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歌曲

現在私が所有している録音の一覧です。ステレオまたはディジタルのスタジオ録音のCDをデフォルトとして表記し、それ以外の物については“備考”欄に記します。演奏者の名前をクリックすると、その録音についてのコメントを見ることができます。なお、印による評価は演奏と録音の両方を考慮しており、5点満点です。また、ディスク番号をクリックするとジャケット画像が別ウィンドウに表示されます。


クルィローフの2つの寓話 作品4

独唱者合唱指揮者オーケストラ録音年レーベル番号備考評価
DYADKOVA, Larissa (MS)Women's Voices of the Gothenburg OperaJÄRVI, NeemeGothenburg Symphony Orchestra1993DGPOCG-1789
GRITSKOVA, Margarita (MS)PRINZ, Maria (Pf)2019Naxos8.574031No. 1 only.
RÄISÄNEN, Virpi (MS)VIITASALO, Marita (Pf)2011OndineODE 1208-2
SHKIRTIL, Liudmila (MS)SEROV, Yuri (Pf)2002DelosDE 3309
SINJAWSKAJA, Tamara (MS)Kölner RundfunkchorJUROWSKI, MichailKölner Rundfunk-Sinfonie-Orchester1996Capriccio10 780
VASSILIEVA, Elena (S)PONKIN, VladimirOrchestra of the Republican Guard2002MandalaMAN 5039Live(16 Jan.)
BORISOVA, Galina (S)Chamber Choir of the Moscow ConservatoryROZHDESTVENSKY, GennadyUSSR Symphony Orchestra, Moscow Philharmonic Orchestra1979BMG-Melodiya74321 59058 2Victor-VICC-40053/4, Praga-PRD 250 356

L. Dyadkova (MS), N. Järvi/Gothenburg Symphony Orchestra etc.
I: 3'15" II: 5'28" 
美しい演奏だが、やや凝り過ぎか。大げさな表情付けが曲の素朴な味わいを殺している。好き嫌いは分かれるだろう。
M. Gritskova (MS), M. Prinz (Pf)
I: 3'20" II:   
手堅く生真面目な歌唱に好感が持てる。技術的にも非常に立派な仕上がりだが、ピアノ伴奏は物足りない。
V. Räisänen (MS), M. Viitasalo (Pf)
I: 2'41" II: 4'47" 
ロシア臭のないライサネンの歌唱とシンプルなピアノ伴奏で聴くと、マーラー風の伴奏音型や最後期ロマン派の濃密な情緒がこの作品に埋め込まれていたことに気づかされる。
L. Shkirtil (MS), Y. Serov (Pf)
I: 2'45" II: 4'55" 
ピアノ伴奏版の初録音。オーケストラ伴奏を聴き慣れた耳には物足りなさがあるのと、2曲目が合唱ではないことに違和感がなくもないが、全体がきれいにまとめられていて好感が持てる。
T. Sinjawskaja (MS), M. Jurowski/Kölner Rundfunk-Sinfonie-Orchester etc.
I: 2'52" II: 4'20" 
曲に比べて演奏が立派すぎる感じもするが、もちろん問題がある訳ではない。ソプラノの骨太な歌唱やオーケストラの輝かしい響きは、なかなか素晴らしい。それに比べると、2曲目での女声合唱はやや主張に乏しい。
E. Vassilieva(S), V. Ponkin/Orchestra of the Republican Guard
I: 2'37" II: 4'50" 
こじんまりとまとまった演奏。特に冴えた部分はないが、ライヴでこのレベルの演奏を聴ければ十分満足だろう。第2曲は女声合唱ではなく、ヴァシーリエヴァの独唱で歌われている。
G. Borisova (S), G. Rozhdestvensky/USSR Symphony Orchestra etc.
I: 2'48" II: 4'42" 
2つの曲でそれぞれオーケストラまで変わっているが、単に録音上の都合によるものだろう。演奏自体はソツのないもの。安心して聴ける。

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日本の詩人の詩による6つの歌曲 作品21

独唱者指揮者オーケストラ録音年レーベル番号備考評価
KASATSCHUK, Wladimir (T)JUROWSKI, MichailKölner Rundfunk-Sinfonie-Orchester1995Capriccio10 777
LEVINSKY, Ilya (T)JÄRVI, NeemeGothenburg Symphony Orchestra1994DG447 085-2
MASLENNIKOV, Aleksey (T)ROZHDESTVENSKY, GennadyUSSR Ministry of Culture State Symphony Orchestra1982VictorVICC-40053/4BMG-74321 59057 2
TUCKER, Mark (T)OTAKA, TadaakiYomiuri Nippon Symphony Orchestra1997BMGBVCO-1502
【作品21a】
独唱者ピアノ録音年レーベル番号備考評価
EVTODIEVA, Victoria (S)SEROV, Yuri2001DelosDE 3309
GRITSKOVA, Margarita (MS)PRINZ, Maria (Pf)2019Naxos8.574031Nos. 2 & 4.
HAEFLIGER, Ernst (T)OKADA, Tomoko1994Meister MusicMM-1005Sung in German.
MASLENNIKOV, Aleksey (T)MOGILEVSKAYA, Liya1979MelodiyaC 10-15501-2LP, Melodiya-C10-10617-18(LP)

W. Kasatschuk (T), M. Jurowski/Kölner Rundfunk-Sinfonie-Orchester
I: 2'45" II: 1'35" III: 0'54" IV: 3'21" V: 2'18" VI: 2'26" 
やや地味だが、スケールの大きな美しい演奏。独特の謎めいた雰囲気に拘泥することなく、素直に歌い上げているところに好感が持てる。
I. Levinsky (T), N. Järvi/Gothenburg Symphony Orchestra
I: 3'03" II: 1'46" III: 1'21" IV: 2'55" V: 2'22" VI: 2'29" 
悪くはないが、やや平凡な出来。曲を十分に捉えきることができず、小手先だけで対応しているようにも聴こえる。技術的な破綻はないので、それなりに美しさは味わえる。
A. Maslennikov (T), G. Rozhdestvensky/USSR Ministry of Culture State Symphony Orchestra
I: 2'57" II: 1'44" III: 1'05" IV: 2'57" V: 2'10" VI: 2'19" 
朗々たる歌唱で、不思議な美しさを生み出している。バックも、音色が活かされていてソロをもり立てている。
M. Tucker (T), T. Otaka/Yomiuri Nippon Symphony Orchestra
I: 2'57" II: 2'11" III: 0'58" IV: 3'25" V: 2'36" VI: 3'05" 
堅実に美しくまとめた好演。タッカーの明るめの声質と相まって、非常に聴きやすい仕上がりになっている。
V. Evtodieva (S), Y. Serov (Pf)
I: 2'45" II: 2'09" III: 0'55" IV: 3'30" V: 2'21" VI: 2'23" 
ソプラノによるこの曲の歌唱は珍しい。聴き慣れた雰囲気とは異なるので少々戸惑うが、繊細な美しさは捨て難い。伴奏も手堅い。
M. Gritskova (MS), M. Prinz (Pf)
I:   II: 1'40" III:   IV: 3'20" V:   VI:   
メゾソプラノによる歌唱。手堅く生真面目な歌唱に好感が持てる。技術的にも非常に立派な仕上がりだが、ピアノ伴奏は物足りない。
E. Haefliger (T), 岡田知子 (Pf)
I: 2'38" II: 1'42" III: 1'14" IV: 3'05" V: 1'40" VI: 1'57" 
ドイツ語での歌唱ではあるが、それよりもまろやかにこぢんまりと纏められているのが少々物足りない。年齢による衰えもさすがに覆い隠しようがない。
A. Maslennikov (T), L. Mogilevskaya (Pf)
I: 2'40" II: 2'00" III: 0'49" IV: 3'09" V: 1'45" VI: 2'08" 
マースレンニコフの歌は、オーケストラ伴奏版よりも肩の力が抜けていてより自由な感じがする。解釈の基本的なラインに違いはない。ピアノ伴奏は端正で控えめな印象だが、悪くはない。

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プーシキンの詩による4つの歌曲 作品46

独唱者ピアノ録音年レーベル番号備考評価
BESEDIN, Askold (Br)YEDLINA, Lyubov1986Melodiya33D 022363-64LP
GLUBOKY, Piotr (B)RASSUDOVA, Natalia1994Saison RusseRUS 288 089
GRITSKOVA, Margarita (MS)PRINZ, Maria2019Naxos8.574031No. 1 only.
KIPNIS, Alexander (B)ROSE, Wolfgang1942ParnassusPACD 96087No. 4 only (fragment).
LAWRENCE, Helen (MS)ROLTON, Julian1999Beulah1-2RF5No. 2 only.
LUKONIN, Mikhail (Br)SEROV, Yuri2001DelosDE 3309
VAVRUŠKA, Jaromír (B)POKORNÝ, Jiří1973panton11 0420 GLP, Nos. 1 and 2.
YAKOVENKO, Sergei (Br)GRINBERG, Mariya1975MelodiyaC10-05567-8LP, Nos. 1, 3, 2, and 4. Melodiya-C10-10617-18(LP)
【作品46a】
独唱者指揮者オーケストラ録音年レーベル番号備考評価
BABYKIN, Anatolij (B)JUROWSKI, MichailKölner Rundfunk-Sinfonie-Orchester1994Capriccio10 777
KHARITONOV, Dimitri (B)ELDER, MarkCity of Birmingham Symphony Orchestra1992United88001 CDOrchestration completed by G. McBurney (No. 4).
LEIFERKUS, Sergei (Br)JÄRVI, NeemeGothenburg Symphony Orchestra1993DGPOCG-1789
PLATT, James (B)ELDER, MarkHallé2018HalléCD HLL 7550CD-R, Live(18 Jan.), Orchestration completed by G. McBurney (No. 4).
【オーケストラ伴奏(G. Rozhdestvensky編)】
SAFIULIN, Anatoli (B)ROZHDESTVENSKY, GennadiUSSR Ministry of Culture Symphony Orchestra1983MelodiyaA10 00043 004LP, Melodiya-MCD 008, BMG-74321 59057 2

A. Besedin (Br), L. Yedlina (Pf)
時間不詳
スケールの大きな表現力を持った名演。決して分かりやすいとは言えないこの作品を、有無を言わせずに聴かせる力は素晴らしい。独唱の傑出した歌唱力もさることながら、これはエドリーナの伴奏によるところが大きい。この作品の規範となるべき演奏。
P. Gluboky (B), N. Rassudova (Pf)
I: 2'20" II: 1'35" III: 3'44" IV: 6'21" 
ピアノに若干物足りなさが残るものの、歌自体は立派なもの。張りのある歌声で、単調に陥ることなくまとめている。
M. Gritskova (MS), M. Prinz (Pf)
I: 1'58" II:   III:   IV:   
メゾソプラノによる歌唱。手堅く生真面目な歌唱に好感が持てる。技術的にも非常に立派な仕上がりだが、ピアノ伴奏は物足りない。
A. Kipnis (B), W. Rose (Pf)
I:   II:   III:   IV: 0'58" 
H. Lawrence (MS), J. Rolton (Pf)
I:   II: 1'21" III:   IV:   
それなりに味わい深くて楽しめる。いわゆるロシア色は薄いが、全体に漂う寛いだ渋みは悪くない。
M. Lukonin (Br), Y. Serov (Pf)
I: 2'25" II: 1'40" III: 2'45" IV: 5'52" 
派手にアピールするものはあまり感じられないが、地に足のついた丁寧な歌唱。劇性よりはむしろ、作品の抒情性が素直に表出されている。
J. Vavruška (B), J. Pokorný (Pf)
時間不詳
取り立てて圧倒する部分はないものの、自然に流れる音楽作りが非常に好ましい。深い内容を暗示すると言うよりは、歌謡性に重点のおかれた演奏。これはこれで悪くない。
S. Yakovenko (Br), M. Grinberg (Pf)
I: 2'12" II: 1'26" III: 2'51" IV: 5'16" 
深みのあるロシアン・バリトンの魅力が存分に発揮されている。加えて、グリンベルグの重厚かつ華麗なピアノが作品に一層のスケールをもたらしている。技術的に余裕のあるこのコンビだからこそ成し得た、過剰な表現を排した自然体の名演である。
A. Babykin (B), M. Jurowski/Kölner Rundfunk-Sinfonie-Orchester
I: 1'51" II: 1'24" III: 3'04" IV:   
曲の美しさを十分に再現した好演。ぞっとするような暗さや寂寥感といったものはそれほど感じられないが、曲本来の素朴な味わいが素直に表出されている。
D. Kharitonov (B), M. Elder/City of Birmingham Symphony Orchestra
I: 2'14" II: 1'32" III: 2'51" IV: 5'21" 
清澄な響きが好ましいが、全体にこの曲の複雑な雰囲気を表現しきれてなく、やや一本調子な音楽となっている。ソロは健闘しているが、表現力が今一つか。第4曲のオーケストレイションはごく平凡なもの。可もなく不可もなくといったところ。
S. Leiferkus (Br), N. Järvi/Gothenburg Symphony Orchestra
I: 2'08"" II: 1'51" III: 3'46" IV:   
レイフェルクスの堂々とした歌唱も素晴らしいが、地味ながらも適切に独特の音世界を再現しているヤルヴィの伴奏もまた素晴らしい。立派な風格のある名演。
J. Platt (B), M. Elder/Hallé
I: 2'09" II: 1'31" III: 3'22" IV: 5'33" 
ごく常識的な仕上がり。技術的な精度もテンポ設定などの解釈も、奇を衒ったような箇所は皆無である。ただ、逆に「この演奏でなければ」という特徴には欠ける。
A. Safiulin (B), G. Rozhdestvensky/USSR Ministry of Culture Symphony Orchestra
I: 1'47" II: 1'31" III: 3'36" IV: 5'12" 
全曲ロジデーストヴェンスキイによる編曲が用いられている。ショスタコーヴィチ版との主な相違点はクラリネット以外の木管楽器も導入されていることであるが、やや凝り過ぎている部分もあるものの、全体的にはきちんとショスタコーヴィチ作品の雰囲気が出ているといえる。演奏は手堅いもので、これといった冒険はないが安心して独特の音楽世界を楽しむことができる。

