ENGLISH


弦楽四重奏曲第10番 変イ長調 作品118

現在私が所有している録音の一覧です。ステレオまたはディジタルのスタジオ録音のCDをデフォルトとして表記し、それ以外の物については“備考”欄に記します。演奏者の名前をクリックすると、その録音についてのコメントを見ることができます。なお、印による評価は演奏と録音の両方を考慮しており、5点満点です。また、ディスク番号をクリックするとジャケット画像が別ウィンドウに表示されます。

演奏者録音年レーベル番号備考評価
ALEXANDER QUARTET (Zakarias Grafilo, Frederick Lifsitz, Paul Yarbrough, Sandy Wilson)2006FoghornCD1991
AMICI QUARTET (Lionel Bentley, Michael Jones, Christopher Wellington, Peter Halling) 1967PyeGSGC 14104LP
BEETHOVEN QUARTET (Dmitri Tsyganov, Vasily Shirinsky, Fyodr Druzhinin, Sergei Shirinsky) 1964TritonMECC-26022Live(20 Nov.)
BEETHOVEN QUARTET (Dmitri Tsyganov, Vasily Shirinsky, Fyodr Druzhinin, Sergei Shirinsky) 1965Consonance81-3009Praga-PRD 250 318
BORODIN QUARTET (Rostislav Dubinsky, Yaroslav Alexsandrov, Dmitri Shebalin, Valentin Berlinsky) 1967ShinsekaiSMK-7525-9LP, Chandos-CHAN10064(4)
BORODIN QUARTET (Mikhail Kopelman, Andrei Abramenkov, Dmitri Shebalin, Valentin Berlinsky) 1982VictorVICC-40018/23
BRODSKY QUARTET (Michael Thomas, Ian Belton, Paul Cassidy, Jacqueline Thomas) 1989Teldec9031-73108-2
QUATUOR DANEL (Marc Danel, Gilles Millet, Tony Nys, Guy Danel) 2005Fuga LiberaFUG512
QUATUOR DEBUSSY (Christophe Collette, Dominique Lonca, Vincent Deprecq, Yannick Callier) 1999ArionARN 68506
ÉDER QUARTET (György Selmeczi, Péter Szüts, Sándor Papp, György Éder) 1996Naxos8.550977
EMERSON QUARTET (Philip Setzer, Eugene Drucker, Lawrence Dutton, David Finckel) 1999DG463 284-2Live
FITZWILLIAM QUARTET (Christopher Rowland, Jonathan Sparey, Alan George, Iaon Davis) 1977LondonF00L-29155/60
KOPELMAN QUARTET (Mikhail Kopelman, Boris Kuschnir, Igor Sulyga, Mikhail Milman)2011NimbusNI 5865
MANDELRING QUARTET (Sebastian Schmidt, Nanette Schmidt, Roland Glassl, Bernhard Schmidt)2008audite21.411
MANHATTAN QUARTET (Eric Lewis, Roy Lewis, John Dexter, Judith Glyde) 1986CentaurCRC 2034
