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弦楽四重奏曲第14番 嬰ヘ長調 作品142

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演奏者録音年レーベル番号備考評価
BEETHOVEN QUARTET (Dmitri Tsyganov, Nikolai Zabavnikov, Fyodr Druzhinin, Sergei Shirinsky)1974MelodiyaC 10-05137-8LP, Consonance-81-3008*****
BORODIN QUARTET (Mikhail Kopelman, Andrei Abramenkov, Dmitri Shebalin, Valentin Berlinsky)1981VictorVICC-40018/23
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BORODIN QUARTET (Ruben Aharonian, Sergei Lomovsky, Igor Naidin, Vladimir Balshin)2015Decca478 8205
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BRODSKY QUARTET (Michael Thomas, Ian Belton, Paul Cassidy, Jacqueline Thomas)1989Teldec9031-73108-2
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CAVANI QUARTET (Annie Fullard, Mari Sato, Kirsten Docter, Merry Peckham)1996AzicaACD-71208
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QUATUOR DANEL (Marc Danel, Gilles Millet, Tony Nys, Guy Danel)2005Fuga LiberaFUG512
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QUATUOR DEBUSSY (Christophe Collette, Anne Ménier, Vincent Deprecq, Yannick Callier)2004ArionARN 68674
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ÉDER QUARTET (György Selmeczi, Péter Szüts, Sándor Papp, György Éder)1996Naxos8.550976
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EMERSON QUARTET (Eugene Drucker, Philip Setzer, Lawrence Dutton, David Finckel)1994DG463 284-2Live****
FITZWILLIAM QUARTET (Christopher Rowland, Jonathan Sparey, Alan George, Iaon Davis)1975LondonF00L-29155/60
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GLINKA QUARTET (Alexander Arenkov, Sergei Pishchugin, Misha Geller, Dmitri Ferschman)1977PragaPR 254 043
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HAGEN QUARTET (Lukas Hagen, Rainer Schmidt, Veronika Hagen, Clemens Hagen)1994DG445 864-2
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JULLIARD QUARTET (Joel Smirnoff, Ronald Copes, Samuel Rhodes, Joel Krosnick)2006Sony82876-79018-2
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MANHATTAN QUARTET (Eric Lewis, Roy Lewis, John Dexter, Judith Glyde)1990ESS.A.YCD1013
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RASUMOWSKY QUARTET (Dora Bratchkova, Ewgenia Grandjean, Gerhard Müller, Alina Kudelevic)2005OEHMSOC 562
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RUBIO QUARTET (Dirk Van de Velde, Dirk Van den Hauwe, Marc Sonnaert, Peter Devos)2002Brilliant6429Brilliant-8128****
SHOSTAKOVICH QUARTET (Andrei Shishlov, Sergei Pishchugin, Alexander Galkovsky, Alexander Korchagin)1988OlympiaOCD 535