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イギリスの詩人の詩による6つの歌曲 作品62

独唱者ピアノ録音年レーベル番号備考評価
GLUBOKY, Piotr (B)RASSUDOVA, Natalia1994Saison RusseRUS 288 089
GRITSKOVA, Margarita (MS)PRINZ, Maria2019Naxos8.574031Nos. 5 & 6.
KIPNIS, Alexander (B)ROSE, Wolfgang1942ParnassusPACD 96087Nos. 5 & 6.
KUZNETSOV, Fyodor (B)SEROV, Yuri1998René GaillyVTP CD92 041Delos-DE 3309
PTUKHA, Oleg (B)KUSHNIR, Nadezhda1977Melodiya33 C 10-08921-2LP, Nos. 3 and 4.
SAVENKO, Vassily (B)BLOK, Alexander2002Toccata ClassicsTOCC 0039Nos. 2, 3, and 4.
STATNIK, Yuri (B)RASSUDOVA, Nataliya1978Melodiya33 C 10-11239-40LP, No. 4 only.
VLADIMIROV, Yevgeni (B)STRZHIZHOVSKAYA, Valentina
Melodiya33C 10-05517-18LP, Nos. 4, 3, and 6.
【作品62a】
独唱者指揮者オーケストラ録音年レーベル番号備考評価
FINLEY, Gerald (B)SANDERLING, ThomasHelsinki Philharmonic Orchestra2013OndineODE 1235-2
SAFIULIN, Anatoli (B)ROZHDESTVENSKY, GennadiUSSR Ministry of Culture Symphony Orchestra1986BMG74321 59057 2Melodiya-C10 31619 002(LP)

P. Gluboky (B), N. Rassudova (Pf)
I: 4'27" II: 3'01" III: 2'38" IV: 2'04" V: 3'40" VI: 1'08" 
ピアノに大きな責任があるのだろうが、鈍重な仕上がり。特に第3曲や第6曲などで躍動感と鋭さに欠ける。
M. Gritskova (MS), M. Prinz (Pf)
I:   II:   III:   IV:   V: 2'50" VI: 0'45" 
メゾソプラノによる歌唱。手堅く生真面目な歌唱に好感が持てる。技術的にも非常に立派な仕上がりだが、ピアノ伴奏は物足りない。
A. Kipnis (B), W. Rose (Pf)
I:   II:   III:   IV:   V: 3'34" VI: 0'50" 
F. Kuznetsov (B), Y. Serov (Pf)
I: 4'05" II: 2'33" III: 2'14" IV: 1'32" V: 2'48" VI: 0'48" 
ピアノがやや軽いことと歌の表情がやや明るすぎる部分が僕の好みとは違うものの、なかなか充実した好演。特にクズネツォフの美声は素晴らしい。
O. Ptukha (B), N. Kushnir (Pf)
I:   II:   III: 2'38" IV: 1'15" V:   VI:   
バスの魅力たっぷりの美声を生かした、素直で流れの良い好演。第4曲「ジェンニ」は、相当速いが、そのあっけないまでに淡々とした中に、いかにもロマンスらしい甘さが感じられる。
V. Savenko (B), A. Blok (Pf)
I:   II: 3'13" III: 2'07" IV: 1'37" V:   VI:   
サヴェンコの歌唱は現代的な洗練を感じさせるもので、旋律の明晰なフレージングと、伴奏の和声に寄り添って移ろう色合いの変化が美しい。
Y. Statnik (B), N. Rassudova (Pf)
時間不詳
第6回チャイコーフスキイ国際コンクールにて第3位を受賞したスタートニクの、コンクールでのライヴ録音。美しい声はなかなか魅力的だが、作品の再現という観点からはもう一歩の深みが欲しい。
Y. Vladimirov (B), V. Strzhizhovskaya (Pf)
時間不詳
深く豊かなヴラディミロフの名唱が圧倒的。美しく安定した歌声は、この作品の響きを余すところなく音化している。各曲の表情の描き分けも見事。全曲でないのが大変残念。伴奏ピアノは無難だが、音楽的な主張はあまり感じられず、少々物足りない。
G. Finley (B), T. Sanderling/Helsinki Philharmonic Orchestra
I: 4'14" II: 2'32" III: 2'16" IV: 1'41" V: 3'27" VI: 0'48" 
ジャケットの「世界初録音」というクレジットは誤り。フィンリーの声質は若干軽いが、編曲の質も相まって中期ならではのメロディアスで陽性の響きが手堅く引き出されている。
A. Safiulin (B), G. Rozhdestvensky/USSR Ministry of Culture Symphony Orchestra
I: 3'55" II: 3'30" III: 2'10" IV: 1'45" V: 3'04" VI: 0'46" 
独唱、オーケストラ共に不足のない充実した出来。やや暗めのサフューリンの声質が曲調によく合っているが、何よりもロジデーストヴェンスキイ独特の強烈な音色の対比と粘着質なリズムが素晴らしい。オーケストレイションの違いが影響しているのか、作品本来がもつ中期の力強さが前面に出ているのが面白い。

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ユダヤの民族詩より 作品79

独唱者ピアノ録音年レーベル番号備考評価
VALENTE, Benita (S), MAURICE, Glenda (MS), HUMPHREY, Jon (T)BATLLE, Luis1967Marlboro Recording Society80002Live(18 Aug.). Sung in German.
CSAPÓ, Eva (S), EGGERS, Anke (MS), BINGE, Günter (T)GÖBEL, Horst1984Thorofon CapellaMTH 267LP, Sung in German.
VALENTE, Benita (S), DEGAETANI, Jan (MS), HUMPHREY, Jon (T)LIPMAN, Samuel1980BridgeBCD 9048Live, Sung in German.
MOK, Judith (S), MONCAYO, Susanna (MS)PÉREZ, Fernando
EmergoEC 3922-2Nos. 1 and 2.
GRITSKOVA, Margarita (MS)PRINZ, Maria2019Naxos8.574031Nos. 3 & 5.
WICKHAM, Frederique (S)RASQUIER-ULRYCH, Helene
PRIVATEFW 53.19.3245 rpm. No. 3 only.
SUMATCHOVA, Svetlana (S), TARASSOVA, Marianna (MS), PLUZHNIKOV, Konstantin (T)SEROV, Yuri1995DelosDE 3317
DORLIAK, Nina (S), DOLUKHANOVA, Zara (MS), MASLENNIKOV, Aleksei (T)SHOSTAKOVICH, Dmitry1956RevelationRV70007Russian Disc-RD CD 15 015, MK-ND 03216-17(LP), Monitor-MC 2020(LP), Melodiya-C10-10521-22(LP)
WIEDSTRUCK, Yvonne (S), OERTEL, Christiane (MS), LEVINSKY, Ilya (T)SKIGIN, Semjon1995DiscoverDICD 920259
【作品79a】
独唱者指揮者オーケストラ録音年レーベル番号備考評価
SÖDERSTRÖM, Elizabeth (S), WENKEL, Ortrun (A), KARCYKOWSKY, Ryszard (T)HAITINK, BernardConcertgebouw Orchestra, Amsterdam1986LondonPOCL-9255/66
ORGONASOVA, Luba (S), STUTZMANN, Nathalie (A), LANGRIDGE, Philip (T)JÄRVI, NeemeGothenburg Symphony Orchestra1992DGPOCG-1789
FOMINA, Nina (S), SINJAWSKAJA, Tamara (A), MISCHENKIN, Arkadi (T)JUROWSKI, MichailKölner Rundfunk-Sinfonie-Orchester1995Capriccio10 778
DOBRAČEVA, Evelina (S), PRUDENSKAYA, Marina (A), GRIVNOV, Vsevolod (T)JUROWSKI, MichailStaatskapelle Dresden2012Berlin Classics0300935BCLive(30 Sept.)
SHAROVA, Tatiana (S), KUZNETSOVA, Ludmila (MS), MARTYNOV, Alexei (T)POLYANSKY, ValeriRussian State Symphony Orchestra1996ChandosCHAN 9600
SHAGUCH, Marina (S), DIADKOVA, Larissa (MS), PLUZHNIKOV, Konstantin (T)ROZHDESTVENSKY, GennadiRotterdam Philharmonic Orchestra1995RCA09026 68434 2
CROONEN, Maria (S), BURMEISTER, Annelies (A), SCHREIER, Peter (T)SANDERLING, KurtBerliner Sinfonie-Orchester1963Berlin Classics0090162BCLive(1 Oct.), Sung in German.
ZHUKOVA, Marina (S), SVECHNIKOVA, Elena (MS), KURPE, Nikolay (T)SPIVAKOV, VladimirMoscow Virtuosi1997Musicmasters01612-67189-2
BOBRINEVA, Raisa (S), BORISOVA, Galina (MS), MASLENNIKOV, Aleksei (T)SVETLANOV, EvgeniUSSR State Symphony Orchestra1980MelodiyaC10-16327-30LP, Le Chant du Monde-LDX 78.808(LP)
BEN-ZVI, Eva (S), GOUBINA, Elena (A), KURPE, Nikolai (T)TCHISTIAKOV, AndreiBolshoi Theatre Orchestra1998-9Saison RusseRUS 288166Sung in Yiddish.
PELLE, Nadia (S), HART, Mary Ann (MS), NOLAN, Rodney (T)TUROVSKY, YuliI Musici de Montreal1989ChandosCHAN 8800
DOKSHIZER, Timofei (tp)SONDECKIS, SauliusLithuanian Chamber Orchestra1997TritonDICC-26046Nos. 10 & 7, arr. by A. Senderovas.

B. Valente (S), G. Maurice (MS), J. Humphrey (T), L. Batlle (Pf)
I: 2'43"
II: 1'38"
III: 3'34"
IV: 3'41"
V: 1'06"
VI: 2'26"
VII: 1'28"
VIII: 3'29"
IX: 2'41"
X: 3'40"
XI: 2'23"
マールボロ音楽祭の60周年記念自主制作盤。ドイツ語歌唱であることは減点材料だが、単に(1968年の録音当時において)珍しい作品を取り上げたというに留まらず、共感に満ちた滋味のある演奏である。いささかこじんまりに過ぎるのが惜しい。
E. Csapó(S), A. Eggers(A), G. Binge(T), H. Göbel (Pf)
I: 2'26"
II: 1'38"
III: 3'12"
IV: 3'28"
V: 1'11"
VI: 2'07"
VII: 1'17"
VIII: 3'01"
IX: 3'02"
X: 3'31"
XI: 2'51"
ドイツ語による歌唱。歌手の声質に土俗的な力強さが不足し、綺麗ではあるが物足りなさが残る。
B. Valente (S), J. DeGaetani (MS), J. Humphrey (T), S. Lipman (Pf)
I: 2'38"
II: 1'37"
III: 2'56"
IV: 2'55"
V: 1'08"
VI: 1'52"
VII: 1'25"
VIII: 3'14"
IX: 1'45"
X: 3'09"
XI: 1'50"
終曲の妙な歌唱以外は、解釈面で特に問題を感じない。ただ、ピアノが単調に過ぎるため、今一つ胸に迫ってくるものがない。
J. Mok (S), S. Moncayo (MS), F. Pérez (Pf)
I: 2'40"
II: 1'43"
III:  
IV:  
V:  
VI:  
VII:  
VIII:  
IX:  
X:  
XI:  
伸びやかさには欠けるが、丁寧な歌唱には好感が持てる。
M. Gritskova (MS), M. Prinz (Pf)
I:

II:

III: 3'14"
IV:

V: 1'21"
VI:

VII:

VIII:

IX:

X:

XI:
手堅く生真面目な歌唱に好感が持てる。技術的にも非常に立派な仕上がりだが、ピアノ伴奏は物足りない。
F. Wickham (S), H. Rasquier-Ulrych (Pf)
I:

II:

III: 3'00"
IV:

V:

VI:

VII:

VIII:

IX:

X:

XI:
いかにも素人くさい不安定極まりない歌唱で、全く楽しめない。
S. Sumatchova (S), M. Tarassova (MS), K. Pluzhnikov (T), Y. Serov (Pf)
I: 2'53"
II: 1'57"
III: 3'52"
IV: 2'55"
V: 1'08"
VI: 2'06"
VII: 1'30"
VIII: 2'51"
IX: 1'39"
X: 2'31"
XI: 1'39"
非常に安定してスケールの大きな音楽を奏でている、大変立派な演奏。ゆったりとしたテンポ設定だが、途中でだれることもない。素直で嫌味のない歌唱が、作品の魅力を適切に伝えてくれる。
N. Dorliak (S), Z. Dolukhanova (MS), A. Maslennikov (T), D. Shostakovich (Pf)
I: 2'50"
II: 1'50"
III: 3'15"
IV: 2'42"
V: 1'06"
VI: 2'05"
VII: 1'22"
VIII: 3'04"
IX: 1'29"
X: 2'31"
XI: 1'21"
ピアノ伴奏版としては理想的な演奏。適切なフレージング、緊張感あふれるアンサンブル、絶妙のリズム感、心をかきむしられる高揚感、いずれをとっても最高である。歌手が皆甘さのある美声を持っているのも素晴らしく曲にマッチしている。
Y. Wiedstruck (S), C. Oertel (MS), I. Levinsky (T), S. Skigin (Pf)
I: 2'36"
II: 1'43"
III: 4'20"
IV: 2'14"
V: 1'44"
VI: 2'09"
VII: 1'43"
VIII: 2'38"
IX: 1'55"
X: 3'00"
XI: 1'36"
歌もピアノも素直な演奏で好感が持てる。突き抜けた表現力を持った演奏ではないが、安心して聴くことができる。
E. Söderström (S), O. Wenkel (A), R. Karcykowsky (T), B. Haitink/Concertgebouw Orchestra, Amsterdam
I: 2'39"
II: 2'49"
III: 3'45"
IV: 2'25"
V: 1'16"
VI: 2'03"
VII: 1'22"
VIII: 3'19"
IX: 1'46"
X: 3'13"
XI: 2'37"
スケール大きな秀演。管弦楽伴奏の長所が存分に発揮されている上に、声楽陣も安定した歌唱を繰り広げている。終曲のテンポには違和感があるものの、全体的な解釈は模範的なもので、各曲間の有機的な結合が全曲を見事に統一している。いくぶんくすんだような落ち着いた響きも魅力的。
L. Orgonasova (S), N. Stutzmann (A), P. Langridge (T), N. Järvi/Gothenburg Symphony Orchestra
I: 2'19"
II: 1'47"
III: 3'38"
IV: 3'01"
V: 1'21"
VI: 2'10"
VII: 1'29"
VIII: 3'14"
IX: 1'50"
X: 3'16"
XI: 1'35"
冴えない演奏。野暮ったい節回し、キレの悪いリズム、もったいぶった表情、いずれをとっても深い感銘からは程遠い。十分な技量を持った演奏者を集めているだけに、非常にもったいない。
N. Fomina (S), T. Sinjawskaja (A), A. Mischenkin (T), M. Jurowski/Kölner Rundfunk-Sinfonie-Orchester
I: 2'38"
II: 1'48"
III: 3'07"
IV: 2'30"
V: 1'06"
VI: 1'54"
VII: 1'16"
VIII: 3'09"
IX: 1'46"
X: 2'28"
XI: 1'21"
オーケストラは立派な出来。声楽陣はやや物足りない。粘っこい歌い回しのせいで、テンポの割りにゆったりした印象を受ける。随所に表現意欲が漲っているのは良いのだが、それが不自然に感じられることも多いのが残念。
E. Dobračeva (S), M. Prudenskaya (A), V. Grivnov (T), M. Jurowski/Staatskapelle Dresden
I: 2'22"
II: 1'53"
III: 2'16"
IV: 2'30"
V: 1'05"
VI: 1'59"
VII: 1'27"
VIII: 2'51"
IX: 1'45"
X: 2'40"
XI: 1'12"
オーケストラの重心の低い響きは悪くないのだが、独唱とのバランスを取っているせいか、流れは良いものの大人しい音楽に終始するのが残念。
T. Sharova (S), L. Kuznetsova (MS), A. Martynov (T), V. Polyansky/Russian State Symphony Orchestra
I: 2'46"
II: 2'01"
III: 3'32"
IV: 2'35"
V: 1'07"
VI: 1'44"
VII: 1'25"
VIII: 3'03"
IX: 1'43"
X: 2'44"
XI: 2'08"
歌手、オーケストラ、録音共に不足のない素晴らしい出来。ややオーケストラが遠く感じられるが、気になるほどではない。若干表現過多になる部分が散見されるが、特別嫌味に感じられるほどではないので、好みの問題だろう。非常に洗練されているので聴きやすいのだが、幾分人工的な臭いがするようにも思われる。
M. Shaguch (S), L. Diadkova (MS), K. Pluzhnikov (T), G. Rozhdestvensky/Rotterdam Philharmonic Orchestra
I: 2'33"
II: 2'24"
III: 2'27"
IV: 3'04"
V: 1'18"
VI: 2'07"
VII: 1'35"
VIII: 2'32"
IX: 1'37"
X: 3'13"
XI: 1'44"
テノールの声質があまり良くないが、その他2人の女性歌手には特に不満はない。この演奏は、オーケストラが実に素晴らしい。ロジデーストヴェンスキイ独特の粘り気味なテンポの中で、精緻にスコアを音化している。特に音色の生かし方が適切で、まるでロシアのオーケストラのような響きがしている。粘着質な音楽でありながらも、推進力に満ちているところも立派。
M. Croonen (S), A. Burmeister (A), P. Schreier (T), K. Sanderling/Berliner Sinfonie-Orchester
I: 2'59"
II: 1'46"
III: 3'08"
IV: 3'04"
V: 1'19"
VI: 2'02"
VII: 1'23"
VIII: 3'39"
IX: 1'36"
X: 2'15"
XI: 1'28"
管弦楽伴奏版の世界初演ライヴ録音。ただし、ドイツ語による歌唱。さすがに違和感を覚える箇所も多いのが残念だが、演奏自体は真摯なもの。スケールが大きく、完成度が高い。歌手もやや軽めの声質ながらも安定した歌唱を繰り広げているし、オーケストラも手堅いながらも時々ハッとするような響きを出している。しかしながら全体に地味な仕上がりで、ショスタコーヴィチ特有の音色の対比による効果に欠けているのが惜しい。ただし、こういう演奏を好む人も多いだろう。
M. Zhukova (S), E. Svechnikova (MS), N. Kurpe (T), V. Spivakov/Moscow Virtuosi
I: 2'43"
II: 2'09"
III: 3'17"
IV: 2'40"
V: 1'17"
VI: 2'10"
VII: 1'07"
VIII: 3'34"
IX: 1'34"
X: 2'39"
XI: 1'47"
歌手、オーケストラの双方がしっかりとした技術の上に、安定した演奏を繰り広げている。歌手の声質は3人とも骨太で悪くないが、時々垢抜けない歌い回しが散見されるのが残念。オーケストラは巧いが、これといった主張が全く感じられない。良い意味でも悪い意味でも“模範的な”演奏ということができようか。
R. Bobrineva (S), G. Borisova (MS), A. Maslennikov (T), E. Svetlanov/USSR Symphony Orchestra
Total Time: 24'03"
柄の大きな音楽が特徴的で、短編オペラのような雰囲気すら漂う。スヴェトラーノフらしい粘り気のある重厚な歌は、ユダヤ風というよりは徹底的にロシア風。こうした音楽作りの方向性の評価については聴き手の好みに委ねられるだろうが、本盤の欠点は女声の弱さ。これは声量ではなく、声質の問題。あまりにもきつ過ぎるのが気になる。
E. Ben-Zvi (S), E. Goubina (A), N. Kurpe (T), A. Tchistiakov/Bolshoi Theatre Orchestra
I: 2'35"
II: 1'52"
III: 2'43"
IV: 3'17"
V: 1'47"
VI: 1'57"
VII: 1'31"
VIII: 2'57"
IX: 1'32"
X: 2'30"
XI: 1'33"
ヘブライ語による初録音がウリだが、言語の響きの違和感が大きくてそれほど楽しめない。また、ソプラノの癖のある歌唱はあまり好ましくないし、テノールも響きが良くない。オーケストラは安定した立派な演奏しているだけに、非常にもったいない。
N. Pelle (S), M. A. Hart (MS), R. Nolan (T), Y. Turovsky/I Musici de Montreal
I: 2'34"
II: 1'53"
III: 2'54"
IV: 2'39"
V: 1'24"
VI: 1'55"
VII: 1'23"
VIII: 3'13"
IX: 1'40"
X: 3'13"
XI: 1'37"
ソプラノが声質、ヴィブラート共に神経に障る演奏で気に入らない。オーケストラは健闘しているが、節回しに鈍重な感じが残る。全体に勢いに任せた演奏で、各曲の持つ多様性を十分に表現しているとはいえない。
T. Dokshizer (Tp), S. Sondeckis/Lithuanian Chamber Orchestra
I:  
II:  
III:  
IV:  
V:  
VI:  
VII: 1'32"
VIII:  
IX:  
X: 2'51"
XI:  
輝かしい音色、安定したテクニック、伸びやかな歌といった、ドクシツェルの魅力を堪能できる。オーケストラのバランスがやや控え目な録音のせいもあるが、全体に旋律重視の演奏となっているものの、これはこれで抗いがたい魅力がある。

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M.レールモントフの詩による2つの歌曲 作品84

独唱者ピアノ録音年レーベル番号備考評価
BIRYUKOVA, Natalia (MS)SEROV, Yuri2001DelosDE 3304
GRITSKOVA, Margarita (MS)PRINZ, Maria2019Naxos8.574031

N. Biryukova (MS), Y. Serov (Pf)
I: 3'09"
II: 5'47" 
世界初録音。素直な演奏が、この知られざる作品の姿を適正に描き出している。
M. Gritskova (MS), M. Prinz (Pf)
I: 3'26"
II: 5'03" 
手堅く生真面目な歌唱に好感が持てる。技術的にも非常に立派な仕上がりだが、ピアノ伴奏は物足りない。

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E.ドルマトーフスキイの詩による4つの歌曲 作品86

独唱者ピアノ録音年レーベル番号備考評価
EVTODIEVA, Victoria (S)SEROV, Yuri1998René GaillyVTP CD92 041Delos-DE 3304
TALANOV, Zhenya (S)RSFSR Acadimic Russian Choir
MKD 5062-310" mono, No. 1 only. Melodiya-33CM-03745-6 (LP)

V. Evtodieva (S), Y. Serov (Pf)
I: 2'30"
II: 2'04"
III: 2'05"
IV: 2'43" 
ややくすんだような声質だが、なかなか美しい仕上がりになっている。歌謡性の強い曲の特徴を素直に押し出しているのが好ましい。なお、第3曲「愛している―愛していない」だけ半音高く歌われている
Z. Talanov (S), RSFSR Acadimic Russian Choir
時間不詳
混声四部合唱の伴奏による歌唱。ショスタコーヴィチの記録映画などで聴かれる有名な録音。ソプラノ独唱に際立った魅力はないものの、鋭く硬い声質はいかにもロシアの響き。録音が悪くて十分に聴き取ることはできないが、深く豊かな合唱も素晴らしい。ただ、独唱の技術上の問題なのだろうが、高音域のフレーズが変更されている(10小節)のは何とも残念。

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プーシキンの詩による4つのモノローグ 作品91

独唱者ピアノ録音年レーベル番号備考評価
BESEDIN, Askold (Br)YEDLINA, Lyubov1986Melodiya33D 022363-64LP
GLUBOKY, Piotr (B)RASSUDOVA, Natalia1994Saison RusseRUS 288 089
HOLL, Robert (B)BASHKIROVA, Elena2005CalliopeCAL 9382
KUZNETSOV, Fyodor (B)SEROV, Yuri2001DelosDE 3304
LAWRENCE, Helen (MS)ROLTON, Julian1999Beulah1-2RF5Nos. 3 and 4.
SELIVANOV, Viktor (Br)POPOVA, Lyubov
MelodiyaC10-10617-18LP, Nos. 2 and 4.
SLOWIOCZEK, Klemens (B)SKIGIN, Semjon1995DiscoverDICD 920259No. 1 Only.
VAVRUŠKA, Jaromír (B)POKORNÝ, Jiří1973panton11 0420 GLP, Nos. 2 and 4.
【オーケストラ伴奏(G. Rozhdestvensky編)】
独唱者指揮者オーケストラ録音年レーベル番号備考評価
SAFIULIN, Anatoli (B)ROZHDESTVENSKY, GennadiUSSR Ministry of Culture Symphony Orchestra1983MelodiyaA10 00043 004LP, BMG-74321 63461 2

A. Besedin (Br), L. Yedlina (Pf)
時間不詳
この作品の、澄み切った美しさと陰影に満ちた表情を見事に描き出した名演。独唱、伴奏ピアノ共に非凡なアンサンブルを聴かせてくれる。
P. Gluboky (B), N. Rassudova (Pf)
I: 6'02"
II: 3'13"
III: 3'03"
IV: 2'12" 
歌は立派な出来。しかし、残念ながらピアノに物足りなさが残る。結果として単調な仕上がりとなっている。
R. Holl (B), E. Bashkirova (Pf)
I: 7'22"
II: 1'50"
III: 3'33"
IV: 2'18" 
どこか人間的な温もりを感じさせるホルの歌唱スタイルが、作品とよく合っている。その優しい表情が、不遇の時期に、それでいてウストヴォーリスカヤに熱をあげていたりもした人間ショスタコーヴィチの一面を温かく描き出しているようにも聴こえる。
F. Kuznetsov (B), Y. Serov (Pf)
I: 5'49"
II: 2'26"
III: 3'00"
IV: 2'27" 
バランスのとれた好演。気負ったところがなく、非常に聴きやすい。
H. Lawrence (MS), J. Rolton (Pf)
I:  
II:  
III: 3'31"
IV: 1'44" 
それなりに味わい深くて楽しめる。いわゆるロシア色は薄いが、全体に漂う寛いだ渋みは悪くない。
V. Selivanov (Br), L. Popova (Pf)
時間不詳
甘く、それでいて格調の高い歌唱が立派。これといった決定盤が他にない作品だが、この演奏は決定盤と称するに値する。ただ、2曲のみの抜粋であることが非常に残念。
K. Slowioczek (B), S. Skigin (Pf)
I: 6'01"
II:  
III:  
IV:   
第1曲だけの演奏。やや単調に流れることと声質が明るいことに若干違和感があるものの、安定した仕上がりとなっている。
J. Vavruška (B), J. Pokorný (Pf)
時間不詳
旋律の美しさをごく自然に歌い上げた佳演。声質のせいもあるのだがろうが、過度に深刻ぶることなく等身大で作品の魅力を描き出している。
A. Safiulin (B), G. Rozhdestvensky/USSR Ministry of Culture Symphony Orchestra
I: 5'00"
II: 2'04"
III: 3'17"
IV: 2'08" 
ロジデーストヴェンスキイによる管弦楽用編曲。結構凝った編曲だが、曲の持ち味を殺すようなことはしていない。演奏は、あまり演奏の機会に恵まれないこの曲の真価を適正に伝えるもの。サフィウーリンの堂々たる歌唱には、しっかりと楽譜を読み込んだ確信のようなものが感じられる。

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E.ドルマトーフスキイの詩による5つの歌曲 作品98

独唱者ピアノ録音年レーベル番号備考評価
GHIUSELEV, Nicola (B)MOUSSEV, Theodor1986BalkantonBKA 11951LP, No. 3 only.
GIAUROV, Nikolai (B)
1961Melodiya33D 013513-14LP, Nos. 3 and 5.
GMYRYA, Boris (B)OSTRIN, Lev
MKND 03216-17LP, Melodiya-C10-10521-22(LP)
KUZNETSOV, Fyodor (B)SEROV, Yuri2001DelosDE 3304
OJA, Iris (MS)VIGNOLES, Roger2006harmonia mundi usaHMC 907449
PTUKHA, Oleg (B)KUSHNIR, Nadezhda1977Melodiya33 C 10-08921-2LP.
SUKHIN, Askold (B)TOLKACHEV, S.1968MelodiyaD 22725-2610" mono, No. 4 only.