MANHATTAN QUARTET (Eric Lewis, Roy Lewis, John Dexter, Judith Glyde) 1990ESS.A.YCD1010
PACIFICA QUARTET (Simin Ganatra, Sibbi Bemhardsson, Masumi Per Rostad, Brandon Vamos)2012CedilleCDR 90000 138
RASUMOWSKY QUARTET (Dora Bratchkova, Ewgenia Grandjean, Gerhard Müller, Alina Kudelevic)2005OEHMSOC 562
RUBIO QUARTET (Dirk Van de Velde, Dirk Van den Hauwe, Marc Sonnaert, Peter Devos)2002Brilliant6429Brilliant-8128
SHOSTAKOVICH QUARTET (Andrei Shishlov, Sergei Pishchugin, Alexander Galkovsky, Alexander Korchagin) 1985OlympiaOCD 534
SHOSTAKOVICH QUARTET (Andrei Shishlov, Sergei Pishchugin, Alexander Galkovsky, Alexander Korchagin) 1997SacrambowATCO-1018
SOFIA QUARTET (V. Valchev, N. Gagov, V. Gerov, K. Bespalov) 1994GegaGD 168
SORREL QUARTET (Gina McCormack, Catherine Yates, Vicci Wardman, Helen Thatcher) 1998ChandosCHAN 9741
ST PETERSBURG QUARTET (Alla Aranovskaya, Ilya Teplyakov, Alexei Koptev, Leonid Shukaev) 2002-3HyperionCDA67156
TANEYEV QUARTET (Vladimir Ovcharek, Grigori Lutsky, Vissarion Soloviev, Iosif Levinzon) 1978VictorVICC-40104/9
WELLER QUARTET (Walter Weller, Alfred Staar, Helmut Weiss, Ludwig Beinl) 1965LondonKICC 8184
WIHAN QUARTET (Leoš Cepický, Jan Schulmeister, Jirí Zigmund, Aleš Kasprík)1995Universal472 460-2
【弦楽のための交響曲 作品118a(R. Barshai編)】
指揮者オーケストラ録音年レーベル番号備考評価
ALPHEN, Conrad vanRotterdam Chamber Orchestra2007talentDOM 2929 72
BARSHAI, RudolfMoscow Chamber Orchestra1967Brilliant9010Live(7 Mar.)
BARSHAI, RudolfChamber Orchestra of Europe1989DG429 229-2
BARSHAI, RudolfOrchestra Sinfonica di Milano Giuseppe Verdi2005Brilliant8212Live, Brilliant-8128
BIGG, JulianPhoenix Chamber Orchestra1983PhoenixDGS 1038LP
CANIN, StuartThe New Century Chamber Orchestra1996New AlbionNA 088 CD
KANGAS, JuhaOstrobothnian Chamber Orchestra2001BISBIS-CD-1256
KLEIN, EmilHamburg Soloists1996Arte Nova74321 58967 2
MARKIZ, LevNieuw Sinfonietta Amsterdam1989Fidelio8838
MAXYM, RobertCamerata Assindia, Essen1989KochCD 311149 H1
