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弦楽四重奏曲第4番 ニ長調 作品83

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演奏者録音年レーベル番号備考評価
ALEXANDER QUARTET (Zakarias Grafilo, Frederick Lifsitz, Paul Yarbrough, Sandy Wilson)2005FoghornCD1988
APOLLON MUSAGÈTE QUARTET (Paweł Zalejski, Bartosz Zachłod, Piotr Szumieł, Piotr Skweres)2012OehmsOC 874
BEETHOVEN QUARTET (Dmitri Tsyganov, Vasili Shirinsky, Vadim Borisovsky, Sergei Shirinsky)1953Moscow ConservatorySMC CD 0058Live(3 Dec.)
BEETHOVEN QUARTET (Dmitri Tsyganov, Vasili Shirinsky, Vadim Borisovsky, Sergei Shirinsky)1960Consonance81-3005RCD-16617
BORODIN QUARTET (Rostislav Dubinsky, Yaroslav Alexsandrov, Dmitri Shebalin, Valentin Berlinsky)1962MercurySR 90309LP
BORODIN QUARTET (Rostislav Dubinsky, Yaroslav Alexsandrov, Dmitri Shebalin, Valentin Berlinsky)1962ShinsekaiSMK-7525-9LP, Chandos-CHAN10064(4), Praga-PRD 250 331
BORODIN QUARTET (Mikhail Kopelman, Andrei Abramenkov, Dmitri Shebalin, Valentin Berlinsky)1982VictorVICC-40018/23
BRODSKY QUARTET (Michael Thomas, Ian Belton, Paul Cassidy, Jacqueline Thomas)1989TeldecWPCC-3184
CARDUCCI QUARTET (Matthew Denton, Michelle Fleming, Eoin Schmidt-Martin, Emma Denton)2014SignumSIGCD418
COULL QUARTET (Roger Coull, Philip Gallaway, David Curtis, John Todd)1988ASVCD DCA 631
QUATUOR DANEL (Marc Danel, Gilles Millet, Tony Nys, Guy Danel)2001Fuga LiberaFUG512
DARTINGTON QUARTET (Colin Sauer, Malcolm Latchem, Keith Lovell, Michael Evans)1973Amon RaCD-SAR 1CD-R
QUATUOR DEBUSSY (Christophe Collette, Dominique Lonca, Vincent Deprecq, Yannick Callier)1998ArionARN 68461
DELIAN::QUARTET (Adrian Pinzaru, Andreas Moscho, Aida-Carmen Soanea, Romain Garioud)2011OEHMSOC 451
ÉDER QUARTET (György Selmeczi, Péter Szüts, Sándor Papp, György Éder)1993Naxos8.550972
EMERSON QUARTET (Eugene Drucker, Philip Setzer, Lawrence Dutton, David Finckel)1999DG463 284-2Live
FITZWILLIAM QUARTET (Christopher Rowland, Jonathan Sparey, Alan George, Iaon Davis)1977LondonF00L-29155/60
HAGEN QUARTET (Lukas Hagen, Rainer Schmidt, Veronika Hagen, Clemens Hagen)1993DG445 864-2
JANÁCEK QUARTET (Jirí Trávnícek, Adolf Sykora, Jirí Kratochvíl, Karel Krafka)1960ColumbiaOS-2141-SLP
JERUSALEM QUARTET (Alexander Pavlovsky, Sergei Bressler, Amichai Gross, Kyril Zlotnikov)2004harmonia mundiHMC 901865
KREUTZER QUARTET (Peter Sheppard, Gordon MacKay, Bridget Carey, Neil Hyde)1996Carlton30366 00622
MANDELRING QUARTET (Sebastian Schmidt, Nanette Schmidt, Roland Glassl, Bernhard Schmidt)2005audite21.411
MANHATTAN QUARTET (Eric Lewis, Roy Lewis, John Dexter, Judith Glyde)1990ESS.A.YCD1008