N. Ghiuselev (B), T. Moussev (Pf)
時間不詳
どこか軽いテイストを感じさせるギウセレフの声と楽曲との相性が良く、万人受けする音楽に仕上がっている。
N. Giaurov (B), Unnamed (Pf)
時間不詳
豊かな美声を堪能できる。特に強弱が楽譜に忠実ではないが、それなりに劇的な仕上がりで退屈はさせない。
B. Gmyrya (B), L. Ostrin (Pf)
I: 2'15"
II: 2'19"
III: 3'30"
IV: 2'00"
V: 2'30" 
比較的自由なルバートがつけられた歌唱。好ましくないことは確かなのだが、この曲の通俗的な節回しから考えると、自然な解釈といえるかもしれない。名曲の名唱ではないが、演奏の機会に恵まれないこの曲をこのレベルの歌唱で耳にできることはありがたい。
F. Kuznetsov (B), Y. Serov (Pf)
I: 2'15"
II: 2'14"
III: 3'25"
IV: 2'05"
V: 2'16" 
ごく自然な仕上がり。耳を奪うような特徴はないが、それだけに作品の美しさを味わえるとも言える。
I. Oja (MS), R. Vignoles (Pf)
I: 2'27"
II: 2'37"
III: 3'05"
IV: 1'46"
V: 3'04" 
やや暗めの澄んだ声質が心地よく、一つ一つの言葉に丁寧に色をつけていくような歌い方がとても魅力的で、文句なしに素晴らしい。仄かに香るロシア情緒と、繊細で伸びやかな歌声とが、この作品の魅力を余すところなく伝えてくれる名演である。
O. Ptukha (B), N. Kushnir (Pf)
Total Time: 13'30" 
全体に速めのテンポ設定で、思わせぶりなわざとらしさのない、極めて流れの良い秀演。この作品がこんなにも甘く美しく、ロマンスとしての魅力を存分に持っていることを、素直な表現を通して明らかにしてくれる。
A. Sukhin (B), S. Tolkachev (Pf)
時間不詳
仄かな甘さを持った、伸びやかな歌唱が魅力的。素直な歌い方が、曲の持つ明るさを自然に表出していて好ましい。ピアノ伴奏はあまり存在感がない。

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スペインの歌 作品100

独唱者ピアノ録音年レーベル番号備考評価
ARKHIPOVA, Irina (MS)RASSUDOVA, Nataliya1977Melodiya33 C 10-07659-60LP, No. 2 only.
BORODINA, Olga (MS)SKIGIN, Semyon1995Philips446 708-2
EISEN, Artur (B)BOGDANOVA, A.1981OlympiaOCD 194Melodiya-MCD 008(No. 1 only.)
GOROKHOVSKAYA, Evgeniya (MS)GALOVNEVA, Irina1982Melodiya33 C10-18599-600LP
GRIGORIAN, Stella (MS)DEUTSCH, Helmut2008OehmsOC 719Nos. 1 & 2.
GRITSKOVA, Margarita (MS)PRINZ, Maria2019Naxos8.574031Nos. 1 & 2.
ISAKOVA, Nina (MS)BRUK, Yevgeniya1964MelodiyaC10-10527-06348LP
LUKONIN, Mikhail (Br)SEROV, Yuri1998René GaillyVTP CD92 041Delos-DE 3304
OJA, Iris (MS)VIGNOLES, Roger2006harmonia mundi usaHMC 907449
PLISHKA, Paul (B)HRYNKIW, Thomas1996DinemecDCCD 016
PTUKHA, Oleg (B)KUSHNIR, Nadezhda1977Melodiya33 C 10-08921-2LP, No. 3 only.
SLOBODSKAYA, Oda (S)NEWTON, Ivor
DeccaCEP 55007"45 rpm
VEDERNIKOV, Alexander (B)FEDSEYEV, Vladimir/All-Union Radio Folk Orchestra1975Melodiya33 C 20-05673-4LP, No. 3 only.
VEDERNIKOV, Alexander (B)VEDERNIKOV JR., Alexander1983MelodiyaC10 20867 002LP
MORGAUA QUARTET (Eiji Arai, Takashi Aoki, Hisashi Ono, Ryoichi Fujimori)1996EMITOCE-9306Arr. for String Quartet by Eiji Arai, No. 5 Only.

I. Arkhipova (MS), N. Rassudova (Pf)
時間不詳
太く暗い声質が、曲の雰囲気に非常によく合っている。模範的な演奏といえるだろう。第2曲しかないのが大変残念。
O. Borodina (MS), S. Skigin (Pf)
I: 2'59"
II: 2'01"
III: 3'33"
IV: 1'55"
V: 2'50"
VI: 2'01" 
気ままにテンポを揺らすのが気になるが、オリジナルの形でこの曲を聴ける意義は大きい。暗くて太い声質も曲想によくマッチしている。表現意欲に満ちた、美しい仕上がりである。
A. Eisen (B), A. Bogdanova (Pf)
I: 3'03"
II: 2'04"
III: 3'12"
IV: 2'13"
V: 2'25"
VI: 2'18" 
バスによる歌唱。第1、5曲を除いてキーを下げて演奏されている。声には衰えが感じられ、やや平坦な部分もあるが、静謐な表現が醸し出す暗くて美しい雰囲気が曲の魅力を十分に引き出している。
E. Gorokhovskaya (MS), I. Galovneva (Pf)
I: 2'40"
II: 2'05"
III: 3'20"
IV: 1'52"
V: 2'58"
VI: 2'00" 
声質がやや暗めなこともあるのか、音程が低めで輝かしさに欠ける地味な印象。第4曲「ロンダ」が彼女には相性が良く、全6曲中で最も楽しめた。歌詞に沿って踏み込んだ表現をしている箇所もあり、その丁寧な歌唱には好感が持てる。
S. Grigorian (MS), H. Deutsch (Pf)
I: 2'20"
II: 1'54"
III:

IV:

V:

VI:
 
育ちの良いお嬢さん、といった感じの可愛らしい歌唱が心地好い。グリゴリアンの可憐な歌は、確かにこじんまりとはしているものの、ごく自然な陰影の表出などが味わい深い。ドイチュの雄弁かつバランスを弁えたピアノも、この仕上がりに少なからず貢献している。
M. Gritskova (MS), M. Prinz (Pf)
I: 2'03"
II: 1'55"
III:

IV:

V:

VI:
 
手堅く生真面目な歌唱に好感が持てる。技術的にも非常に立派な仕上がりだが、ピアノ伴奏は物足りない。
N. Isakova (MS), Y. Bruk (Pf)
I: 4'00"
II: 2'20"
III: 3'58"
IV: 1'55"
V: 2'46"
VI: 2'16" 
張りのある典型的なロシアン・ソプラノで響きは素晴らしいのだが、大げさな音楽作りには若干違和感が残る。
M. Lukonin (Br), Y. Serov (Pf)
I: 3'40"
II: 2'02"
III: 3'33"
IV: 1'54"
V: 2'39"
VI: 2'11" 
これといった巧さは感じないが、甘い表現がなかなか魅力的。非常に聴きやすい演奏だといえよう。
I. Oja (MS), R. Vignoles (Pf)
I: 2'37"
II: 2'01"
III: 3'21"
IV: 1'57"
V: 2'56"
VI: 2'02" 
やや暗めの澄んだ声質が心地よく、一つ一つの言葉に丁寧に色をつけていくような歌い方がとても魅力的である。ただ、この作品に対して声質が少しばかり暗過ぎるようにも思え、歌唱にも若干の堅苦しさが感じられるのは惜しい。
P. Plishka (B), T. Hrynkiw (Pf)
I: 2'45"
II: 2'03"
III: 2'59"
IV: 2'58"
V: 2'35"
VI: 2'09" 
平凡な出来。技術的には無難だが、平坦な表現は退屈。
O. Ptukha (B), N. Kushnir (Pf)
I:  
II:  
III: 3'20"
IV:  
V:  
VI:   
甘い歌い回しが、いかにも曲にふさわしい。取り立てて注目するような凝った解釈等をしているわけではないが、声の魅力と素直な歌唱だけで十分に聴かせている。
O. Slobodskaya (S), I. Newton (Pf)
時間不詳
技術的な次元で聴き苦しい歌唱である。声質そのものは、さして魅力的ではないものの悪くもないといった感じだが、音程の悪さと歌い回しの不安定さが気になって、音楽を味わうに至らない。
A. Vedernikov (B), V. Fedseyev/All-Union Radio Folk Orchestra
時間不詳
民族楽器オーケストラによる珍しい編曲。若きヴェデールニコフによる名唱を期待してしまうところだが、残念なことにあまり冴えない。無論、典型的なロシアン・バスの魅力は十分に味わうことができる。
A. Vedernikov (B), A. Vedernikov Jr. (Pf)
I: 2'59"
II: 2'13"
III: 3'24"
IV: 2'14"
V: 3'37"
VI: 1'45" 
ヴェデールニコフの美声を十分に堪能することができる。やや粘着質な歌いまわし以外に特別な主張は感じられないが、自然な音楽の流れが逆に作品の良さを適正に伝えてくれる。過不足のない秀演といえよう。
Morgaua Quartet
I:  
II:  
III:  
IV:  
V: 2'57"
VI:   
基本的に原曲に忠実な編曲。和声の美しさをより堪能することができる。技術的には極めて平易なものとなっているので、演奏にこれといった不満はない。素敵なアンコール・ピースといった感じで聴けるだろう。

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S.チョールヌイの詩による5つの風刺 作品109

独唱者ピアノ録音年レーベル番号備考評価
EVTODIEVA, Victoria (S)SEROV, Yuri2002DelosDE 3313
GRITSKOVA, Margarita (MS)PRINZ, Maria2019Naxos8.574031Nos. 2 & 4.
KASRASHVILI, Makvala (S)MOGILEVSKAYA, Liya1979MelodiyaC 10-15501-2LP
KOZENÁ, Magdalena (MS)MARTINEAU, Malcom2003DGUCCG-1194
RODGERS, Joan (S)VIGNOLES, Roger2003HyperionCDA67355
SMIRNOVA, Nadja (S)SCHOONDERWOERD, Arthur2003AlphaALPHA 055
SULCOVÁ, Brigita (S)ZICHOVÁ, Zorka1976PragaPR 250 009
VASSILIEVA, Elena (S)SCHAB, Jacques1989Le Chant du MondeLDC 278 972/73
VISHNEVSKAYA, Galina (S)ROSTROPOVICH, Mstislav1967BMG-Melodiya74321 53237 2Live (23 Oct.), Revelation-RV10087, Yedang-YCC-0037
VISHNEVSKAYA, Galina (S)ROSTROPOVICH, Mstislav1974EMI7243 5 65716 2 4
【オーケストラ伴奏(B. Tishchenko編)】
独唱者指揮者オーケストラ録音年レーベル番号備考評価
BOGACHEVA, Irina (MS)ROZHDESTVENSKY, GennadiUSSR Ministry of Culture Symphony Orchestra1984MelodiyaMCD 008No. 1 and 5Melodiya-C10 22267 009(LP)
MCD 143No. 2, 3, and 4
LEIFERKUS, Sergei (Br)SANDERLING, ThomasRussian Philharmonic Orchestra2005DG00289 477 6111

V. Evtodieva (S), Y. Serov (Pf)
I: 1'28"
II: 2'48"
III: 2'12"
IV: 5'11"
V: 4'14" 
時に消極的な伴奏を聴かせるセーロフも、ここでは刺激的なまでに意欲に満ちた表現を披露している。エフトディエヴァの歌唱も堂々としたもの。名演。
M. Gritskova (MS), M. Prinz (Pf)
I:

II: 2'47"
III:

IV: 4'35"
V:
 
手堅く生真面目な歌唱に好感が持てるが、真面目に過ぎて少々退屈する。これは、単なる伴奏と割り切ってもまだ、かなり物足りないピアノにも少なくない責任があるだろう。
M. Kasrashvili (S), L. Mogilevskaya (Pf)
I: 1'06"
II: 2'45"
III: 4'10"
IV: 5'41"
V: 5'40" 
カスラシヴィリの鋭く張りのある、太い声質が大変魅力的。ピアノも無難なサポートぶりを聴かせている。しかし、解釈があまりに生真面目すぎるのが、この作品の内容を考えると残念。ゆったりしたテンポも、作品本来の持つ鋭さを鈍らせている。
M. Kozená (MS), M. Martineau (Pf)
I: 1'14"
II: 2'24"
III: 2'12"
IV: 5'09"
V: 3'44" 
伸びやかで美しい声と、素直でありながら作品の皮肉な雰囲気をよく捉えた音楽が素晴らしい。この作品に対しては少々甘美すぎるような気もするが、それはあくまでも趣味の問題。ピアノ伴奏は雄弁とまでは言えないが、十分に音楽に貢献している。
J. Rodgers (S), R. Vignoles (Pf)
I: 1'10"
II: 2'44"
III: 2'39"
IV: 5'08"
V: 3'49" 
彼女の甘く美しい声質とこの作品とはミスマッチのようにも思えたが、実際に聴いてみるとこういう可憐な歌唱もなかなかどうして悪くない。
N. Smirnova (S), A. Schoonderwoerd (Pf)
I: 1'13"
II: 2'50"
III: 2'25"
IV: 4'44"
V: 3'47" 
過度にシニカルになることはなく、むしろ後期作品に特有な、どこか退廃の影すら感じさせる不健全な美しさが、上品に表出されている。まろやかな声質ながらも鋭さを失うことなく、この歌曲の魅力を適切かつ自然に表出している。
B. Sulcová (S), Z. Zichová (Pf)
I: 1'14"
II: 2'45"
III: 2'55"
IV: 4'42"
V: 3'54" 
ロシア語の発音にやや癖があるが、独唱はなかなかの出来。曲の皮肉な側面を強調せずに、純粋に歌としての美しさを前面に押し出した歌唱。ただ、ピアノ伴奏は極めて物足りない。
E. Vassilieva (S), J. Schab (Pf)
I: 1'13"
II: 2'36"
III: 2'20"
IV: 5'11"
V: 4'08" 
ロシア語の発音が全くダメで、ショスタコーヴィチの歌曲の大きな特徴の一つが完全に殺されてしまっている。表現も“諷刺”とは程遠い変に生真面目なもので、この曲の魅力は感じられない。
G. Vishnevskaya (S), M. Rostropovich (Pf)
I: 1'01"
II: 2'29"
III: 2'20"
IV: 4'41"
V: 3'42" 
勢いに満ちた、壮絶な歌唱。ショスタコーヴィチの音楽に込められた皮肉という側面を、非常に適切な形で再現している。
G. Vishnevskaya (S), M. Rostropovich (Pf)
I: 1'18"
II: 2'40"
III: 2'27"
IV: 4'57"
V: 3'51" 
旧盤より一層大きなスケールを持った名演。あたかもこの瞬間に作曲されているかのような音楽の奔流を感じさせる。聴いた後に残る圧倒感は凄まじく、間違いなくこの曲の最高の演奏だろう。録音も良い。
I. Bogacheva (MS), G. Rozhdestvensky/USSR Ministry of Culture Symphony Orchestra
I: 1'15"
II: 2'52"
III: 3'36"
IV: 5'03"
V: 3'51" 
ショスタコーヴィチの弟子ティーシチェンコによるオーケストレイション。ショスタコーヴィチとは大分異なった響きもするが、面白い。ボガチェーヴァのやや暗めで鋭い声質が曲の雰囲気にもよく合っている。全体に堂々とした立派な仕上がりで、そこに違和感を感じなくもないが。
S. Leiferkus (Br), T. Sanderling/Russian Philharmonic Orchestra
I: 1'31"
II: 3'01"
III: 3'06"
IV: 4'53"
V: 4'52" 
レイフェルクスの声質がミスマッチ。耳障りなくらいに鋭い女声が、この曲には相応しい。オーケストラは華麗な響きで、編曲の意図を十分に再現している。

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雑誌「クロコディール」の詩による5つの歌曲 作品121

独唱者ピアノ録音年レーベル番号備考評価
GLUBOKY, Piotr (B)RASSUDOVA, Natalia1994Saison RusseRUS 288 089
KUZNETSOV, Fyodor (B)SEROV, Yuri1998René GaillyVTP CD92 041Delos-DE 3307
MIGUNOV, Petr (B)SCHOONDERWOERD, Arthur2003AlphaALPHA 055
NESTERENKO, Evgeni (B)SHENDEROVICH, Evgeni1976VictorVICC-40082/83Melodiya-C10-09225-26(LP)
【オーケストラ伴奏】
独唱者指揮者オーケストラ録音年レーベル番号備考評価
LEIFERKUS, Sergei (Br)SANDERLING, ThomasRussian Philharmonic Orchestra2005DG00289 477 6111Arr. by Boris Tishchenko.
MOCHALOV, Alexei (B)LEVIN, AnatolyOrchestra of the Moscow Chamber Music Theatre1995Triton17 008No. 3 & 1