RACHLEVSKY, MishaChamber Orchestra Kremlin1991ClavesCD 50-9115
ROSS, GrahamDmitri Ensemble2014harmonia mundiHMU 907634
TUROVSKY, YuliI Musici de Montreal1985ChandosCHAN8443
YABLONSKY, DmitryKiev Virtuosi2016Naxos8.573601
AMSTERDAM SINFONIETTA2012Channel ClassicsCCSSA 34313

Alexander Quartet
第1楽章: 4'37"
第2楽章: 4'29"
第3楽章: 5'38"
第4楽章: 9'44" 
第1楽章や終楽章コーダの透明感のある響きは美しい。ただ、第2楽章が安全運転に過ぎることと第3楽章のチェロが軽過ぎることが残念。
Amici Quartet
時間不詳 
即物的で乾いた音楽の作りが時代を感じさせるが、悪くはない。むしろ、第3楽章などでも過度に情緒に溺れることのない、硬派な佇まいが魅力的である。ただ、音色が刺々しいのが残念。もう少し潤いが欲しいところ。
Beethoven Quartet
第1楽章: 4'00"
第2楽章: 3'55"
第3楽章: 4'41"
第4楽章: 8'22" 
初演ライヴの歴史的録音。歴史的・資料的価値はもちろんだが、演奏そのものも大変素晴らしい。ライヴゆえの瑕はほとんどなく、ヴィオラがドルジーニンに交代して間もないベートーヴェン四重奏団の本領が十二分に発揮された名演に仕上がっている。早目のテンポもいかにもショスタコーヴィチらしく、この団体のショスタコーヴィチに対する理解の深さが随所に窺える。強靭なリズム、繊細な抒情、いずれも文句のつけようがない。
Beethoven Quartet
第1楽章: 4'00"
第2楽章: 4'10"
第3&4楽章: 13'26" 
奏法の古めかしさが気にならなくもないが、聴き手を十分に納得させる響きが立派。楽譜に忠実な解釈が心地好く、ショスタコーヴィチの意図を真正に伝える演奏として聴き逃してはならないだろう。
Borodin Quartet
第1楽章: 4'23"
第2楽章: 4'04"
第3楽章: 6'16"
第4楽章: 8'57" 
アンサンブルの精度、幅広くスケールの大きな表現力、全ての意味においてこの作品の模範的な演奏。澄み切っていながらも温もりのある響きはドゥビーンスキイ時代のこの団体の特徴であるが、第1楽章と第3楽章にその美質が遺憾なく発揮されている。第2楽章の錯綜した音楽を見事に捌き切る手腕も素晴らしい。全てを総括する第4楽章に至っては、ただただ圧倒されるだけ。不満があるとすれば録音の鮮度くらい。名演。
Borodin Quartet
第1楽章: 4'39"
第2楽章: 3'58"
第3楽章: 6'05"
第4楽章: 9'35" 
圧倒的な名演。洗練の極致でありながら、泥臭くも意味深い内容の抉り出しも傑出している。スケールの大きな音楽の中で、繊細かつ多彩な表現が惜し気もなく繰り広げられる様は、まさに横綱相撲。
Brodsky Quartet
第1楽章: 4'36"
第2楽章: 3'57"
第3楽章: 4'58"
第4楽章: 9'31" 
速めのテンポでスマートに流れる音楽が印象的。堅実にまとめられているものの、特に緩徐楽章での歌い込みに物足りなさが感じられる。一方、第2楽章などでは勢い余って荒くなってしまうのも惜しい。
Quatuor Danel
第1楽章: 4'39"
第2楽章: 3'57"
第3楽章: 5'47"
第4楽章: 9'18" 
第2楽章の暴れっぷりにこの団体の魅力を感じることができるものの、全体としてはやや中途半端な出来。解釈そのものに問題はないが、後期の四重奏曲への過渡的な作風を消化しきれていないようにも思える。
Quatuor Debussy
第1楽章: 4'22"
第2楽章: 4'00"
第3楽章: 5'35"
第4楽章: 9'24" 
整然とまとまった立派な演奏。線は細いが、手堅い解釈と安定した技術が光る。作品に対する客観的な姿勢はいかにも現代的だが、この作品の場合やや物足りなさを感じるのは致し方のないところだろうか。
Éder Quartet
第1楽章: 4'17"