META4 (Antti Tikkanen, Minna Pensola, Atte Kilpeläinen, Tomas Djupsjöbacka)2012HänsslerCD 98.644
PACIFICA QUARTET (Simin Ganatra, Sibbi Bemhardsson, Masumi Per Rostad, Brandon Vamos)2011CedilleCDR 90000 130
PETERSEN QUARTET (Conrad Muck, Daniel Bell, Friedemann Weigle, Henry-David Varema)2003Capriccio67 082
RASUMOWSKY QUARTET (Dora Bratchkova, Ewgenia Grandjean, Gerhard Müller, Alina Kudelevic)2005OEHMSOC 562
RUBIO QUARTET (Dirk Van de Velde, Dirk Van den Hauwe, Marc Sonnaert, Peter Devos)1996GlobeGLO 5157
RUBIO QUARTET (Dirk Van de Velde, Dirk Van den Hauwe, Marc Sonnaert, Peter Devos)2002Brilliant6429Brilliant-8128
SAULESCO QUARTET (Mircea Saulesco, Claes Nilsson, Holger Hanson, Ake Olofsson)1971CapriceCAP 1024LP
SCHIDLOF QUARTET (Ofer Falk, Rafael Todes, Graham Oppenheimer, Oleg Kogan)1996LinnCKD 065
SHOSTAKOVICH QUARTET (Andrei Shishlov, Sergei Pishchugin, Alexander Galkovsky, Alexander Korchagin)1981OlympiaOCD 531
SHOSTAKOVICH QUARTET (Andrei Shishlov, Sergei Pishchugin, Alexander Galkovsky, Alexander Korchagin)1996SacrambowATCO-1007
SIBELIUS ACADEMY QUARTET (Seppo Tukiainen, Erkki Kantola, Veikko Kosonen, Arto Noras)1994Finlandia4509-98997-2
SORREL QUARTET (Gina McCormack, Catherine Yates, Vicci Wardman, Helen Thatcher)1998ChandosCHAN 9769
ST PETERSBURG QUARTET (Alla Aranovskaya, Ilya Teplyakov, Andrei Dogadin, Leonid Shukaev)1994SonySK64584
ST PETERSBURG QUARTET (Alla Aranovskaya, Ilya Teplyakov, Konstantin Kats, Leonid Shukaev)1999HyperionCDA67154
TANEYEV QUARTET (Vladimir Ovcharek, Grigori Lutsky, Vissarion Soloviev, Iosif Levinzon)1971VictorVICC-40104/9EMI-IMA-85068(LP), Praga-PR 254 054
TCHAIKOVSKY QUARTET (Yulian Sitokovetsky, Anton Sharoyav, Rudolf Barshai, Yakov Slobodkin)1954Melodiya33D 028031-32LP, ica-ICAB 5136
【室内交響曲 作品83a(R. Barshai編)】
指揮者オーケストラ録音年レーベル番号備考評価
BARSHAI, RudolfChamber Orchestra of Europe1991DGPOCG-1572
BARSHAI, RudolfOrchestra Sinfonica di Milano Giuseppe Verdi2005Brilliant8212Live, Brilliant-8128
KANTOROW, Jean-JacquesTapiola Sinfonietta2001BISBIS-CD-1180
MAYER, UriIsrael Sinfonietta1997ArabesqueZ6711
SANDERLING, MichaelKammerakademie Potsdam2007Sony88697225042
WEILERSTEIN, JoshuaOrchestre de Chambre de Lausanne2019Fuga LiberaFUG 769
【編曲】
指揮者オーケストラ録音年レーベル番号備考評価
TURICH, MikhailNovosibirsk Chamber Orchestra2000BeauxBEAUX 2022
AMSTERDAM SINFONIETTA2006Channel ClassicsCCS SA 26007SACD. Arr. by Marijn van Prooij.
DANCHENKO, Viktor (Vn), MUNTYAN, Mikhail (Pf)1966Melodiya33D-17635-610"mono, 2nd mov. only, Arr. by D. Tsyganov.
MALININ, Vladimir (Vn), STERN, Maria (Pf)1969Melodiya33D 026389-90LP, 2nd mov. only, Arr. by D. Tsyganov.