P. Gluboky (B), N. Rassudova (Pf)
I: 4'54"
II: 1'42"
III: 1'21"
IV: 1'31"
V: 2'08" 
響きは良いのだが、もったいぶったテンポが曲の鋭い風刺的な内容を損なっている。考え過ぎの演奏。
F. Kuznetsov (B), Y. Serov (Pf)
I: 3'32"
II: 1'10"
III: 1'26"
IV: 1'19"
V: 1'36" 
ピアノの表情付けにやや嫌味が感じられるが、歌は素晴らしい。歌詞の内容をよく表わした滑稽な歌い回しも、楽譜に忠実な歌唱で実現されているのが大変好ましい。
P. Migunov (B), A. Schoonderwoerd (Pf)
I: 4'30"
II: 1'17"
III: 1'17"
IV: 1'27"
V: 2'08" 
過度にシニカルになることはなく、むしろ後期作品に特有な、どこか退廃の影すら感じさせる不健全な美しさが、上品に表出されている。まろやかな声質ながらも鋭さを失うことなく、演奏頻度のそう高くないこの歌曲の魅力を適切かつ自然に表出している。
E. Nesterenko (B), E. Shenderovich (Pf)
I: 4'17"
II: 1'10"
III: 1'13"
IV: 1'17"
V: 1'30" 
第3、4、1、2、5曲の順番で歌われているが、理由は分からない。演奏自体は申し分のない名演。楽譜に忠実に演奏しながらも豊かな表情と格調の高さを醸し出している。曲の風刺的性格の表出にも不足していない。
S. Leiferkus (Br), T. Sanderling/Russian Philharmonic Orchestra
I: 4'06"
II: 1'19"
III: 1'12"
IV: 1'22"
V: 1'49" 
ティーシチェンコによる編曲は、原曲の雰囲気に近いもの。レイフェルクスの歌唱も、鋭さよりは甘さを感じさせるとはいえ、素晴らしく洗練されたもので、オーケストラとのバランスも良い。
A. Mochalov (B), A. Levin/Orchestra of the Moscow Chamber Music Theatre
I: 4'10"
II:  
III: 1'10"
IV:  
V:   
珍しいオーケストラ伴奏による演奏(編曲者は表記されていない)だが、演奏自体は平凡なもの。声色の変化も素人くさい。

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自作全集への序文とその序文に関する考察 作品123

独唱者ピアノ録音年レーベル番号備考評価
GRITSKOVA, Margarita (MS)PRINZ, Maria2019Naxos8.574031
KUZNETSOV, Fyodor (B)SEROV, Yuri2001DelosDE 3307
MIGUNOV, Petr (B)SCHOONDERWOERD, Arthur2003AlphaALPHA 055
NESTERENKO, Evgeni (B)SHENDEROVICH, Evgeni1976VictorVICC-40082/83Melodiya-C10-09225-26(LP)
【オーケストラ伴奏(L. Desyatnikov編)】
独唱者指揮者合唱オーケストラ録音年レーベル番号備考評価
LEIFERKUS, Sergei (Br)SANDERLING, ThomasMen of Moscow State Chamber ChoirRussian Philharmonic Orchestra2005DG00289 477 6111

M. Gritskova (MS), M. Prinz (Pf)
2'17"
手堅く生真面目な歌唱に好感が持てるが、真面目に過ぎて少々退屈する。これは、単なる伴奏と割り切ってもまだ、かなり物足りないピアノにも少なくない責任があるだろう。
F. Kuznetsov (B), Y. Serov (Pf)
2'52"
作品の美しさ自体は十分に感じられるものの、やや過剰な表現付けが煩わしい。
P. Migunov (B), A. Schoonderwoerd (Pf)
2'14"
過度にシニカルになることはなく、むしろ後期作品に特有な、どこか退廃の影すら感じさせる不健全な美しさが、上品に表出されている。まろやかな声質ながらも鋭さを失うことなく、演奏頻度のそう高くないこの歌曲の魅力を適切かつ自然に表出している。
E. Nesterenko (B), E. Shenderovich (Pf)
2'14"
おそらく作曲者が望んでいたであろう理想的な声質と、高い技術に基づいた正確な読譜が素晴らしい結果を生み出している。歌詞にこめられた複雑な感情が、何ともいえない美しさとともに表出されている。
S. Leiferkus (Br), T. Sanderling/Russian Philharmonic Orchestra
2'32"
デジャトニコフによる編曲は合唱まで付加した意欲的なものだが、この作品が持つ独特の美しさが強調されていて面白い。レイフェルクスの格調高く美しい声質も相応しい。

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A.ブロークの詩による7つの歌曲 作品127

独唱者共演者録音年レーベル番号備考評価
ABLABERDYEVA, Alla (S)Münchner Klaviertrio (Ilona Then-Bergh (Vn), Gerhard Zank (Vc), Michael Schäfer (Pf))
MD+GL 3334
ABLABERDYEVA, Alla (S)Münchner Klaviertrio (Rudolf J. Koeckert (Vn), Gerhard Zank (Vc), Hermann Lechler (Pf))1999OrfeoC 465 991 A
ASZÓDI, Mária (S)Bartos Trio (Galina Danilova (Vn), Csaba Bartos (Vc), Irina Ivanickaia (Pf))1997HungarotonHCD 31780
BARKMIN, Gun-Brit (S)Zürcher Klaviertrio (Gabriel Adorján (Vn), Joël Marosi (Vc), Christiane Frucht (Pf))2005Claves50-2605
BERNTSEN, Anne-Lise (S)Terje Tønnesen (Vn), Aage Kvalbein (Vc), Einar Henning Smebye (Pf)1987VictoriaVCD 19017
CSAPÓ, Eva (S)Hans Maile (Vn), René Forest (Vc), Horst Göbel (Pf)1984Thorofon CapellaMTH 267LP, Sung in German.
DELMAN, Jacqueline (S)Emil Dekov (Vn), Åke Olofsson (Vc), Lucia Negro (Pf)1975BISBIS-CD-26BIS-LP-37(LP)
EVTODIEVA, Victoria (S)Lidiya Kovalenko (Vn), Irina Molokina (Vc), Yuri Serov (Pf)1998René GaillyVTP CD92 041Delos-DE 3307
GERASSIMOVA, Natalia (S)Moscow Trio (Vladimir Ivanov (Vn), Mikhail Utkin (Vc), Alexander Bonduriansky (Pf))1993Saison RusseRUS 288 088
GREKOVA, Evgenia (S)Petr Maceček (Vn), Petr Prause (Vc), Yakov Kasman (Pf)2006CalliopeCAL 9370
KABAIVANSKA, Raina (S)Grazia Raimondi (Vn), Vincenzo Taroni (Vc), Arnold Bosman (Pf)1998fonè98 F 31 CD
KIM, Young-Hee (S)LOM Piano Trio (Joan Orpella (Vn), José Mor (Vc), Daniel Ligorio (Pf))2007Columna Música1CM0180
KORPACHEVA, Julia (S)Trio di Parma (Ivan Rabaglia (Vn), Enrico Bronzi (Vc), Alberto Miodini (Pf))2005stradivariusSTR 33706
MAIDACHEVSKAYA, Mariya (S)Arkadi Vinokurov (Vn), Mariya Chaikovskaya (Vc), Yevgeni Rzhanov (Pf)1977Melodiya33 C10-09683-84LP
MELNYCHENKO, Tatyana (S)Natalia Prischepenko (Vn), Sebastian Klinger (Vc), Plamena Mangova (Pf)2006Fuga LiberaFUG525
MIROSHNIKOVA, Margarita (S)Andrei Korsakov (Vn), Viktor Simon (Vc), Iolanta Miroshnikova (Pf)1975Melodiya33 C 10-06347-8LP, Melodiya-C10-10527-06348(LP)
NAEF, Yvonne (MS)Juliette Kang (Vn), Hai-Ye Ni (Vc), Christoph Eschenbach (Pf)2007OndineODE 1109-5SACD, Live(May)
PAVLOVSKI, Nina (S)Esbjerg Ensemble (Niels Christian Øllgaard (Vn), Dorothea Wolff (Vc), Ulrich Stærk (Pf))1998ClassicoCLASSCD 273
PELLE, Nadia (S)Borodin Trio (Rostislav Dubinsky (Vn), Yuli Turovsky (Vc), Luba Edlina (Pf))1990ChandosCHAN 8924
PISARENKO, Galina (S)Oleg Kagan (Vn), Dmitri Fershtman (Vc), Elizaveta Leonskaya (Pf)1975VictorVICC-40082/83Melodiya-33 C 10-06875-76(LP), Melodiya-33 C 70-14549-58(LP, No. 3 only.)
PRACHT, Mary Ellen (S)Nieuw Amsterdam Trio (John Pintavalle (Vn), Heinrich Joachim (Vc), Edith Mocsanyi (Pf))1970TurnaboutTV-S 34280LP
RODGERS, Joan (S)Bekova Sisters (Elvira Bekova (Vn), Alfia Bekova (Vc), Eleonora Bekova (Pf))1996ChandosCHAN 9526(2)
RODGERS, Joan (S)Beaux Arts Trio (Daniel Hope (Vn), Antonio Meneses (Vc), Menahem Pressler (Pf))2005Warner2564 62514-2
SHABANINA, Nadejda (S)Alla Aranovskaya (Vn), Leonid Shukayev (Vc), Kevin Fitz-Gerald (Pf)2001Arizona Friends of Chamber MusicNo NumberLive(Mar.)
SHERESHEVSKAYA, Victoria (MS)Alexandra Soumm (Vn), Yan Levionnois (Vc), Rémi Geniet (Pf)2022KlartheKLA154
SMIRNOVA, Nadja (S)Graf Mourja (Vn), Marie Hallynck (Vc), Arthur Schoonderwoerd (Pf)2003AlphaALPHA 055
SODERSTROM, Elisabeth (S)Christopher Rowland (Vn), Iaon Davis (Vc), Vladimir Ashkenazy (Pf)1983LondonF35L-50441London-POCL-2356
SOLDH, Anita (S)Stockholm Arts Trio (Dan Almgren (Vn), Thorleif Thedéen (Vc), Stefan Bojsten (Pf))1995Naxos8.553297
SULCOVÁ, Brigita (S)Emil Leichner Jr (Vn), Antonín Duda (Vc), Emil Leichner (Pf)1970PragaPR 250 009
SULCOVÁ, Brigita (S)Dvorák Piano Trio (Frantisek Pospísil (Vn), Jaroslav Chovanec (Vc), Radoslav Kvapil (Pf))1972Panton11 0342-3LP, Sung in Czech.
VISHNEVSKAYA, Galina (S)David Oistrakh (Vn), Mstislav Rostropovich (Vc), Moisei Vainberg (Pf)1967BMG-Melodiya74321 53237 2Live (23 Oct.), Revelation-RV10101, Melodiya-MEL CD 10 02555 (Stated on 28 Oct.), Moscow State Conservatoire-SMC CD 0079/80 (7th mov. only. Stated on 20 Oct.)
VISHNEVSKAYA, Galina (S)Emanuel Hurwitz (Vn), Mstislav Rostropovich (Vc), Benjamin Britten (Pf)1968Decca466 823-2Live (24 June)
VISHNEVSKAYA, Galina (S)Oleg Kagan (Vn), Mstislav Rostropovich (Vc), Lia Mogilevskaya (Pf)1973Russian DiscRD CD 11 003Live (17 Jan.)
VISHNEVSKAYA, Galina (S)Ulf Hoelscher (Vn), Mstislav Rostropovich (Vc), Vasso Devetzi (Pf)1974EMI7243 5 65716 2 4
VITAS, Miomira (S)Ars Trio di Roma (Marco Fiorentini (Vn), Michele Chiapperino (Vc), Laura Pietrocini (Pf))2006AmadeusAM 201-2
WILLEMSTIJN, Tannie (S)Guarneri Trio (Mark Lubotsky (Vn), Jean Decroos (Vc), Danièle Dechenne (Pf))1985OttavoOTR 58504LP
YURENEVA, Nadezhda (S)Boris Gutnikov (Vn), A. Nikitin (Vc), M. Karandashova (Pf)1969Melodiya33D 025887-88LP

