolbouhin Chamber Orchestra1988BalkantonBKA 12305/6LP

Alexander Quartet
第1楽章: 3'29"
第2楽章: 3'09"
第3楽章: 6'12" 
特に第2楽章の透明な響きは素晴らしい。しかしながら、第3楽章には切迫した感情が全く感じられず、表現の意図が理解できない。
Amati Quartet
第1楽章: 3'38"
第2楽章: 3'04"
第3楽章: 5'47" 
深い曲理解に基づいた、磨き上げられた美感の傑出する名演。過度に謎めいた雰囲気に陥ることなく、明解ながらも多様な響きを安定して引き出している。ロシア風のアクの強さはないが、それゆえに広く受け入れられる演奏でもあるだろう。
Artemis Quartet
第1楽章: 3'42"
第2楽章: 2'59"
第3楽章: 5'29" 
非の打ち所がない模範的な解釈と、如何なる局面においても貫禄すら感じさせる余裕たっぷりな音楽の運び、そして透明ではあるが無機質ではない響きの美しさ、いずれをとっても見事な出来である。とりわけ、神経質さも、技をこれ見よがしに披歴するような嫌らしさもない、ピアニッシモの感覚的な美しさが印象的である。
Atrium Quartet
第1楽章: 3'14"
第2楽章: 3'39"
第3楽章: 6'31" 
結成3年にして第9回ロンドン国際弦楽四重奏コンペティションの優勝団体となった、アトリウムQのデビュー盤。サンクト・ペテルブルク音楽院で、タネーエフQのチェロ奏者レヴィンソンに師事したとのこと。あまりロシア臭は感じられず、現代風に洗練された、インターナショナルな印象を受ける。アンサンブルの技術水準は非常に高く、実に清潔で澄んだ響きをもって上品にまとめられた音楽は、立派なもの。もっとも、聴き手に忘れ難い印象を残すまでには至っておらず、一層の表現力の獲得を今後に期待したいところ。
Beethoven Quartet
第1楽章: 3'14"
第2楽章: 2'40"
第3楽章: 5'23" 
初演からわずか四ヶ月後の歴史的ライヴ録音。作品に没入し切った異様な昂奮には戦慄すら覚える。全体に表現が外側に向いているのが、いかにもライヴらしい。バランスがとれているのはスタジオ録音の方だが、ライヴゆえの瑕さえ気にしなければ、こちらの方に惹かれる聴き手も少なくないだろう。
Beethoven Quartet
Total Time: 11'31" 
謎めいた雰囲気と静謐な美しさ、そして凶暴なまでの精神の力強さを見事に表出した名演。古きよきロシア流儀の弦の音色もたまらなく美しい。録音状態は決して良くないが、じっくりと耳を傾けて聴きたい演奏である。
Borodin Quartet
第1楽章: 3'24"
第2楽章: 2'55"
第3楽章: 5'32" 
極めて完成度の高い演奏。全ての音の意味を十分に把握し、それを完璧に表現し切っている。この作品がこれほどまでに多彩な響きを持ち、人間的な情感に満ちて再現されることは、そうはないだろう。名演。
Borodin Quartet
第1楽章: 3'19"
第2楽章: 3'35"
第3楽章: 5'38" 
作品を完全に手中に収めた自信に満ちた、風格溢れる名演。特に第2楽章の静謐な美しさが素晴らしい。この団体の美質が素直に出た仕上がりで、実に聴きごたえがある。本作品のファーストチョイスといえるだろう。
Borodin Quartet
第1楽章: 3'20"
第2楽章: 3'30"
第3楽章: 5'50" 
暗く、深く、美しい名演。腹の底から盛り上がってくる力感にも不足しないが、全体を支配しているのは透明感溢れる静けさ。端正なリズムに支えられた雰囲気に満ちた抒情が大変素晴らしい。真に感動的な演奏である。
Brodsky Quartet
第1楽章: 3'52"
第2楽章: 3'30"
第3楽章: 5'43" 
ソツなく仕上げられているが、解釈や表現に今一つ真実味が感じられず、底の浅さが露呈している。技術的には無難な出来。
Cavani Quartet
第1楽章: 3'49"
第2楽章: 3'02"
第3楽章: 6'06" 
聴くに耐えないということはないが、垢抜けない音楽と鈍重な技術がなんとも冴えない演奏。