ROZHDESTVENSKY, Sasha (Vn), MENUHIN, Jeremy (Pf)2015FHRFHR37

Alexander Quartet
第1楽章: 3'56"
第2楽章: 5'40"
第3楽章: 4'01"
第4楽章: 10'19" 
美しい演奏なのだが、全体に淡々とし過ぎていて表現の底が浅い。チェロの音色が軽いのも、ロシア情緒を損なっている。
Apollon Musagète Quartet
第1楽章: 3'27"
第2楽章: 5'59"
第3楽章: 4'54"
第4楽章: 10'30" 
溌剌とした表現意欲に満ちた音楽を繰り広げており、オーソドックスな音楽作りながらも新鮮さが充溢した聴き応えのある快演である。ただ、少々表現過多な感は否めない。この作品には、平穏の中に微細な表情の移ろいを聴きたいところ。
Beethoven Quartet
第1楽章: 3'06"
第2楽章: 6'07"
第3楽章: 3'46"
第4楽章: 8'29" 
本作品の世界初演ライヴ。今となっては古めかしい演奏ではあるが、独特の張りつめた緊張感の中に、懐かしさを感じさせる旋律の歌いまわしに、このやや地味な作品の魅力がぞんぶんに発揮されている。この水準の演奏で初演されたことは、作曲者の望みに適うものであったと思われる。終楽章のテンポは他の多くの演奏に比べて早め(タネーエフQがほぼ同じテンポを採っている)だが、音楽の舞曲的性格の表出に優れていて、説得力がある。
Beethoven Quartet
第1楽章: 3'14"
第2楽章: 5'52"
第3&4楽章: 12'13" 
録音が優れないのが残念だが、独特の肉厚な美感は十分に楽しめる。解釈は極めて適切なもので、和声の美しさ、リズムの面白さ、意味深い挿入句など、文句なしに味わうことができる。
Borodin Quartet
時間不詳
全集録音とほぼ同時期の録音だけに、演奏の傾向に大きな違いはない。ただ、特に終楽章のテンポが随分と速く、熱気あふれる音楽になっているのが特徴で、これが非常に魅力的。
Borodin Quartet
第1楽章: 4'04"
第2楽章: 7'00"
第3楽章: 3'54"
第4楽章: 10'02" 
最良の意味における模範的な演奏と言うことができるだろう。知情意のバランスが極めて適切で、不満を感じる部分が皆無である一方、やり過ぎることもない。それでいて表現の幅が非常に大きく、スケール大きな仕上がりになっているのはさすが。
Borodin Quartet
第1楽章: 4'00"
第2楽章: 6'54"
第3楽章: 3'59"
第4楽章: 10'14" 
バランスのよく取れた立派な演奏。卓越した技術、透明感溢れる美しい音色、引き締まったリズム、いずれも極めて模範的な仕上がりを見せている。スマートな音楽の流れだが、振幅の大きな表現力のおかげで物足りなさは全く感じない。
Brodsky Quartet
第1楽章: 3'17"
第2楽章: 6'23"
第3楽章: 4'28"
第4楽章: 10'53" 
平凡な仕上がり。スムーズに音楽が流れるものの、単調。
Carducci Quartet
第1楽章: 3'58"
第2楽章: 6'57"
第3楽章: 4'06"
第4楽章: 9'57" 
この団体が持つ武骨さをどう感じるかで評価が別れるかもしれないが、この作品にはもっと感覚的な美麗さを求めたいところ。
Coull Quartet
第1楽章: 3'18"
第2楽章: 6'04"
第3楽章: 4'59"
第4楽章: 11'29" 
無難にまとめてはいるものの、全体に今一つ説得力が感じられない。平凡な出来。技術的には特に不満はない。
Quatuor Danel
第1楽章: 3'44"
第2楽章: 6'29"
第3楽章: 4'18"
第4楽章: 11'01" 
伸びやかな雰囲気が良い。ただ第3楽章や第4楽章では、特に弱奏部で平板な表現もある。第4楽章の高揚感はなかなかのものだが、全体としては今一つの感が否めない。
Dartington Quartet
第1楽章: 3'28"
第2楽章: 6'36"
第3&4楽章: 13'22" 
ロシア風の野生味には欠けるが、伸びやかな歌と溌剌としたリズムが清新な印象を醸し出す美演である。テンポ設定も極めて妥当で、ほぼ同時期に録音されたフィッツウィリアムQの全集に匹敵するばかりか、素朴な熱量という点ではそれを上回る出来栄えである。
Quatuor Debussy
第1楽章: 4'03"
第2楽章: 7'35"
第3楽章: 4'24"
第4楽章: 9'49" 
やや線は細いものの、実に美しく滑らかな仕上がり。地に足のついた表現には底の浅さは感じられず、若々しくも説得力のある好演に仕上がっている。