A. Ablaberdyeva (S), Münchner Klaviertrio
I: 2'54"
II: 3'40"
III: 3'24"
IV: 3'01"
V: 2'26"
VI: 4'48"
VII: 5'26" 
鼻唄のような軽い歌い回しが良くない。器楽は水準に達した演奏だと思うが、肝心の歌が曲の雰囲気を全く誤解している。それなりに美しさは感じられるものの、この曲はもっと高貴で近寄りがたい音楽のはずだ。
A. Ablaberdyeva (S), Münchner Klaviertrio
I: 3'11"
II: 3'16"
III: 3'24"
IV: 3'07"
V: 2'29"
VI: 4'57"
VII: 5'22" 
堅実な仕上がりではあるが、表現力のない単調な響きに終始する。作品本来の鋭い美しさが全く表出されていない。
M. Aszódi (S), Bartos Trio
I: 2'40"
II: 3'18"
III: 2'55"
IV: 3'18"
V: 2'05"
VI: 4'47"
VII: 4'58" 
アンサンブルはよくまとまっている。が、器楽に若干荒さが見えることと、歌手の声質がやや軟派なところが曲想にマッチしていない。曲の雰囲気を十分に表出しているとまでは言い難い。
G.-B. Barkmin (S), Zürcher Klaviertrio
I: 2'46"
II: 3'25"
III: 3'02"
IV: 2'55"
V: 2'14"
VI: 4'27"
VII: 5'38" 
器楽は、凝縮への志向が強いこの作品の特徴をしっかりと捉えている。しかし、バークミンの歌が外面的で、室内楽的な観点からは散漫な仕上がりになってしまったのが惜しい。
A.-L. Berntsen (S), T. Tønnesen (Vn), A. Kvalbein (Vc), and E. H. Smebye (Pf)
I: 2'40"
II: 4'03"
III: 2'57"
IV: 3'19"
V: 2'08"
VI: 4'38"
VII: 5'28" 
今一つ垢抜けない演奏。ベルントセンは張りのある高音域は美しいものの、中低音域にクセが強くてあまり感心できない。バックは無難にまとめているが、テンネセンのヴァイオリンはやや雑か。緊張感はそこそこ表出できているが、この曲の持つ個性的な美しさまでは表現しきれていない。
E. Csapó (S), H. Maile (Vn), R. Forest (Vc), and H. Göbel (Pf)
I: 2'23"
II: 3'35"
III: 2'58"
IV: 3'20"
V - VII: 12'33" 
ドイツ語による歌唱。チャポの線の細い声質が手堅い器楽合奏とよく溶け合い、静謐な美しさを醸し出している。ただ、音楽のスケールはいかにも小さいのが残念。
J. Delman (S), E. Dekov (Vn), Å. Olofsson (Vc), and L. Negro (Pf)
I: 2'52"
II: 3'38"
III: 3'06"
IV: 2'57"
V: 2'02"
VI: 4'46"
VII: 5'49" 
歌手の声質が悪い。どこか弛緩した、下品とすらいえるような声色は、全体としてごく標準的な解釈であるにもかかわらず、演奏の印象を非常に悪いものにしている。器楽はごく平均的なものだが、あえてこの演奏を取るほどの魅力はない。
V. Evtodieva (S), L. Kovalenko (Vn), I. Molokina (Vc), and Y. Serov (Pf)
I: 3'06"
II: 3'41"
III: 2'54"
IV: 3'07"
V: 2'18"
VI: 5'01"
VII: 4'56" 
優れた仕上がり。特に独唱は曲の美しさを十分に再現している。一方器楽の方は若干物足りないものの、雰囲気をよく捉えて健闘している。
N. Gerassimova (S), Moscow Trio
I: 3'10"
II: 4'20"
III: 3'30"
IV: 3'40"
V: 2'20"
VI: 5'20"
VII: 6'40" 
歌手に若干の癖があるので好みは分かれるだろうが、すみずみまで気配りの行き届いた美演。線の太い器楽の音色もなかなか素敵。曲の美しさを堪能することができる。
E. Grekova (S), P. Maceček (Vn), P. Prause (Vc), Y. Kasman (Pf)
I: 2'57"
II: 2'48"
III: 3'16"
IV: 2'24"
V: 2'08"
VI: 3'56"
VII: 5'05" 
ピアノに比べるとヴァイオリンとチェロが少し物足りなくはあるが、ごく自然な音楽の流れが好ましい。これと言った特徴はないが、その分、ショスタコーヴィチの音楽世界に浸ることができる。歌も含めたバランスが非常に良く、地味ながらも優れた演奏である。
R. Kabaivanska (S), G. Raimondi (Vn), V. Taroni (Vc), A. Bosman (Pf)
I: 3'00"
II: 4'08"
III: 3'08"
IV: 3'07"
V: 2'01"
VI: 5'16"
VII: 5'34" 
不明瞭な発音とヒステリックな声でただただわめきちらしているようにしか感じられない。器楽は無難にまとめているものの、全体に焦点のぼやけた演奏。
Y.-H. Kim (S), LOM Piano Trio
I: 3'08"
II: 3'48"
III: 2'47"
IV: 3'28"
V: 2'06"
VI: 4'29"
VII: 4'48" 
一本調子なところはあるものの、十分に彫琢された音楽となっており、安心して聴き通すことができる。キムの歌が絶叫一辺倒で音楽の振幅が小さいのが惜しい。
J. Korpacheva (S), Trio di Parma
I: 2'49"
II: 3'51"
III: 3'00"
IV: 2'56"
V: 2'14"
VI: 4'17"
VII: 5'16" 
ロシア臭がほとんど感じられない、こぢんまりとした音楽である。特筆するほどの美音ではないながらも、隅々まで丁寧な目配りの届いた演奏なので、聴き易いと感じる向きもあるだろう。響きにおいても表現においても鋭さは後退しているため、結果として作品の叙情性がより強調されている。
M. Maidachevskaya (S), A. Vinokurov (Vn), M. Chaikovskaya (Vc), Y. Rzhanov (Pf)
時間不詳
独唱、器楽共に線が細く、その神経質な響きに若干抵抗を感じなくもないが、雰囲気はよく表出されている。テンポ等の解釈もごく適切なもので、安心して聴くことができる。
T. Melnychenko (S), N. Prischepenko (Vn), S. Klinger (Vc), P. Mangova (Pf)
I: 2'51"
II: 4'00"
III: 2'55"
IV: 3'25"
V: 2'04"
VI: 5'05"
VII: 5'33" 
音楽的にも技術的にも極めて高い水準のアンサンブルである。端正な造形と精緻で音楽的な処理の積み重ねの上に、楽曲の雰囲気が的確に描出されている。あらゆる点において模範的な演奏と言ってよい。
M. Miroshnikova (S), A. Korsakov (Vn), V. Simon (Vc), I. Miroshnikova (Pf)
I: 3'05"
II: 3'27"
III: 2'36"
IV: 3'08"
V〜VII: 11'59" 
ミロシニコーヴァの硬質で鋭い歌声がなかなか美しい。解釈も適正なものだが、器楽の表現にあまり幅がなく物足りなさが残る。全体に小さくまとまった印象。
Y. Naef (MS), J. Kang (Vn), H.-Y. Ni (Vc), C. Eschenbach (Pf)
I: 3'01"
II: 3'47"
III: 3'22"
IV: 3'05"
V: 2'06"
VI: 4'40"
VII: 5'36" 
胃が痛くなるような凝集型のアンサンブルではなく、響きの美しさを前面に押し出した開放型のアンサンブルである。華やかな演奏である。
N. Pavlovski (S), Esbjerg Ensemble
I: 2'59"
II: 3'35"
III: 3'00"
IV: 3'27"
V: 1'58"
VI: 4'59"
VII: 5'51" 
非常に攻撃的な音楽。こういう鋭さは、この曲には不似合なように感じられる。技術的には安定したものを持っているだけに、惜しい。
N. Pelle (S), Borodin Trio
I: 3'12"
II: 3'29"
III: 3'11"
IV: 3'20"
V: 2'18"
VI: 4'45"
VII: 5'47" 
雰囲気のある演奏だが、全体に物足りなさが残る。鋭いだけで色気のあまり感じられないソプラノの声質と、大人しすぎる器楽がその最大の理由だろう。和声の美しさは十分に感じられるが、張り詰めた精神の厳しい美しさまでは聴き取れない。
G. Pisarenko (S), O. Kagan (Vn), D. Fershtman (Vc), and E. Leonskaya (Pf)
I: 2'50"
II: 3'54"
III: 2'48"
IV: 3'19"
V: 1'54"
VI: 5'17"
VII: 5'34" 
非常に澄みきった冷たさを感じさせる、素晴らしい演奏。ロシアのソプラノに典型的なキツめの声質が曲とよく合っている。器楽も卓越した技術と、どこか若々しい爽やかさをもって歌をもり立てている。張り詰めた緊張感と静謐な美しさが際立つ名演。
M. E. Pracht (S), Nieuw Amsterdam Trio
I: 2'36"
II: 2'22"
III: 4'44"
IV: 3'11"
V〜VII: 12'33" 
譜面上の薄さが幸いしてか、まとまっているように聴こえなくもないが、貧相な響きにがっかりすることに変わりはない。歌も器楽も鋭く突き刺さるような力強さが欠如しているため、この作品の内容や魅力はほんのわずかしか引き出せていない。名盤に恵まれている作品だけに、わざわざ探してまで聴くような音盤ではないだろう。
J. Rodgers (S), Bekova Sisters
I: 3'10"
II: 4'14"
III: 3'41"
IV: 3'16"
V: 3'11"
VI: 5'20"
VII: 6'16" 
非常に美しい歌唱。透徹した鋭さとは違う方向から、この曲の持つ官能的な美しさを明らかにしている。器楽も手堅く安定した出来で、静寂につつまれた緊張感を適切に表出している。
J. Rodgers (S), Beaux Arts Trio
I: 2'45"
II: 3'37"
III: 3'08"
IV: 3'11"
V: 2'13"
VI: 5'08"
VII: 5'15" 
音色に艶があまり感じられず、音楽そのものは充実しているものの、乾いた響きのせいか全体の印象としてはやや平板になってしまっているのが惜しい。ソプラノのロジャースは、ベコヴァ・シスターズとの共演盤では美しさが際立っていたが、本盤ではそれほどの冴えが感じられない。
N. Shabanina (S), A. Aranovskaya (Vn), L. Shukayev (Vc), and K. Fitz-Gerald (Pf)
I: 3'10"
II: 4'02"
III: 3'16"
IV: 3'25"
V: 2'10"
VI: 5'02"
VII: 5'43" 
歌手の水準が低すぎて楽曲を味わうには至らない。緊張しているのか、ヴィヴラートとは異なるようにしか聞こえない声の震えが何とも耳障り。ピアノは表現の幅が狭くて単調で、弦楽器もあまり冴えない。ちなみに、VnとVcは、共にサンクト・ペテルブルグQのメンバー。
V. Shereshevskaya (MS), A. Soumm (Vn), Y. Levionnois (Vc), R. Geniet (Pf)
I: 3'00"
II: 4'01"
III: 2'58"
IV: 3'32"
V: 1'58"
VI: 4'39"
VII: 5'48" 
歌にも器楽にもさらなる艶を求めたいところではあるが、キレのあるアンサンブルには若々しい魅力がある。意欲的な踏み込んだ表現が随所に聴かれるが、些か激し過ぎる感は否めない。
N. Smirnova (S), G. Mourja (Vn), M. Hallynck (Vc), A. Schoonderwoerd (Pf)
I: 2'42"
II: 3'35"
III: 2'55"
IV: 3'05"
V: 1'54"
VI: 4'44"
VII: 4'44" 
過度にシニカルになることはなく、むしろ後期作品に特有な、どこか退廃の影すら感じさせる不健全な美しさが、上品に表出されている。まろやかな声質ながらも鋭さを失うことなく、この歌曲の魅力を適切かつ自然に表出している。
E. Soderstrom (S), C. Rowland (Vn), I. Davis (Vc), and V. Ashkenazy (Pf)
I: 2'46"
II: 3'31"
III: 3'08"
IV: 3'16"
V: 2'02"
VI: 4'16"
VII: 4'41" 
しっとりとした美しさに満ちた名演。張りのある声で緊張感のある響きを持ったゼーダーストレームの歌唱が素晴らしいが、やや地味ながらも曲想を丁寧に描き出す器楽が歌を一層引き立てている。ツボをよく押えた、安心できる演奏。
A. Soldh (S), Stockholm Arts Trio
I: 3'15"
II: 3'46"
III: 3'19"
IV: 3'10"
V: 2'03"
VI: 5'04"
VII: 5'31" 
器楽の線の細さが良い方向に作用して、静謐感に満ちた佳演に仕上がっている。ソルドの歌唱は、緊張感のある豊かな響きが素晴らしい。不思議な優しさに満ちた雰囲気が大変好ましい。
B. Sulcová (S), E. Leichner Jr (Vn), A. Duda (Vc), and E. Leichner (Pf)
I: 2'48"
II: 4'25"
III: 2'50"
IV: 3'18"
V: 2'08"
VI: 6'22"
VII: 2'35" 
地味だが、非常に美しい演奏。自然で素朴な音楽の流れが心地好い。特に歌手は立派な出来で、声の美しさも豊かな表現力も共に申し分ない。一方、器楽にはやや力量不足の感が否めないのが惜しい。
B. Sulcová (S), Dvorák Piano Trio
時間不詳
チェコ語の歌詞に若干の違和感を覚えるものの、優しい響きとまとまりのあるアンサンブルが光る好演。しみじみとした味わい深さもなかなか。器楽がこじんまりとして力強さにかけるのが残念。
G. Vishnevskaya (S), D. Oistrakh (Vn), M. Rostropovich (Vc), and M. Vainberg (Pf)
I: 2'40"
II: 3'12"
III: 2'47"
IV: 2'37"
V: 1'53"
VI: 4'33"
VII: 5'40" 
初演時のライヴ録音。超豪華メンバーによる演奏だが、その名に恥じない格調高い名演である。高い技術で尋常ならざる緊張感を見事に表現しているのが素晴らしい。
G. Vishnevskaya (S), E. Hurwitz (Vn), M. Rostropovich (Vc), and B. Britten (Pf)
I: 3'02"
II: 3'48"
III: 2'45"
IV: 3'11"
V: 1'51"
VI: 5'02"
VII: 5'33" 
実に美しい演奏。歌、器楽共に非の打ち所がない。絶好調のヴィシネーフスカヤの張りのある美声と、スケール大きなロストポーヴィチのチェロに加え、美しい音と極めて音楽的なサポートを聴かせるブリテンのピアノが非常に魅力的。イギリス室内管のコンサートマスターであるハーヴィッツも、大物達を相手に全く臆することなく伸び伸びとした歌を聴かせていて素晴らしい。この曲のスタンダードといって全く問題のない名演。
G. Vishnevskaya (S), O. Kagan (Vn), M. Rostropovich (Vc), and L. Mogilevskaya (Pf)
I: 2'50"
II: 3'21"
III: 2'40"
IV: 3'02"
V: 1'52"
VI: 5'18"
VII: 6'01" 
全体の響きは立派なものであるが、演奏自体は絶好調とは言い難い。第2曲でヴィシネーフスカヤが入りを間違えているのをはじめ、アンサンブルに若干の乱れがある。しかしながら曲に対する理解はさすがで、全員が深い共感を抱きながら真摯に演奏に取り組んでいる様子が窺える。
G. Vishnevskaya (S), U. Hoelscher (Vn), M. Rostropovich (Vc), and V. Devetzi (Pf)
I: 2'46"
II & III: 6'37"
IV: 2'36"
V: 1'53"
VI: 4'33"
VII: 5'40" 
ヴィシネーフスカヤとロストロポーヴィチは、大変素晴らしい。安定した技術と極めて美しい音色が耳に残る。微妙な節回しに、曲に対する深い理解が伺える。初演時よりも確実に曲が自分のものになっている印象が強い。残念なのはヴァイオリン。解釈云々以前に、技術的な問題が大きい。確かにオーイストラフと比較するのは酷だとも思うが。
M. Vitas (S), Ars Trio di Roma
I: 2'43"
II: 3'51"
III: 3'10"
IV: 2'48"
V: 2'12"
VI: 4'38"
VII: 4'43" 
室内楽的なまとまりの良さと清潔な響きで奏でられる音楽には大上段に構えた気負いはなく、自然体の美しさに好感が持てる。ヴィタスの声質もこのアンサンブルによくマッチしている。ただ、いささか上品に過ぎて物足りなさも残る。
T. Willemstijn (S), Guarneri Trio
I: 2'45"
II: 4'07"
III: 3'06"
IV: 3'41"
V: 2'00"
VI: 4'58"
VII: 5'28" 
音楽的な雰囲気は決して悪くないが、独唱の声質が軽すぎて作品が要求している鋭さが表現されていない。表面的な美しさ以上のものが伝わるような演奏ではないのが残念。
N. Yureneva (S), B. Gutnikov (Vn), A. Nikitin (Vc), and M. Karandashova (Pf)
時間不詳
典型的なロシアンサウンド。響きに関しては文句のつけどころがない。技術的にも全く不安はなく、極めて高水準の演奏。ただ、音楽的にやや鈍重さというか野暮ったさが感じられる。とはいえ、これも好き嫌いの範疇に入るかもしれない。