Classical Quartet of Montreal
Total Time: 11'27" 
室内楽的なまとまりに優れた、隠れた佳演。派手な技巧や圧倒的な音楽性といったものはないが、堅実なアンサンブルの磨き上げが立派。作品の持つ一種病的な凶暴さや色気を描き出すレベルには達していないものの、安心して聴くことができる。
Quatuor Danel
第1楽章: 3'32"
第2楽章: 3'16"
第3楽章: 5'42" 
悪くないのだが、どうも物足りない。特に弱奏部の表現力が弱く、全体に平板で退屈な仕上がりになっている。
Quatuor Debussy
第1楽章: 3'28"
第2楽章: 3'03"
第3楽章: 5'18" 
作品との適度な距離を保った客観的で知的な演奏。響きの美しさとともに、その内容を素直に描き出しているところが立派。線は細いが、作品の姿を等身大に描き出した好演である。
Éder Quartet
第1楽章: 3'38"
第2楽章: 3'24"
第3楽章: 5'29" 
爽やかで充実した響きに満ちた美演。美しい響きがこの演奏の何よりの特質ではあるが、もちろん内容も空虚なものではなく、力強い表現力が適切に多彩な表情を引き出している。ただ、第3楽章のフーガにはより突き抜けたものが欲しいところ。この水準の演奏に注文をつけるのは贅沢ではあるが…。
Emerson Quartet
第1楽章: 3'41"
第2楽章: 2'48"
第3楽章: 5'05" 
雑然と音が並んだだけの空虚な演奏。技術的には安定しているものの、音が汚くてがっかりする。特に第3楽章などは荒いだけ。
Fine Arts Quartet
第1楽章: 3'12"
第2楽章: 2'56"
第3楽章: 5'30" 
悪くない。音色に表情や深みは感じられないものの、引き締まった鋭さはそれなりに立派。手堅いアンサンブルで無難にまとめられている。
Fitzwilliam Quartet
第1楽章: 3'17"
第2楽章: 3'36"
第3楽章: 5'51" 
手堅く落ち着いた佳演。作品に対する真摯な姿勢と虚飾のない音楽作りが立派。やや表現力に不足するのが惜しい。
Hagen Quartet
第1楽章: 3'37"
第2楽章: 2'45"
第3楽章: 5'20" 
過剰な思い入れを排して淡々と音を紡いでいく解釈は、悪くない。特に第1楽章は、きびきびとした音楽の運びがなかなか素敵。ただ、第2楽章の歌いまわしには妙な雑味が感じられるのと、第3楽章のフーガがいたずらに荒っぽいのは残念。
Quartetto Italiano
第1楽章: 3'32"
第2楽章: 4'05"
第3楽章: 5'37" 
往年の名クヮルテットであるこの団体にとっては少し意外なレパートリーだが、第1楽章の軽やかさ、第2楽章の清澄な響きなど、聴きどころはある。さすがに第3楽章のフーガはてんやわんやで、微笑ましくすらあるが。
Kopelman Quartet
第1楽章: 3'37"
第2楽章: 3'39"
第3楽章: 6'03" 
コーペリマンQは、言わずと知れたボロディーンQの第2代第1Vn奏者のコーペリマンを中心に、熟練の室内楽奏者を集めた四重奏団。全員モスクワ音楽院の卒業生でもあり、2002年の結成からわずか3年後の録音とはいえ、極めて完成度の高いアンサンブルを聴かせている。彼らにとっては自家薬籠中のレパートリーでもあり、あらゆる音符に込められた表現意欲が空回りすることなく、非常に大きなスケール感を持った音楽を作り出している。名演である。
Kreutzer Quartet
第1楽章: 3'30"
第2楽章: 6'48"
第3楽章: 6'14" 
それなりにきれいな部分もあるが、基本的にこの作品を把握しきれていない、中途半端な演奏。思い切った表情付けも小手先でしかなく、いかにも底が浅い。第3楽章では技術的にも不満が残る。
Leningrad Conservatory Students' Quartet
Total Time: 13'47" 
丁寧に作り上げられた音楽に好感が持てる。地に足のついた音楽性と技術はなかなかのもの。ただ、使用楽器がそれほどでもないのか、響きに豊かさはない。
Mandelring Quartet
第1楽章: 3'38"
第2楽章: 2'54"