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SHOSTAKOVICH QUARTET (Andrei Shishlov, Sergei Pishchugin, Alexander Galkovsky, Alexander Korchagin)1997SacrambowATCO-1019
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SIBELIUS ACADEMY QUARTET (Erkki Kantola, Seppo Tukiainen, Veikko Kosonen, Arto Noras)1981FinlandiaFA 324LP*****
SORREL QUARTET (Gina McCormack, Catherine Yates, Sarah-Jane Bradley, Helen Thatcher)2003ChandosCHAN 10114
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ST PETERSBURG QUARTET (Alla Aranovskaya, Ilya Teplyakov, Alexei Koptev, Leonid Shukaev)2002-3HyperionCDA67156
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SUK QUARTET (Antonín Novák, Vojtech Jouza, Karel Rehák, Jan Štros)1976panton11 0603 GLP****
TANEYEV QUARTET (Vladimir Ovcharek, Grigori Lutsky, Vissarion Soloviev, Iosif Levinzon)1975VictorVICC-40104/9
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Gidon Kremer, Yuzuko Horigome (Vn), Kim Kashkashian (Vla), David Geringas (Vc)1986ECM1347/48Live*****

Beethoven Quartet
第1楽章: 8'10"
第2&3楽章: 16'36" 
何とも雰囲気の良い演奏。この作品が要求しているあらゆる表情が、老練なアンサンブルによって引き出されている。奏法、録音ともに古めかしいものの、この音こそがショスタコーヴィチのイメージしていたものだと納得させる説得力に満ちている。
Borodin Quartet
第1楽章: 8'48"
第2楽章: 10'10"
第3楽章: 9'19" 
卓越した個人技とアンサンブル能力で、この薄いスコアから驚くほど芳醇な響きを引き出している。出番は少ないものの、内声が充実しているのが非常に素晴らしい。もちろん、コーペリマンとベルリーンスキイの凄さは改めて言うまでもない。4人が一体となった集中力が、この作品の魅力を余すところなく描き出した名演。
Borodin Quartet
第1楽章: 9'08"
第2楽章: 10'52"
第3楽章: 9'54" 
立派なアンサンブルではあるものの、作品の深い部分に到達し切れていないような、不消化な音楽の物足りなさが、いかにも歯痒い。おそらくは、チェロのバルシンの音の緊迫度が他のメンバーに劣っているように感じられることに起因するのであろう。
Brodsky Quartet
第1楽章: 9'06"
第2楽章: 9'02"
第3楽章: 8'50" 
ソツのない仕上がり。主役のチェロは高音域にやや不満はのこるものの、温かみのある渋い中低音はなかなか。作品の複雑な内容にも積極的に取り組んでいる姿勢は立派だが、透明感や深い情感を十分に表出し切っているとまでは言えないのが惜しい。
Cavani Quartet
第1楽章: 9'08"
第2楽章: 9'41"
第3楽章: 9'13" 
決して洗練された演奏ではないのだが、堅実にまとめられていて、よく弾き込んだ跡が伺える。ただ、音楽的なコントラストに乏しく、ソリスティックなパッセージにも物足りなさが残る。
Quatuor Danel
第1楽章: 8'57"
第2楽章: 10'37"
第3楽章: 8'36" 
これほどまでに熱狂的な高揚感を持った演奏は、他にない。薄いスコアにもどかしさすら感じているかのような表現には、好みが分かれるかもしれない。僕は嫌いではないが、抒情的な部分でもう少し官能的な響きが欲しいところだ。
Quatuor Debussy
第1楽章: 8'51"
第2楽章: 10'33"
第3楽章: 9'31" 
いわゆるロシア臭とは無縁な細身の音色だが、丁寧な音楽作りには好感が持てる。しかし、この作品については少々音が軽すぎるように感じられるのが惜しい。全体にテクスチャの薄さばかりが気になってしまい、モノローグの切実さに欠ける。
Éder Quartet
第1楽章: 8'48"
第2楽章: 9'00"
第3楽章: 8'16" 
温もりのある美しい響きが素敵。各奏者の均質性が光るアンサンブルも、この作品には相応しい。伸びやかな歌も心地好いが、いささか表面的な美感に流れすぎているように感じられる。
Emerson Quartet
第1楽章: 8'13"
第2楽章: 8'52"
第3楽章: 7'59" 
思い入れを排した颯爽とした音楽作りに、ライヴならではの熱気が加わって一種の格好良さを醸し出している。しかしながら、(特に第一ヴァイオリンをドラッカーが担当している時の)この団体は巷間言われるように技術が高いわけではない。第3楽章の壮絶な掛け合いの部分などを聴くと、それがはっきりする。鼻唄のように軽い音色は美しいとも言い難く、少なくとも筆者にとっては好みの演奏ではない。