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ロマンス「春よ、春よ」 作品128

独唱者ピアノ録音年レーベル番号備考評価
KUZNETSOV, Fyodor (B)SEROV, Yuri2002DelosDE 3313
【オーケストラ伴奏(G. Rozhdestvensky編)】
独唱者指揮者オーケストラ録音年レーベル番号備考評価
NESTERENKO, Evgeny (B)ROZHDESTVENSKY, GennadyUSSR Ministry of Culture Symphony Orchestra1985BMG-Melodiya74321 59058 2Melodiya-C10 26307 004(LP)

F. Kuznetsov (B), Y. Serov (Pf)
2'25"
深く渋い歌声の中にも、どこか若々しい抒情が感じられる秀演。
E. Nesterenko (B), G. Rozhdestvensky/USSR Ministry of Culture Symphony Orchestra
2'03"
演奏の機会にめぐまれない曲だが、ネステレーンコの深い歌唱が光る名演。

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イギリスの詩人の詩による6つの歌曲 作品140

独唱者指揮者オーケストラ録音年レーベル番号備考評価
ABDRAZAKOV, Ildar (B)NOSEDA, GianandreaBBC Philharmonic2005ChandosCHAN 10358
LEIFERKUS, Sergei (Br)JÄRVI, NeemeGothenburg Symphony Orchestra1993DGPOCG-1789
MOCHALOV, Alexei (B)LEVIN, AnatolyOrchestra of the Moscow Chamber Music Theatre1995Triton17 008
NESTERENKO, Evgeni (B)BARSHAI, RudolfMoscow Chamber Orchestra1974VictorVICC-40082/83Melodiya-C10-05837-38(LP)
OSBORNE, Robert (B)DECORMIER, RobertOrchestra1996ArabesqueZ6708Nos. 4, 2, and, 3, Sung in English.
SULEJMANOW, Stanislaw (B)JUROWSKI, MichailKölner Rundfunk-Sinfonie-Orchester1994Capriccio10 778

I. Abdrazakov (B), G. Noseda/BBC Philharmonic
I: 4'32" II: 2'42" III: 1'52" IV: 1'34" V: 2'58" VI: 0'47" 
優れた演奏である。温もりのある歌と、決して威圧的にならないオーケストラが紡ぐ響きが秀逸。鋭さが後退している代わりに、親しい仲間に献呈したこの作品のある側面が見事に描出されている。
S. Leiferkus (Br), N. Järvi/Gothenburg Symphony Orchestra
I: 3'47" II: 3'14" III: 2'30" IV: 1'33" V: 3'04" VI: 0'55" 
ソロの素晴らしさに比べてオーケストラが冴えない。どこか鈍重なリズムが、第3、6曲の鋭い諷刺には物足りない。それ以外は地味ながらも深い味わいの感じられる佳演。
A. Mochalov (B), A. Levin/Orchestra of the Moscow Chamber Music Theatre
I: 4'30" II: 2'51" III: 2'24" IV: 1'44" V: 3'03" VI: 0'47" 
モチャローフも伴奏も共に技量が不足している。この曲には、もっと力強さやぞっとするような美しさが感じられるはずだ。
E. Nesterenko (B), R. Barshai/Moscow Chamber Orchestra
I: 3'46" II: 2'45" III: 2'00" IV: 1'30" V: 3'30" VI: 0'48" 
独唱もオーケストラも共に圧倒的な名演。解釈から音色に至るまで、ショスタコーヴィチが意図したものを完璧に再現している。美しくも力強い、まぎれもなくショスタコーヴィチ後期の響きだ。
R. Osborne (B), R. DeCormier/Orchestra
I:   II: 2'42" III: 2'07" IV: 1'20" V:   VI:   
演奏自体は特に不満を感じないが、楽器編成が指定通りでないこと、歌詞が英語であることは、やはり大きな減点材料。オリジナルの形で優れた演奏がある以上、わざわざこの演奏を選択する理由はどこにもない。
S. Sulejmanow (B), M. Jurowski/Kölner Rundfunk-Sinfonie-Orchester
I: 4'21" II: 2'53" III: 2'12" IV: 1'29" V: 3'03" VI: 0'52" 
オーケストラは暗く落ち着いた良い音を出しているが、ソロがやや弱い。結果として、中期の作品というよりは後期作品らしい色調が前面に押し出された演奏となっている。これはこれで悪くない。

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M.ツヴェターエヴァの詩による6つの歌曲 作品143

独唱者ピアノ録音年レーベル番号備考評価
BOGACHEVA, Irina (MS)VAKMAN, Sofia1974MelodiyaC 10-05137-8LP
GOROKHOVSKAYA, Yevgenia (MS)GOLOVNEVA, Irina1977Melodiya33 C 10-07801-02LP
GRITSKOVA, Margarita (MS)PRINZ, Maria2019Naxos8.574031Nos. 2 & 5.
MISHURA, Irina (MS)RYVKIN, Valéry1996VAI AudioVAIA 2003
ROZANOVA, Natalia (MS)KATAYEVA, Irina1984MelodiyaC10 22987 002LP
SOKOLOVA, Lyubov (MS)SEROV, Yuri2000DelosDE 3307
KUSHPLER, Zoryana (MS)PETERSEN QUARTET (Conrad Muck, Daniel Bell, Friedmann Weigle, Henry-David Varema)2006Capriccio71 104Arr. by Lera Auerbach.
【作品143a】
独唱者指揮者オーケストラ録音年レーベル番号備考評価
ADKINS-CHITI, Patricia (MS)WALTER, AlfredOrchestre Symphonique de la RTBF1985PavaneADW 7204Live(5 Dec.)
BOGACHEVA, Irina (MS)BARSHAI, RudolfMoscow Chamber Orchestra1974VictorVICC-40082/83Melodiya-C10-05837-38(LP)
SINJAWSKAJA, Tamara (A)JUROWSKI, MichailKölner Rundfunk-Sinfonie-Orchester1994Capriccio10 778
WENKEL, Ortrun (A)HAITINK, BernardConcertgebouw Orchestra, Amsterdam1986LondonPOCL-9255/66
ZAREMBA, Elena (A)JÄRVI, NeemeGothenburg Symphony Orchestra1994DG447 085-2

I. Bogacheva (MS), S. Vakman (Pf)
時間不詳
初演コンビによる世界初録音。楽譜の指示より速めのテンポ設定が、いかにもショスタコーヴィチが立会っていることを窺わせる。ボガチェーヴァの歌唱は、ピアノ伴奏ということもあってか、やや自由な感じもするが歌詞を生かした大変美しいもの。オーケストラ伴奏版を聴き馴れた耳にはピアノの音色が地味に聴こえないこともないが、むしろ歌手の美質が全面に押し出されて好ましいともいえる。この曲の美しさを味わうには全く不満のない演奏。
Y. Gorokhovskaya (MS), I. Golovneva (Pf)
時間不詳
ごくオーソドックスな演奏。突き抜けた表現力はないものの、端正にまとめられた美しい仕上がりはなかなかのもの。録音のせいかもしれないが、ピアノがかなり大人しい印象なのが惜しい。
M. Gritskova (MS), M. Prinz (Pf)
I:   II: 3'38" III:   IV:   V: 2'30" VI:   
手堅く生真面目な歌唱に好感が持てる。技術的にも非常に立派な仕上がりだが、ピアノ伴奏は物足りない。
I. Mishura (MS), V. Ryvkin (Pf)
I: 3'15" II: 3'36" III: 2'42" IV: 1'39" V: 2'33" VI: 5'26" 
安定した演奏だが、表現力には乏しい。歌手、ピアニスト共に音色が単調で、この作品が持つ異様なまでの静謐感を十全に表出しているとは言い難い。なお、解説書では“ピアノ伴奏版の世界初録音”と述べられているが、当然誤りである。
N. Rozanova (MS), I. Katayeva (Pf)
I: 2'55" II: 3'02" III: 2'38" IV: 1'22" V: 2'42" VI: 4'42" 
硬質な透明感を漂わせた美感がなかなかのもの。声そのものの表情不足を感じるが、丁寧な仕上げがそれを補っている。ピアノも適度に雄弁で立派である。
L. Sokolova (MS), Y. Serov (Pf)
I: 2'59" II: 3'24" III: 2'55" IV: 1'39" V: 2'56" VI: 5'33" 
丁寧な演奏ではあるものの、作品の深みに到達しているとは言い難い。鋭さに欠ける声質も影響しているのかもしれないが、全般に良く言えば中庸な、悪く言えば中途半端な表現に終始しているのが物足りない。
Z. Kushpler (MS), Petersen Quartet
I: 3'07" II: 3'33" III: 2'54" IV: 1'42" V: 2'45" VI: 5'30" 
ショスタコーヴィチ自身の管弦楽版に比べるとさすがに色彩感には劣るが、ピアノ伴奏を基準に考えるならば原曲の雰囲気を一層豊かに広げるような、見事な編曲である。問題は演奏で、弦楽四重奏のみならず歌手までもが一本調子なために、作品が湛える不健康な艶かしさが全く表現されていない。こういう曲こそ現代的な四重奏の演奏様式が相応しいと思えるだけに、是非とも他の団体による演奏を期待したいところ。
P. Adkins-Chiti (MS), A. Walter/Orchestre Symphonique de la RTBF
I: 4'06" II: 3'38" III: 2'50" IV: 1'53" V: 2'55" VI: 7'34" 
ライヴ録音であるが、特に瑕はない。ただ、ソロの声質にやや癖があることと、オーケストラに表現力があまりないことが問題。基本的にソツのない演奏ではあるのだが、それだけではショスタコーヴィチ晩年の歌曲の良さが十全に発揮されるとは言いがたい。
I. Bogacheva (MS), R. Barshai/Moscow Chamber Orchestra
I: 3'18" II: 3'24" III: 3'01" IV: 1'29" V: 2'21" VI: 6'09" 
演奏技術や音楽的な内容から音色に至るまで、完璧な名演。この演奏を聴かずしてこの曲の真価は分からない。全く隙のない音楽に、ただただ圧倒される。
T. Sinjawskaja (A), M. Jurowski/Kölner Rundfunk-Sinfonie-Orchester
I: 3'15" II: 3'29" III: 2'23" IV: 1'28" V: 2'42" VI: 5'32" 
欲をいえば、ソロの高音域と弦楽器にもう少し張り詰めた響きが欲しいが、曲の美しさは十分味わえる演奏である。特に管楽器が健闘しているので、妖しいまでの色彩感が表出され、大変美しい。
O. Wenkel (A), B. Haitink/Concertgebouw Orchestra, Amsterdam
I: 3'20" II: 3'50" III: 3'22" IV: 1'40" V: 3'27" VI: 6'07" 
甘い美しさが前面に出た好演。歌とオーケストラのバランスがうまく取れている。安定した表現力も好ましい。ただ、時に厳しさや鋭さに欠けるのが惜しい。
E. Zaremba (A), N. Järvi/Gothenburg Symphony Orchestra
I: 3'20" II: 3'04" III: 2'32" IV: 1'29" V: 2'26" VI: 4'47" 
どちらかといえば歌の方が出来は良い。曲の美しさと魅力を知るには十分な演奏。ただし、あまり色彩感の感じられない響きが気になる。特にやや焦点の定まらないような地味でぼやけた感じのオーケストラに、大きな責任がある。

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ミケランジェロの詩による組曲 作品145

独唱者ピアノ録音年レーベル番号備考評価
FISCHER-DIESKAU, Dietrich (Br)REIMANN, Aribert1986Teldec243 714-2Sung in Italian.
GOERNE, Matthias (Br)TRIFONOV, Daniil2018DG486 2452Nos. 6, 10, and 9.
GRITSKOVA, Margarita (MS)PRINZ, Maria2019Naxos8.574031No. 11 only.
HVOROSTOVSKY, Dmitri (Br)ILJA, Ivari2012OndineODE 1277-2
KUZNETSOV, Fyodor (B)SEROV, Yuri2003DelosDE 3317
NAOUMENKO, Alexandre (B)DÉSARBRE, Hervé (Org.)1999Le Chant du MondeLDC 77781124Live, Arr. for bass and organ by Hans Peter Eisenmann.
NESTERENKO, Evgeni (B)SHENDEROVICH, Evgeni1975Melodiya33 C10-06161-62LP
NOVÁK, Richard (B)KLIMEŠ, Cyril1976Panton11 0604 HLP. Nos. 1, 4, 5, 10, and 11.
SHIRLEY-QUIRK, John (Br)ASHKENAZY, Vladimir1976-7LondonPOCL-2356
STATNIK, Yuri (B)RASSUDOVA, Nataliya1978Melodiya33 C 10-11239-40LP, No. 4 only.
【作品145a】
独唱者指揮者オーケストラ録音年レーベル番号備考評価
ABDRAZAKOV, Ildar (B)NOSEDA, GianandreaBBC Philharmonic2005ChandosCHAN 10358
FINLEY, Gerald (B)SANDERLING, ThomasHelsinki Philharmonic Orchestra2013OndineODE 1235-2Sung in Italian.
FISCHER-DIESKAU, Dietrich (Br)ASHKENAZY, VladimirRadio-Symphonie-Orchester Berlin1991Decca433 319-2
HOLL, Robert (B)KARABTCHEVSKY, IsaacOrchestre National des Pays de la Loire2005CalliopeCAL 9382
KOPČÁK, Sergei (B)VAJNAR, FrantisekPrague Radio Symphony Orchestra1980PragaPR 250 009Nos. 1, 4-6, and 8-11. Live. Praga-PRD 250 334
KOTSCHERGA, Anatolij (B)JUROWSKI, MichailKölner Rundfunk-Sinfonie-Orchester1996Capriccio10 777
LEIFERKUS, Sergei (Br)JÄRVI, NeemeGothenburg Symphony Orchestra1994DG447 085-2
NESTERENKO, Evgeni (B)SHOSTAKOVICH, MaximMoscow Radio Symphony Orchestra1975VictorVICC-40082/83Melodiya-C10-07395-96(LP)
NESTERENKO, Evgeni (B)ROZHDESTVENSKY, GennadyMoscow Radio Symphony Orchestra1976Brilliant9019Live(20 Apr.)
POLSTER, Hermann Christian (B)SANDERLING, ThomasRundfunk-Sinfonie-Orchester Berlin1978Deutsche SchallplattenTKCC-70414Sung in German.