第3楽章: 5'24" 
細やかな表情とダイナミックな激情との表現の振幅が大きく、一気呵成に全曲を聴かせる説得力に満ちている。
Manhattan Quartet
第1楽章: 3'33"
第2楽章: 3'34"
第3楽章: 5'33" 
熱気に満ちた演奏で、決して悪くない。美音で聴かせる団体ではないものの、むしろ表面的な美感に溺れないところが、この作品には程よくマッチしている。ただ、終楽章のフーガなどは荒すぎて整理できていないのが惜しい。
Meta4
第1楽章: 3'31"
第2楽章: 4'38"
第3楽章: 6'07" 
アンサンブルの精度の高さと、4人の音の凝集度の高さ、そして音楽の密度の高さに舌を巻く。美音で耳を奪うタイプの演奏ではないが、奏者の集中力に聴き手も否応無く引き摺り込まれる。決して勢い任せではない考え抜かれた解釈が、極めて正統派であることも好ましい。
Morgaua Quartet
第1楽章: 3'41"
第2楽章: 2'52"
第3楽章: 5'28" 
熱気に満ちた演奏だが、短いながらもそれだけで聴かせられる作品ではないだけに、表現の幅の狭さが惜しい。解釈等、違和感を覚える部分はない。
Quartetto Noûs
第1楽章: 3'46"
第2楽章: 3'00"
第3楽章: 5'49" 
イタリアの団体なので当然ながらロシア流儀の弾き方ではなく、ロシア情緒を前面に押し出しているわけでもないのに、実に良いショスタコーヴィチの音がしている。力強い切れ味と木の温もりを感じさせる厚みのある響きは、非ロシアの団体に限って言えば他の追随を許さない。第2楽章などには一層の精妙さを求めたくもあるが、音楽的なバランスの良い好演である。
Pacifica Quartet
第1楽章: 3'28"
第2楽章: 3'16"
第3楽章: 5'28" 
ライヴ録音でありながらも演奏には終始余裕があり、明晰な解釈と手慣れた音楽の運びは楽曲に対する深い理解を窺わせる。骨太で重量感のある響きが硬派な高揚感を導き出しており、颯爽とした格好良さを感じさせる演奏である。
Philharmonia Quartet Berlin
第1楽章: 3'36"
第2楽章: 3'43"
第3楽章: 6'12" 
落ち着いた、それでいて輝きを失わない音色で端正にまとめられた佳演。やや表面的に音楽が流れるようにも感じられるが、十分に作品の襞を描き出している。聴きやすい演奏。
Pražák Quartet
第1楽章: 3'24"
第2楽章: 3'11"
第3楽章: 5'30" 
情緒的で温もりを感じる演奏である。旋律線のはっきりとした分かり易い演奏と言うことができるだろう。
Rasumowsky Quartet
第1楽章: 3'33"
第2楽章: 3'17"
第3楽章: 5'21" 
第3楽章のフーガが明晰で素晴らしい。他は、ごく標準的な内容。
Rubio Quartet
第1楽章: 3'24"
第2楽章: 3'02"
第3楽章: 6'04" 
安定した技巧と丁寧で堅実な音楽作りが好ましい。音色のせいもあって地味な印象ではあるが、悪くはない。ただ、第2楽章のような静かで深い部分に、それほどの内容が感じられるわけではなく、いま一歩突き抜けたものが欲しい。
Rubio Quartet
第1楽章: 3'33"
第2楽章: 3'36"
第3楽章: 6'03" 
この団体の全集の中では出来の良い演奏の一つ。旧盤よりも一層深みを感じさせる仕上がりになっている。
Schidlof Quartet
第1楽章: 3'17"
第2楽章: 3'33"
第3楽章: 5'56" 
優れた技術と堅実な譜読みが光る好演。不思議な曲の雰囲気を、手堅く表出している。ただ、全体にきれいにまとまりすぎていて、曲の奥底へ到達しきっていないもどかしさの残るところが惜しい。
Shostakovich Quartet
第1楽章: 3'17"
第2楽章: 3'18"
第3楽章: 5'30" 
模範的に整った好演。今一つ突き抜けたものが感じられないとはいえ、楽譜に込められた多彩な表情を丁寧に音化している様には好感が持てる。ノン・ヴィブラートを生かした弱奏部の美しさもなかなかで、技術的な不満もほとんど感じられない。
Shostakovich Quartet
第1楽章: 3'19"