Delian::Quartett
第1楽章: 3'57"
第2楽章: 7'59"
第3楽章: 4'21"
第4楽章: 11'32" 
徹底して叙情的な演奏。充実した内声が形作る重心の低い響きに乗って外声が気持ち良く歌う演奏は、ショスタコーヴィチの作品ではあまり聴くことのないアプローチだが、この屈託のなさは中々に魅力的である。
Éder Quartet
第1楽章: 3'16"
第2楽章: 7'12"
第3楽章: 3'43"
第4楽章: 8'17" 
この作品の美しさが余すところなく表出された名演。表現の幅が広く、自然に聴き手を引き込むような説得力に満ちている。テンポ設定やリズムの処理も適切で、文字通り模範的な演奏と言うことができる。
Emerson Quartet
第1楽章: 3'50"
第2楽章: 6'23"
第3楽章: 4'35"
第4楽章: 9'31" 
整ってはいるが、ただただ平凡な音楽に終始している。こもり気味の音色もあまり美しくなく、特にセールスポイントはない。
Fitzwilliam Quartet
第1楽章: 3'30"
第2楽章: 6'42"
第3楽章: 4'46"
第4楽章: 10'46" 
後半の楽章にはもう少し切れ味のある力強さを求めたいところだが、前半は非常に美しく、作品の美質が素直に引き出されている。広く万人に薦められる模範的な演奏。
Hagen Quartet
第1楽章: 3'46"
第2楽章: 6'27"
第3楽章: 5'14"
第4楽章: 11'07" 
この団体らしい颯爽とした美しさが発揮されている。ただ、あまり表現に真実味は感じられず、表面的な音楽に終始しているのが惜しい。また、使用楽譜の問題なのか、間違った音がいくつかあるのも残念。
Janácek Quartet
第1楽章: 4'10"
第2楽章: 6'00"
第3楽章: 4'30"
第4楽章: 7'20" 
淡々とした流れの中に、中期作品らしい穏やかさを湛えた演奏。ただ、全体に線が細く、良くも悪くも全ての表情が中庸なものになってしまっている。第1楽章などでは美しさを感じさせるものの、第2楽章の静謐感、第4楽章の高揚感と終結部の謎めいた雰囲気の表現には物足りなさが残る。
Jerusalem Quartet
第1楽章: 3'46"
第2楽章: 6'38"
第3楽章: 3'52"
第4楽章: 9'54" 
表現意欲が空回りし、残念ながら徒に騒がしい音楽になっている。第4楽章をユダヤ情緒たっぷりに粘っこく演奏するのは面白いが、先立つ3つの楽章を同じようなアプローチで歌うことには賛同できない。
Kreutzer Quartet
第1楽章: 3'26"
第2楽章: 5'22"
第3楽章: 4'25"
第4楽章: 7'33" 
いかにも現代的なあっさりとした演奏。澄んだ響きはそれなりに心地良いものの、心に訴えかける力には欠ける。時折顔をのぞかせるあざとい表現も気になる。
Mandelring Quartet
第1楽章: 3'35"
第2楽章: 5'33"
第3楽章: 5'01"
第4楽章: 10'15" 
全体としては手堅くまとめられているのだが、歌や舞曲の表現が微温的で物足りない。
Manhattan Quartet
第1楽章: 4'01"
第2楽章: 6'58"
第3楽章: 4'51"
第4楽章: 9'47" 
肩肘張らない素直な音楽作りに好感が持てる。表現に底の浅さが感じられなくもないが、響きの美しさやリズムの面白味は十分に表出されている。
Meta4
第1楽章: 4'27"
第2楽章: 6'43"
第3楽章: 4'16"
第4楽章: 10'06" 
アンサンブルの精度の高さと、4人の音の凝集度の高さ、そして音楽の密度の高さに舌を巻く。美音で耳を奪うタイプの演奏ではないが、奏者の集中力に聴き手も否応無く引き摺り込まれる。決して勢い任せではない考え抜かれた解釈が、極めて正統派であることも好ましい。ただ、ユダヤ風の音調を強調するためか多用されるグリッサンド/ポルタメントが、少しあざとく耳障りに感じられる。
Pacifica Quartet
第1楽章: 4'11"
第2楽章: 6'44"
第3楽章: 4'17"
第4楽章: 9'58" 
楽曲への過度な思い入れを排した、明晰で勢いのある演奏。手堅くまとめられている。
Petersen Quartet
第1楽章: 3'38"
第2楽章: 5'25"
第3楽章: 4'14"
第4楽章: 8'43" 
テンポ設定などの基本的な解釈は妥当なもので、率直な推進力と歌心も魅力的だが、音楽的にも技術的にも大雑把さは否めない。
Rasumowsky Quartet
第1楽章: 3'52"
第2楽章: 6'01"
第3楽章: 4'42"
第4楽章: 10'27" 