Fitzwilliam Quartet
第1楽章: 9'06"
第2楽章: 9'13"
第3楽章: 8'11" 
この団体らしい、落ち着きのある端正な演奏。雰囲気もよく出ておりなかなかの出来ではあるが、表現の幅がやや狭いことと、第一ヴァイオリンとチェロの高音域で若干不安定さが聴かれるのは惜しい。
Glinka Quartet
第1楽章: 8'54"
第2楽章: 9'06"
第3楽章: 8'32" 
音の肌理が荒いのが惜しいが、曲の雰囲気を的確に捉えた骨太の佳演。多彩な表情と内容を引き出すというレベルまでは達していないものの、作品が持つ妖艶な美しさと聴き手に深い印象を残さずにはおかない雰囲気とを、立派に再現している。
Hagen Quartet
第1楽章: 8'51"
第2楽章: 9'24"
第3楽章: 8'46" 
スケールがそれほど大きいわけではないが、しっかりとまとまったなかなか美しい演奏。特に中低音のしっとりとした響きは全くロシア風ではないものの、結構素敵。ただ、作品に内包された静謐な美しさを描き出すには、表現力に不足が感じられる。両端楽章などで勢いに任せて荒くなる部分があることも惜しい。
Julliard Quartet
第1楽章: 8'30"
第2楽章: 9'53"
第3楽章: 9'10" 
作品の持つ神経質な繊細さは大柄で華美な響きに塗りつぶされ、モノローグの意味深さはトゥッティに蹂躙されている。晦渋さは後退しているので聴きやすいと言えるかもしれないが、少なくとも僕の聴きたい音楽とは違う。
Manhattan Quartet
第1楽章: 8'42"
第2楽章: 9'52"
第3楽章: 8'23" 
集中力の高い演奏。静謐な部分での緊張感は立派なもの。一方で、音色の荒っぽさが耳につくのは残念。特に主役のチェロに全くと言ってよいほど深みが感じられない。
Rasumowsky Quartet
第1楽章: 8'54"
第2楽章: 8'31"
第3楽章: 9'07" 
作品の持つどこか不健康な官能性が上品に表現されている。淡々とした音楽だが、作品を味わうのに不足はない。
Rubio Quartet
第1楽章: 8'22"
第2楽章: 10'57"
第3楽章: 8'44" 
よく歌った演奏。ただ、少々節回しが情緒的過ぎるというか、軟派に過ぎる傾向がある。技術的にもやや雑な部分があり、全体的な雰囲気は良いものの、手放しで称賛できるほどの出来ではない。
Shostakovich Quartet
第1楽章: 8'44"
第2楽章: 9'39"
第3楽章: 8'22" 
作品を手中に収めた安定感に満ちた、落ち着いた佳演。全ての表現が板についていて、安心して聴き通すことができる。作品の魅力も十分に味わうことができるが、表現と音色に色彩感が乏しく、全体にやや単調に音楽が流れてしまうのが惜しい。
Shostakovich Quartet
第1楽章: 9'06"
第2楽章: 10'01"
第3楽章: 9'02" 
曲を知り尽くした自信に満ちた、練り上げられたアンサンブル。武骨でざらざらとした質感を持った音色と、甘く抒情的な音楽とがうまく溶け合っている。個々の技量はそれほどでもないが、4人が一体となってショスタコーヴィチ晩年の歌をゆったりと歌い上げているのが素晴らしい。
Sibelius Academy Quartet
第1楽章: 8'27"
第2&3楽章: 17'54" 
非常に渋みのある落ち着いた名演。チェロが主役を担う曲だけに、ノラスの名技が際立っている。全体に音色の重心が低く、この作品が本来持つ響きの美しさがごく自然に引き出されているのが素晴らしい。ヴァイオリンには技術的な弱さが聴こえなくもないが、ほとんど気にならない。
Sorrel Quartet
第1楽章: 8'43"
第2楽章: 10'08"
第3楽章: 8'36" 
全体に表現意欲に満ちている一方で、それが逆に勢い一辺倒の直線的な音楽になっているのが残念。この作品では、もっと透明かつ甘美な響きを楽しみたいところ。
St Petersburg Quartet
第1楽章: 9'09"
第2楽章: 10'01"
第3楽章: 9'14" 
安定したリズムに基づく明快な解釈と、おおらかな歌心が魅力的な好演。丁寧な音楽作りには感心するが、この作品に関しては一層の陰影に満ちた深い音色を求めたくなる。
Suk Quartet
Total Time: 26'23" 
地味ながらも温もりのある美しさを湛えた佳演である。上品な抒情は、この作品が持つ魅力の全てではないものの、ある一面を見事に表出している。
Taneyev Quartet
第1楽章: 8'22"
第2楽章: 9'20"
第3楽章: 8'37" 
やや技術的に不安定な部分(高音域の音程)や、表現の踏み込みの甘さなどが気にならなくもないが、全体に作品の美しさを十二分に引き出した秀演に仕上がっている。書法の極端な薄さを感じさせない、骨太の音色が非常に魅力的。
G. Kremer, Y. Horigome, K. Kashkashian, D. Geringas
第1楽章: 8'23"
第2楽章: 11'23"
第3楽章: 10'05" 
ロッケンハウス音楽祭でのライヴ録音。臨時編成のアンサンブルだけにトゥッティでの一体感に乏しいのは否めないが、単独でのソロが多いこの曲については大きなマイナスにはなっていない。クレーメル独特の節回しに違和感を感じるものの、全員が安定した技術で繊細な美しさを表出しており、この曲の魅力を真摯に伝えている。

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Last Modified 2016.07.08

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