第2楽章: 4'00"
第3楽章: 5'48"
第4楽章: 9'18" 
よく整った美しい演奏。スケールの大きさや大胆な表現には不足するものの、作品の味わいを丁寧に描き出しているところに好感が持てる。
Emerson Quartet
第1楽章: 4'12"
第2楽章: 3'57"
第3楽章: 4'48"
第4楽章: 8'40" 
アンサンブルはまとまっているが、表現力が弱いために全体を通して印象に残る部分がない。チェロの感傷的な歌は悪くはないものの、ショスタコーヴィチのスタイルではない。
Fitzwilliam Quartet
第1楽章: 4'07"
第2楽章: 4'03"
第3楽章: 5'17"
第4楽章: 9'26" 
丁寧に磨き込まれた響きが美しい。内面から突き上げるような力強さと高揚感に欠けるのが物足りないが、真摯な音楽作りは作品の真価を十分に伝えている。
Kopelman Quartet
第1楽章: 5'09"
第2楽章: 4'12"
第3楽章: 6'01"
第4楽章: 9'48" 
地味ながらも手応えのなる立派な演奏。切れ味の良い確かな技術を持つ4人のアンサンブルは非常に見通しが良く、重心の低い骨太な響きとクリアで鋭利な響きとが共存しているのが面白い。また、第3楽章などに聴かれる、泥臭いまでに纏綿と歌い上げられる深いロシア情緒も魅力的である。
Mandelring Quartet
第1楽章: 4'10"
第2楽章: 3'54"
第3楽章: 6'25"
第4楽章: 9'13" 
過度の思い入れを排しつつも、それでいて表情豊かなアンサンブルが立派である。全体によく整ってはいるが、随所でさらに踏み込んだ表現を求めたくなるのが惜しい。
Manhattan Quartet
第1楽章: 4'25"
第2楽章: 4'12"
第3楽章: 6'12"
第4楽章: 9'14" 
無難かつ安定した仕上がり。アンサンブルに今一つ成熟した自由度が感じられないものの、端正な音楽の作りには好感が持てる。肩肘張らない若々しい流れがなかなか。
Manhattan Quartet
第1楽章: 4'09"
第2楽章: 4'10"
第3楽章: 6'04"
第4楽章: 9'10" 
作品の魅力は十分に伝わってくるものの、今一つ深みに欠ける。真摯な作品解釈にも関わらず、安っぽい音色と表面的な表情付けが全体の印象を損ねているのは惜しい。熱気に満ちた緊張感そのものはなかなか。
Pacifica Quartet
第1楽章: 4'34"
第2楽章: 4'07"
第3楽章: 6'26"
第4楽章: 9'41" 
ライヴ録音でありながらも演奏には終始余裕があり、明晰な解釈と手慣れた音楽の運びは楽曲に対する深い理解を窺わせる。骨太で重量感のある響きが硬派な高揚感を導き出しており、いたずらに深刻ぶらないこともあって聴きやすい音楽となっているが、幾分あっさりに過ぎるようにも感じられ、演奏全体の印象がやや薄い。
Rasumowsky Quartet
第1楽章: 4'42"
第2楽章: 4'00"
第3楽章: 5'21"
第4楽章: 9'32" 
切れ味の良い颯爽とした演奏。ロシア風のアクの強さはない。
Rubio Quartet
第1楽章: 4'32"
第2楽章: 4'16"
第3楽章: 6'13"
第4楽章: 9'08" 
過不足のない安定した仕上がり。非常に整っているが、決して外面的な音楽に終始していないところが立派。ただ、特筆すべき魅力はあまり感じられない。
Shostakovich Quartet
第1楽章: 4'08"
第2楽章: 4'05"
第3楽章: 6'34"
第4楽章: 9'01" 
技術的には鈍いところも散見されるが、第3楽章のように抒情的な歌い回しはなかなか魅力的。ざらついた土俗的な音色が独特の雰囲気を醸し出している。覇気に満ちた速めのテンポも心地好い。
Shostakovich Quartet
第1楽章: 4'27"
第2楽章: 4'31"
第3楽章: 6'26"
第4楽章: 9'31" 
安定した落ち着いた雰囲気の演奏。テンポ設定や解釈などは、団体名にふさわしく模範的なもの。ただ、垢抜けない音色が惜しい。表現の振幅もあまり大きくなく、静謐な雰囲気はなかなかなものの、内面から突き上げてくるような力強さには今一つ欠ける。
Sofia Quartet
Total Time: 22'14" 