この団体特有の折り目正しい演奏が、どこかとりとめのないこの曲に端正な外観を与えていて心地好い。
Rubio Quartet
第1楽章: 4'31"
第2楽章: 6'31"
第3楽章: 4'03"
第4楽章: 10'28" 
趣味の悪いデフォルメはあるものの、音楽自体はごく平凡なもの。貧弱な音色が気になるが、それ以上に音の間違いが多すぎる。使用楽譜に起因するのかもしれないが、もう少しきちんと勉強してもらいたい。
Rubio Quartet
第1楽章: 4'27"
第2楽章: 6'35"
第3楽章: 4'07"
第4楽章: 10'28" 
手堅くまとめられた佳演。聴き手の耳を奪うような傑出した部分が特にあるわけではないものの、ソツのない解釈とアンサンブルで安心して聴くことができる。
Saulesco Quartet
第1楽章: 3'15"
第2楽章: 7'45"
第3&4楽章: 13'11" 
いかにも北欧の団体らしい木の香りが漂う響きが美しい。素朴で伸び伸びとした歌心はこの曲に相応しく、実に魅力的な音楽に仕上がっている。ただ、非常に残念ながら音の間違いが少なからずある。使用楽譜のミスプリントなのか、単なる譜読み上の問題なのかははっきりとしないが、音楽そのものの水準が高いだけに惜しまれる。
Schidlof Quartet
第1楽章: 3'51"
第2楽章: 7'02"
第3楽章: 4'06"
第4楽章: 9'22" 
洗練された演奏で、悪くない。安心して聴くことができるが、スコアの奥に秘められた熱い想いが表出されるところまでは至っていない。
Shostakovich Quartet
第1楽章: 3'48"
第2楽章: 7'16"
第3&4楽章: 13'22" 
若々しい勢いを感じさせながらも、落ち着いた歌心が魅力的な好演。突き抜けたものがあるわけではないが、安定感のある堅実な音楽作りは立派。
Shostakovich Quartet
第1楽章: 4'33"
第2楽章: 7'38"
第3楽章: 4'00"
第4楽章: 10'14" 
ノン・ヴィブラートを多用した、独特の透明感溢れる響きが美しい。この団体の美質が十分に発揮されているものの、力強い部分での表現力に不足するのが惜しい。
Sibelius Academy Quartet
第1楽章: 3'35"
第2楽章: 6'16"
第3楽章: 3'56"
第4楽章: 9'44" 
爽やかで伸びやかな歌心が心地好い。しっとりとした美感もなかなか。若干あっさりし過ぎているようにも感じられるが、下から突き上げるような骨太の力強さがなかなか良い。
Sorrel Quartet
第1楽章: 3'55"
第2楽章: 7'18"
第3楽章: 4'26"
第4楽章: 9'03" 
概ね良くまとまっているものの、技術的にも音楽的にもアバウトな部分が残っている。それなりの美感は呈しているが、それ以上のものを感じることはできない。
St Petersburg Quartet
第1楽章: 3'20"
第2楽章: 6'06"
第3楽章: 3'51"
第4楽章: 9'14" 
安定した技術と、雰囲気のある音色がなかなか良い。やや勢いに任せてしまう部分があるのは残念だが、素直な歌心は心地好い。深みには乏しいものの、それなりに聴かせる。
St Petersburg Quartet
第1楽章: 3'47"
第2楽章: 6'16"
第3楽章: 4'02"
第4楽章: 10'22" 
低音のしっかりした太めの音色が心地好いし、アンサンブルもしっかりとしたもの。悪くはないのだが、何も訴えかけてこない。ただただ抒情的な雰囲気をそれなりに表出しているだけで、音楽に力がない。
Taneyev Quartet
第1楽章: 3'25"
第2楽章: 6'42"
第3楽章: 4'04"
第4楽章: 8'21" 
骨太の音と、洗練された澄んだ音色。早目のテンポでスタイリッシュにまとめながらも、精神の力強さに満ちた音楽に圧倒される。特に終楽章はかなり速いが、上滑りするようなことはなく、強烈な説得力を持っている。一方で抒情的な美しさにも不足せず、第2楽章の歌は忘れがたい印象を残す。
Tchaikovsky Quartet
時間不詳
古い録音ではあるが、磨き上げられたアンサンブルと作品を深く理解した揺るぎのない解釈が素晴らしい。清冽な抒情と狂気のコントラストも理想的で、文字通り模範的な名演。名手を揃えたこの団体の真価が存分に発揮された演奏である。
R. Barshai/Chamber Orchestra of Europe
第1楽章: 3'52"
第2楽章: 7'14"
第3楽章: 5'13"
第4楽章: 10'39" 