第2楽章: 3'30"
第3楽章: 5'50" 
音色の生かし方が優れた、雰囲気豊かな秀演。きびきびとしたリズム感と確かな造形力も魅力的で、肌理の荒い音色にも味わいを感じさせる。第3楽章のフーガで、技術の不足からか整理のされていない粗さが目立つのが惜しい。
Slovák Quartet
第1楽章: 3'30"
第2楽章: 4'40"
第3楽章: 5'20" 
チェコのしっとりとした音色が心地よい。端正な音楽作りも好ましく、模範的な演奏に仕上がっている。
Sorrel Quartet
第1楽章: 3'39"
第2楽章: 3'55"
第3楽章: 6'09" 
なかなか綺麗な音を持った、堅実な実力を持ったアンサンブル。だが、この短くてどこかひねくれた雰囲気を漂わす作品を演奏するには、まだまだ物足りなさが感じられる。例えば第2楽章でも常識的に繊細な美しさを押し出すだけで、ヴィオラとチェロのグリッサンドに込められたゾッとするような響きを表出することはできていない。
St Lawrence Quartet
第1楽章: 3'40"
第2楽章: 4'24"
第3楽章: 6'08" 
溌剌とした生気に満ちた演奏で、技術水準も高いが、幾分攻撃的に過ぎて聴いていて疲れる。終楽章のフーガなどは聴き手に対して派手にアピールするだろうが、ショスタコーヴィチ独特の静けさが損なわれている。
St Petersburg Quartet
第1楽章: 3'09"
第2楽章: 3'55"
第3楽章: 5'50" 
安定した技術に基づいた、勢いの良い若々しい音楽が素晴らしい。特に中低音域の充実した響きが、雰囲気豊かな音楽を作り上げている。いたずらに深刻ぶらない伸びやかな歌心も心地好い。この作品の魅力を十分に引き出した名演。
St Petersburg Quartet
第1楽章: 3'18"
第2楽章: 4'05"
第3楽章: 5'56" 
しっとりと落ち着いたなかなかの好演。全ての声部が意味深く響いている。旧盤の勢いの良さは後退しているが、聴き手によって好き嫌いは分かれるかもしれない。
Taneyev Quartet
第1楽章: 3'11"
第2楽章: 3'50"
第3楽章: 5'45" 
音楽的にも技術的にも、模範的な出来。静謐な響きの美しさから、引き締まったリズムの凶暴さまで、立派に引き出しているのが素晴らしい。ただ、全体にもっと狂気に満ちていてもいいように思われる。
Valentin Berlinsky Quartet
第1楽章: 3'34"
第2楽章: 3'20"
第3楽章: 5'21" 
個々の技量とアンサンブルの精度は非常に高く、弱奏部に傾倒した音作りがなされている。ごくオーソドックスな解釈がとられており、力感も十分にある水準の高い演奏である。強奏部で線の細いざらついた音がするのは、少し惜しい。
Yggdrasil Quartet
第1楽章: 3'24"
第2楽章: 4'14"
第3楽章: 5'48" 
澄んだ響きがなかなか美しい。堅実な音楽作りで、この謎めいた作品をしっかりとまとめあげている。欲を言えば、表情により一層の多彩さを望みたい。
English Brass Ensemble
第1楽章: 3'41"
第2楽章: 3'03"
第3楽章: 6'09" 
金管五重奏による演奏で、結構面白い。非常に意欲的な編曲で、このアンサンブルの高い力量を遺憾なく発揮している。もっとも、こういう編曲を原曲と同じ次元で論じることはできないのは当然で、弦楽四重奏に期待するものをこの演奏に求めるのはナンセンスである。金管五重奏の可能性を追求しようとする、積極的なその姿勢を聴くべき録音だろう。
Y. Dafov/Tolbouhin Chamber Orchestra
Total Time: 13'57" 
必ずしも弦楽合奏に適した楽曲ではないが、熱のこもった共感が溢れ出すような勢いのある演奏で、技術的にはやや鈍重ながらも聴き手を惹き込む力を持った演奏である。

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Last Modified 2024.03.06

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