地味ながらも、しっかりと楽譜に書かれた内容を引き出した好演。どこか垢抜けないざらついた音色で、実に男らしい音楽に仕上げられている。いたずらに絶叫することはないが、十分な切実さを持っているところが立派。
Sorrel Quartet
第1楽章: 5'16"
第2楽章: 4'08"
第3楽章: 7'38"
第4楽章: 9'57" 
演奏技術そのものは決して低くないのだが、表現力が足りないために非常に単調な仕上がりになっている。全てにおいて中庸で、この作品が持つ複雑な内容を表出しうるレベルには達していない。
St Petersburg Quartet
第1楽章: 4'19"
第2楽章: 4'22"
第3楽章: 6'19"
第4楽章: 9'53" 
いかにもこの団体らしい骨太の音色と、丁寧な音楽作りが光る佳演。ただ、この作品の場合はもう少し勢いがあっても良いような気がする。
Taneyev Quartet
第1楽章: 3'56"
第2楽章: 4'18"
第3楽章: 6'18"
第4楽章: 9'07" 
この団体の実力が十二分に発揮された名演。各奏者の高い技巧と音楽性が際立っている。加えて、やや土臭いロシアの音色が魅力的。きびきびとした音楽の流れも作品にふさわしい。この曲の魅力を存分に味わうことができる。
Weller Quartet
第1楽章: 4'18"
第2楽章: 3'54"
第3楽章: 5'02"
第4楽章: 8'13" 
短命に終ったこの団体の真価が十二分に発揮された名演。ウィーン流儀の美音の魅力は言うまでもないが、安定した技術に基づく、隅々まで丁寧に弾き込まれた表情の渋い美しさが際立つ。ロシア風の骨太な力強さはないが、ショスタコーヴィチの美質が見事に引き出されている。
Wihan Quartet
第1楽章: 4'45"
第2楽章: 4'00"
第3楽章: 5'21"
第4楽章: 9'48" 
音程の取り方や音色、歌い回しなどは、いかにもチェコの団体といった感じ。独特の素朴さを漂わせながらも滑らかで抒情的な音楽は、ロシア情緒とは異質ながらも、不思議と懐かしい。いわゆるショスタコーヴィチらしさとは異なるが、こうしたふくよかなショスタコーヴィチも悪くない。中でも第3楽章以降の切々とした音楽は、特筆すべき仕上がりと言ってよいだろう。
C. v. Alphen/Rotterdam Chamber Orchestra
第1楽章: 4'45"
第2楽章: 3'41"
第3楽章: 7'42"
第4楽章: 10'18" 
何とも繊細な演奏で、弱音の美に耽溺しているかのよう。演奏の意図がよく伝わる美演である。
R. Barshai/Moscow Chamber Orchestra
第1楽章: 4'18"
第2楽章: 3'36"
第3楽章: 7'24"
第4楽章: 7'15" 
背筋に寒気が走るような怜悧さと濃密なロシア風の情感とが高い次元で共存する、非の打ちどころがない名演である。この編曲の決定盤と言ってよい。
R. Barshai/Chamber Orchestra of Europe
第1楽章: 5'13"
第2楽章: 4'08"
第3楽章: 5'52"
第4楽章: 10'54" 
オーケストラの高い機能性を存分に生かし(さすがに第2楽章ではアラも散見されるが)、ゆったりとしたテンポで豊かな音楽を奏でている。しっかりと響かされる弱奏部が非常に効果的で説得力を持っている。曲そのものだけでなく、編曲の魅力も存分に伝える名演。
R. Barshai/Orchestra Sinfonica di Milano Giuseppe Verdi
第1楽章: 5'16"
第2楽章: 4'14"
第3楽章: 7'01"
第4楽章: 10'00" 
まず、どうにもぼやけた録音に不満が残る。そして、そのぼやけた印象は演奏そのものにも当てはまる。室内オーケストラではなく、普通のオーケストラということで、バルシャイならではの凝集した響きへの志向が実現されていないように感じられる。こうした外向的な響きの印象には、アンサンブルの精度がいまひとつであることも少なからず影響している。バルシャイの音楽作り自体は、ショスタコーヴィチ作品の劇性と響きをよく理解した模範的なもの。それだけに、物足りなさが残る。
J. Bigg/Phoenix Chamber Orchestra
時間不詳 
力感に満ちた、柄の大きな好演。表現が沈むような雰囲気にのみ偏る傾向はあるものの、曲の雰囲気はよく捉えている。地味だが、堅実な演奏である。