D. Fischer-Dieskau (Br), A. Reimann (Pf)
I: 5'11"
II: 2'54"
III: 4'33"
IV: 2'14"
V: 1'31"
VI: 3'31"
VII: 5'35"
VIII: 3'16"
IX: 4'30"
X: 5'48"
XI: 3'58"
イタリア語(原詩)による歌唱。ディースカウは、いつもながらの立派な美声と卓越した技巧を駆使した濃厚な表情付けをしている。しかし、やはり言葉の響きの違いは大きく、原曲を聴き慣れた耳には違和感が大きい。ライマンのピアノは力量不足。雄弁さが感じられない上に、音も汚い。
M. Goerne (Br), D. Trifonov (Pf)
I:

II:

III:

IV:

V:

VI: 3'40"
VII:

VIII:

IX: 4'35"
X: 5'49"
XI:
ゲルネは美声で圧倒するタイプではないが、節度を保ちつつも振幅の大きな表現力で濃密な情緒を的確に表出している。トリフォノフのピアノの、音符の少ないスコアから引き出される管弦楽のような色彩感の豊かさも特筆しておきたい。
M. Gritskova (MS), M. Prinz (Pf)
I:

II:

III:

IV:

V:

VI:

VII:

VIII:

IX:

X:

XI: 3'59"
メゾソプラノによる歌唱。手堅く生真面目な歌唱に好感が持てる。技術的にも非常に立派な仕上がりだが、ピアノ伴奏は物足りない。
D. Hvorostovsky (Br), I. Ilja (Pf)
I: 5'18"
II: 3'00"
III: 4'41"
IV: 1'55"
V: 1'48"
VI: 3'33"
VII: 4'24"
VIII: 2'34"
IX: 3'34"
X: 5'19"
XI: 3'34"
フヴォロストーフスキイらしい気取った格好良さが全編を通して聴かれる。ただ、気高くはあるもののロマンティックな色付けが濃いように思われる。ピアノが単なる伴奏の域を出ることなく、フヴォロストーフスキイとの音楽的なバランスが決定的に悪いのは、残念ながら大きな減点材料である。
F. Kuznetsov (B), Y. Serov (Pf)
I: 4'19"
II: 2'48"
III: 4'10"
IV: 2'06"
V: 1'36"
VI: 3'31"
VII: 4'13"
VIII: 2'58"
IX: 3'55"
X: 4'45"
XI: 3'47"
クズネツォフの美声がとても魅力的。伸びやかな歌心が、ショスタコーヴィチ晩年独特の透明な美しさを見事に描き出している。セーロフの伴奏は、ややおとなしめ。もう少し積極的な主張があっても良いだろう。
A. Naoumenko (B), H. Désarbre (Org)
I: 4'43"
II: 2'53"
III: 4'12"
IV: 1'58"
V: 1'56"
VI: 5'52"
VII: 2'27"
VIII: 2'52"
IX: 4'25"
X: 4'28"
XI: 4'24"
独唱の声質はなかなかのもの。しかしながら、音楽的な表現力はむしろ希薄。オルガン伴奏というのに興味を惹かれるが、録音のせいもあるのかただ輪郭がぼやけただけで何の効果もない。
E. Nesterenko (B), E. Shenderovich (Pf)
時間不詳
ピアノ伴奏故に、より一層ネステレーンコの色濃い表現力を堪能することができる。曲の組み立てから声色に至るまで、まさに理想的な演奏である。シェンデロヴィチの伴奏も単に息が合っているというレベルを超えて、この曲の独特な深い世界の表出に大きく貢献している。間違いなくピアノ伴奏版における決定盤である。
R. Novák (B), C. Klimeš (Pf)
時間不詳
あまり意味の感じられない抜粋の仕方であることを除けば、録音で取り上げられる機会のそれほど多くないピアノ伴奏版であるだけでなく、独唱も伴奏ピアノも地に足のついた存在感のある立派な歌唱であり、一聴の価値はある。
J. Shirley-Quirk (Br), V. Ashkenazy (Pf)
I: 5'56"
II: 3'13"
III: 3'52"
IV: 2'36"
V: 1'34"
VI: 3'43"
VII: 3'44"
VIII: 2'45"
IX: 4'43"
X: 5'28"
XI: 3'26"
安定した演奏。シャーリー=カークの声質の故か非常に地味な仕上がりになっているものの、出来は悪くない。アシケナージの伴奏も十分に雄弁で、この曲の魅力を適切に伝えてくる。
Y. Statnik (B), N. Rassudova (Pf)
時間不詳
第6回チャイコーフスキイ国際コンクールにて第3位を受賞したスタートニクの、コンクールでのライヴ録音。美声で端正に歌われる音楽は実に美しく、第4曲を選んだのは正解だったように思える。
I. Abdrazakov (B), G. Noseda/BBC Philharmonic
I: 5'09"
II: 2'44"
III: 4'56"
IV: 2'39"
V: 1'46"
VI: 3'52"
VII: 6'03"
VIII: 3'46"
IX: 4'22"
X: 5'33"
XI: 3'55"
冒頭から、美しく落ち着いたアブドラザコフの声と瑞々しい抒情を湛えたオーケストラの響きに耳を奪われる。神々しい気高さというよりは、人間的な情感を格調高く歌い上げた演奏といえるだろう。欲を言うならば、たとえば第5曲「怒り」などには一層の狂的な暴力性を求めたいところ。
G. Finley (B), T. Sanderling/Helsinki Philharmonic Orchestra
I: 4'53"
II: 2'50"
III: 4'19"
IV: 2'45"
V: 1'49"
VI: 3'20"
VII: 5'52"
VIII: 3'12"
IX: 4'49"
X: 5'20"
XI: 4'18"
イタリア語歌唱による世界初録音とのことだが、ロシア語以外の言語による歌唱に積極的な価値はない。独唱の声質とオーケストラの特質ゆえか、激しさ、荒々しさといった表現には物足りなさもあるが、暗く沈潜するような表情の密やかな美しさは素晴らしい。T. ザンデルリンクの堅実かつツボを押さえたサポートも立派なもの。
D. Fischer-Dieskau (Br), V. Ashkenazy/Radio-Symphonie-Orchester Berlin
I: 4'39"
II: 2'54"
III: 4'20"
IV: 2'27"
V: 1'34"
VI: 3'48"
VII: 5'17"
VIII: 2'43"
IX: 4'32"
X: 4'51"
XI: 3'39"
ディースカウは、残念ながら声に衰えが感じられる。技術的には相変わらず高水準で、時に過剰なまでの表情付けがなされているが、甘く濃いその歌い回しは曲にマッチしていない。ロシア語の発音にもやや難がある。アシケナージの伴奏は、強奏部以外には特に意味のある響きを引き出しておらず、その強奏も汚い。ディースカウの熱心なファンでなければ、わざわざ取り上げる程の魅力はない。
R. Holl (B), I. Karabtchevsky/Orchestre National des Pays de la Loire
I: 3'34"
II: 2'38"
III: 3'51"
IV: 2'42"
V: 2'08"
VI: 3'32"
VII: 6'05"
VIII: 2'58"
IX: 3'43"
X: 3'55"
XI: 3'40"
ホルの歌唱があまりに人間的すぎて生温く、少々物足りない。オーケストラも柔和な響きに終始し、作品が持つ近寄り難いまでの荘厳さといった側面が欠落した演奏となっている。ピアノ伴奏版の方が、ホルの美質が生かされた演奏に仕上がったかもしれない。
S. Kopčák (B), F. Vajnar/Prague Radio Symphony Orchestra
I: 4'07"
II:  
III:  
IV: 2'08"
V: 1'33"
VI: 3'10"
VII:  
VIII: 2'40"
IX: 3'50"
X: 4'06"
XI: 4'07"
全曲ではなく、抜粋の演奏。それほど悪くはないが、やや明るめの声質と、ライヴゆえのアンサンブルの粗さが気になる。内容を十分に表現しきっているとは言えないが、雰囲気はよく出ている。
A. Kotscherga (B), M. Jurowski/Kölner Rundfunk-Sinfonie-Orchester
I: 4'20"
II: 2'32"
III: 3'49"
IV: 2'47"
V: 1'41"
VI & VII: 7'52"
VIII: 2'36"
IX: 3'41"
X: 4'49"
XI: 3'23"
安定した堅実な演奏だが、終始表面をなぞっただけのような印象を受ける。歌にもオーケストラにも切実な響きが感じられない。曲の美しさを知る分に不足はないが、襟を正したくなるような高貴な荘厳さまでは表出できていない。
S. Leiferkus (Br), N. Järvi/Gothenburg Symphony Orchestra
I: 4'06"
II: 3'07"
III: 4'29"
IV: 2'44"
V: 1'48"
VI: 3'24"
VII: 4'55"
VIII: 2'44"
IX: 4'09"
X: 4'10"
XI: 3'21"
やや明るめの声質ながら、レイフェルクスは大変素晴らしい。曲の内容を十分に把握し、安定した表現力を発揮している。一方伴奏は健闘しているものの、譜面に込められた多彩な響きや内容を十分に表出しているとは言えない。
E. Nesterenko (B), M. Shostakovich/Moscow Radio Symphony Orchestra
I: 4'41"
II: 3'06"
III: 4'12"
IV: 2'42"
V: 1'28"
VI: 4'05"
VII: 5'59"
VIII: 2'55"
IX: 4'36"
X: 5'17"
XI: 4'07"
独唱もオーケストラも共にとてつもない表現力を持った名演。これ以外に考えられない音色と卓越した演奏技術が、文字通り理想的にスコアを再現している。力強さと繊細さ、動と静といった相反する感情が見事に表出されている。
E. Nesterenko (B), G. Rozhdestvensky/Moscow Radio Symphony Orchestra
I: 5'02"
II: 3'02"
III: 4'11"
IV: 2'50"
V: 1'35"
VI: 3'39"
VII: 4'13"
VIII: 2'36"
IX: 4'27"
X: 5'00"
XI: 4'02"
立派な演奏である。ネステレーンコは鬼気迫るというよりはむしろ、余裕を感じさせる貫禄の歌唱。ロジデーストヴェンスキイも意欲的な表現で楽曲を彫琢しているのだが、それだけに、冴えない録音で音に迫真性が感じられないのが何とも残念。
H. C. Polster (B), T. Sanderling/Rundfunk-Sinfonie-Orchester Berlin
I: 5'05"
II: 2'59"
III: 3'58"
IV: 3'09"
V: 1'36"
VI: 3'39"
VII: 6'15"
VIII: 4'03"
IX: 5'35"
X: 5'51"
XI: 4'34"
ドイツ語訳による歌唱。やや硬質な美しさに満ちた秀演。歌詞がロシア語ではないのは大変残念だが、下手なロシア語で不明瞭な発音をされるのよりはずっとマシだ。特筆すべきは歌とオーケストラとのバランスの良さ。極めて自然に溶け合いつつ、スケールの大きな落ち着いた音楽を作り出している。演奏者の技巧も安定しており、透明な響きが曲にふさわしい。

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レビャートキン大尉の4つの詩 作品146

独唱者ピアノ録音年レーベル番号備考評価
FISCHER-DIESKAU, Dietrich (Br)ASHKENAZY, Vladimir1991Decca433 319-2
GLUBOKY, Piotr (B)RASSUDOVA, Natalia1994Saison RusseRUS 288 089
KUZNETSOV, Fyodor (B)SEROV, Yuri2001DelosDE 3307
MIGUNOV, Petr (B)SCHOONDERWOERD, Arthur2003AlphaALPHA 055
NESTERENKO, Evgeni (B)SHENDEROVICH, Evgeni1976VictorVICC-40082/83Melodiya-C 10-15501-2(LP), Melodiya-C10-09225-26(LP)
SPACEK, Josef (B)HÁLA, Josef1978Supraphon1111 2000 GLP
【オーケストラ伴奏】
独唱者指揮者オーケストラ録音年レーベル番号備考評価
LEIFERKUS, Sergei (Br)SANDERLING, ThomasRussian Philharmonic Orchestra2005DG00289 477 6111Arr. by Boris Tishchenko.
MOCHALOV, Alexei (B)LEVIN, AnatolyOrchestra of the Moscow Chamber Music Theatre1995Triton17 008

D. Fischer-Dieskau (Br), V. Ashkenazy (Pf)
I: 3'43"
II: 3'05"
III: 1'57"
IV: 2'11" 
幅広い層の聴衆にアピールしそうな、ある種派手な演奏。ディースカウの声質(低音がやや弱い)とアシケナージのやや汚い音色が気にならなくもないが、曲の内容をよく把握したスケールの大きい表現は立派なもの。
P. Gluboky (B), N. Rassudova (Pf)
I: 5'00"
II: 4'01"
III: 2'33"
IV: 2'25" 
雰囲気のよく出た演奏。鋭い諷刺は感じられないが、晩年特有の陰気な感じが自然に表出されている。特に歌は素晴らしい。ピアノの鈍重さが、演奏を単調なものにしているのが惜しい。
F. Kuznetsov (B), Y. Serov (Pf)
I: 4'16"
II: 3'48"
III: 2'08"
IV: 2'03" 
バランスのとれた好演。丁寧な表情付けと適切なスケール感をもった歌唱で、模範的な演奏ということができるだろう。ピアノ伴奏も地味ながら堅実で好ましい。
P. Migunov (B), A. Schoonderwoerd (Pf)
I: 4'25"
II: 3'55"
III: 2'06"
IV: 2'23" 
過度にシニカルになることはなく、むしろ後期作品に特有な、どこか退廃の影すら感じさせる不健全な美しさが、上品に表出されている。まろやかな声質ながらも鋭さを失うことなく、演奏頻度のそう高くないこの歌曲の魅力を適切かつ自然に表出している。
E. Nesterenko (B), E. Shenderovich (Pf)
I: 4'00"
II: 3'22"
III: 2'01"
IV: 2'08" 
極めて完成度の高い演奏。独唱と伴奏のアンサンブルは完璧だし、共に圧倒的な表現力を持っている。オーケストラ伴奏の歌曲に匹敵するような幅広く多彩な響きがしており、スコアが要求している内容の全てが音化されていると言っても過言ではないだろう。
J. Spacek (B), J. Hála (Pf)
時間不詳
バス独唱は悪くはないものの声質にドスの効いた凄みがあまりなく、少々物足りない。素晴らしいのはハーラーのピアノ。非常に多彩かつ高貴な響きに耳を奪われる。この作品の演奏としては甘過ぎるように感じられるが、これはこれで立派な演奏。
S. Leiferkus (Br), T. Sanderling/Russian Philharmonic Orchestra
I: 3'50"
II: 3'59"
III: 2'26"
IV: 2'30" 
原曲の雰囲気とは随分と異なる印象で、聴いていて少々とまどってしまう。簡潔ながらも色彩感豊かで鋭いピアノ伴奏に対して、ティーシチェンコのオーケストレイションがかなり豪奢なものであるために、原曲の醜悪なまでの風刺性が薄まっている。これは、独唱者のレイフェルクスがバスではなくバリトンであることも影響しているのかもしれない。
A. Mochalov (B), A. Levin/Orchestra of the Moscow Chamber Music Theatre
I: 4'30"
II: 3'53"
III: 2'07"
IV: 1'48" 
オーケストラ伴奏による演奏(編曲者は表記されていない)は珍しいが、この最晩年の作品が持つ複雑な雰囲気が完全には表現しきれていない。

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Last Modified 2024.03.26

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