非常に凝った編曲の意図がよく分かる演奏。原曲にしっかりと通じているからこそ、このように思いきって踏み込んだ演奏ができるのだろう。ロシア風のアクの強さや、ユダヤ風の粘っこさには欠ける傾向があるものの、奏でられている音楽のスケールは大きく、名演である。
R. Barshai/Orchestra Sinfonica di Milano Giuseppe Verdi
第1楽章: 4'16"
第2楽章: 7'04"
第3楽章: 5'09"
第4楽章: 9'54" 
まず、どうにもぼやけた録音に不満が残る。そして、そのぼやけた印象は演奏そのものにも当てはまる。室内オーケストラではなく、普通のオーケストラということで、バルシャーイならではの凝集した響きへの志向が実現されていないように感じられる。こうした外向的な響きの印象には、アンサンブルの精度がいまひとつであることも少なからず影響している。バルシャーイの音楽作り自体は、ショスタコーヴィチ作品の劇性と響きをよく理解した模範的なもの。それだけに、物足りなさが残る。
J.-J. Kantorow/Tapiola Sinfonietta
第1楽章: 3'50"
第2楽章: 6'00"
第3楽章: 3'59"
第4楽章: 9'17" 
どこか浮遊感のある透明な響きと、奇を衒うことなく丹念に音楽を紡いでいる様が心地好い。楽曲の根底にある深刻な主題に対する内なる共感も十分に伝わってくるのだが、主として技術水準に起因する表現力の不足ゆえに、結果として表面的なきれい事に終始しているのが残念。
U. Mayer/Israel Sinfonietta
第1楽章: 4'36"
第2楽章: 7'33"
第3楽章: 5'01"
第4楽章: 9'19" 
端正な演奏で、悪くない。ユダヤの旋律に満ちたこの曲を、共感を持って演奏しているのがよく分かる。ややこじんまりとまとまっているために、スケール感に不足するのが残念。
M. Sanderling/Kammerakademie Potsdam
第1楽章: 4'18"
第2楽章: 6'20"
第3楽章: 4'21"
第4楽章: 9'58" 
技術精度の極めて高いアンサンブルと温かみのある太い音色が、編曲も含めた楽曲の真価を魅力的に表出している。スケールの大きな立派な演奏である。
J. Weilerstein/Orchestre de Chambre de Lausanne
第1楽章: 4'23"
第2楽章: 7'28"
第3楽章: 4'52"
第4楽章: 11'13" 
バルシャーイの編曲が持つシンフォニックで多彩な響きを余すところなく表出している。楽曲のロシア性を殊更に強調することのない、敢えて言うならば堅実なドイツ的演奏であるが、現代的な洗練の中に繊細な表情の綾が織り込まれており、奥行きのある音楽的な仕上がりが素晴らしい。
M. Turich/Novosibirsk Chamber Orchestra
第1楽章: 5'09"
第2楽章: 7'55"
第3楽章: 4'43"
第4楽章: 8'38" 
バルシャーイのものとは違う弦楽合奏のための編曲。骨太の熱い音楽作りはなかなか良いが、技術的には少々荒っぽい。こういう素朴な肌触りを好む聴き手も多いだろうが、弦楽合奏ならではの魅力は今一つ感じられないのが惜しい。
Amsterdam Sinfonietta
第1楽章: 4'00"
第2楽章: 6'27"
第3楽章: 4'33"
第4楽章: 9'39" 
原曲と印象が異なることはないが、低弦の充実した響きはなかなか効果的である。一方で高弦は少し線が細いものの、むしろこの下寄りのバランスこそが本演奏の魅力とも言える。
V. Danchenko (Vn), M. Muntyan (Pf)
時間不詳
第2楽章を、初演者の一人であるツィガーノフがVnとPfのために行った編曲。ダンチェンコの野暮ったい芸風のせいか、今ひとつ印象が薄い。音楽的にも技術的にも比較的単純な作品だけに特別な問題があるわけではないのだが、聴き手にアピールするものがない。堅実に弾きこなしているだけに、何とももったいない。
V. Malinin (Vn), M. Stern (Pf)
時間不詳
技術的に問題となるような箇所はないが、旋律の歌い回しが平板で、音楽的に退屈する傾向にあるのは惜しい。
S. Rozhdestvensky (Vn), J. Menuhin (Pf)
6'50"
甘く美しくヴァイオリンの魅力が、ロシアン・ロマンスの世界を堪能させてくれる

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Last Modified 2024.03.08

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