S. Canin/The New Century Chamber Orchestra
第1楽章: 5'08"
第2楽章: 4'02"
第3楽章: 6'21"
第4楽章: 10'21" 
演奏の内容はなかなか良いのだが、音の線が細いために今一つ雰囲気が盛り上がらない。第2楽章などに典型的なのだが、必要な力強さが伝わってこないのは大きな減点材料。真摯な演奏だけにもったいない。
J. Kangas/Ostrobothnian Chamber Orchestra
第1楽章: 4'14"
第2楽章: 4'08"
第3楽章: 6'06"
第4楽章: 9'26" 
若い団体のようだが、しっかりとした技量で清潔に弾ききってるのが素晴らしい。ロシア的な力感とは異質だが、力強さに不足しているわけでもなく、残響の多い録音も影響してか、立派な雰囲気をもっている。録音が多くない曲だけに、十分な存在価値を持った好演である。
E. Klein/Hamburg Soloists
第1楽章: 4'48"
第2楽章: 4'43"
第3楽章: 7'13"
第4楽章: 9'16" 
2楽章にやや作為的な表現が聴かれるが、全体としては非常にオーソドックスな解釈。ドイツ流儀の太い音が落ち着いた雰囲気を醸し出していて、心地好く聴くことができる。
L. Markiz/Nieuw Sinfonietta Amsterdam
第1楽章: 4'27"
第2楽章: 4'13"
第3楽章: 7'29"
第4楽章: 8'48" 
技術的には丁寧で好感の持てる演奏なのだが、表現力に欠けているのか、踏み込みが甘く不満が残る。解釈そのものは模範的といえようが、何とも物足りなさばかりが感じられるのが惜しい。
R. Maxym/Camerata Assindia, Essen
第1楽章: 4'39"
第2楽章: 4'30"
第3楽章: 5'58"
第4楽章: 9'39" 
演奏技術が低く、耳障りな音がする。録音の質の低さも影響しているのだろう。解釈自体はごく平凡なもので、可もなければ不可もなくといったところ。雰囲気は別に悪くはないものの、この編成でこの曲を演奏する意義は全く感じられない。
M. Rachlevsky/Chamber Orchestra Kremlin
第1楽章: 4'46"
第2楽章: 4'38"
第3楽章: 6'15"
第4楽章: 9'30" 
やや洗練され過ぎな感じもするが、まずは模範的な演奏といえよう。緩徐楽章での深く沈んだ雰囲気も、妙に深刻ぶったり耽溺したりしないのが好ましい。センスの良さが窺える。
G. Ross/Dmitri Ensemble
第1楽章: 5'02"
第2楽章: 4'20"
第3楽章: 6'10"
第4楽章: 10'22" 
アンサンブルは手堅いが、無難にまとまっている以上の印象はない。
Y. Turovsky/I Musici de Montreal
第1楽章: 5'02"
第2楽章: 4'51"
第3楽章: 6'43"
第4楽章: 9'38" 
ごく平凡な演奏。個性的な表現等は認められない。第3楽章などにはもう少し切実な音楽を求めたいところだが、この団体の技量ではこんなものか。
D. Yablonsky/Kiev Virtuosi
第1楽章: 5'08"
第2楽章: 5'17"
第3楽章: 5'49"
第4楽章: 11'30" 
ショスタコーヴィチの音楽とバルシャーイの編曲技術の双方の美質が最大限に発揮された、見事な演奏である。ロシア的としか形容しようのない響きも素敵だが、時に野性味を感じさせつつも決して精度が低くならないアンサンブルにも感心する。全ての表現がツボに嵌まった名演である。
Amsterdam Sinfonietta
第1楽章: 5'01"
第2楽章: 4'21"
第3楽章: 6'17"
第4楽章: 9'44" 
弦楽合奏ならではの広がりのある響きが美しい。個々の奏者の技術水準の高さに加え、音程などの機械的な側面に留まらない音楽的な一体感を持ったアンサンブルの素晴らしさに舌を巻く。全体に表現意欲は外向きのベクトルを持っているせいか凝集力には物足りなさが残るのが惜しい。

 作品リストに戻る


 ShostakovichのHome Pageに戻る

Last Modified 2024.03.06

inserted by FC2 system