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ピアノ協奏曲第2番 ヘ長調 作品102

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独奏者指揮者オーケストラ録音年レーベル番号備考評価
ALEXEEV, DmitriMAKSYMIUK, JerzyEnglish Chamber Orchestra1983Classics for PleasureCD-CFP 4547
BERNSTEIN, LeonardNew York Philharmonic1962CBSMPK 44850
BRONFMAN, YefimSALONEN, Esa-PekkaLos Angeles Philharmonic1998SonySK 60677
CHENG, AngelaBERNARDI, MarioCBC Radio Orchestra2001CBCSMCD 5216
COVELLI, JohnMoscow Philharmonic Orchestra1994Carlton Classics30367 01842
DONOHOE, PeterSHOSTAKOVICH, MaximBBC Symphonoy Orchestra1982BBC15656 91702Live(2 Sept.)
DONOHOE, PeterCURTIS, DavidOrchestra of the Swan2015SignumSIGCD493
GUGNIN, AndreyORBELIAN, ConstantineMoscow Chamber Orchestra2005DelosDE 3366
GULDA, PaulFEDOSEYEV, VladimirMoscow Radio Symphony Orchestra1993Musica780013-2
HAMELIN, Marc-AndréLITTON, AndrewBBC Scottish Symphony Orchestra2003HyperionCDA67425
HELMCHEN, MartinJUROWSKI, VladimirLondon Philharmonic Orchestra2009London Philharmonic OrchestraLPO-0053Live(25 Apr.)
HOUSTOUN, MichaelLYNDON-GEE, ChristopherNew Zaeland Symphony Orchestra1994Naxos8.553126
JABLONSKI, PatrikRAJSKI, WojciechPolish Radio Orchestra in Warsaw2006AltaraALT1018
JACOBY, IngridMACKERRAS, CharlesRoyal Philharmonic Orchester2002DuttonCDSA 4804
JONES, MartinBOUGHTON, WilliamEnglish Symphony Orchester1990NimbusNI 5308
KOROBEYNIKOV, AndreyKAMU, OkkoLahti Symphony Orchestra2011MirareMIR 155
KRAINEV, VladimirDMITRIEV, AlexandreLeningrad Symphony Orchester1982Le Chant du MondeLDC 278 1011
LEONSKAJA, ElisabethWOLFF, HughSaint Paul Chamber Orchestra1991Teldec9031-73282-2
LIST, EugeneDESARZENS, VictorVienna State Opera Orchestra1960MCAMCAD2-9823BMCA-MCD 80107
LIST, EugeneSHOSTAKOVICH, MaximUSSR Radio Symphony Orchestra1975RCA74321 29254 2
LITTON, AndrewDallas Symphony Orchestra1998DelosDE 3246
MARSHEV, OlegLINTU, HannuHelsingborg Symphony Orchestra2002DanacordDACOCD 601
MASLEEV, DmitrySLADKOVSKY, AlexanderTatarstan National Symphony Orchestra2016MelodiyaMEL CD 10 02517
MATSUEV, DenisGERGIEV, ValeryMariinsky Orchestra2010MariinskyMAR0509SACD
MELNIKOV, AlexanderCURRENTZIS, TeodorMahler Chamber Orchestra2010harmonia mundiHMC 902104
OGDON, JohnFOSTER, LawrenceRoyal Philharmonic Orchestra1971EMISXLP 30514LP. EMI-7243 5 74990 2 6
ORTIZ, CristinaBERGLUND, PaavoBournemouth Symphony Orchestra1975EMI7243 5 68536 2 1EMI-7243 5 73518 2 9, EMI-CDS 7 47790 8, Brilliant-7620, Brilliant-8128
ORTIZ, CristinaASHKENAZY, VladimirRoyal Philharmonic Orchestra1989Decca425 793-2
PIERCE, JoshuaFREEMAN, PaulRTV Sinfonie Orchestra Slovenija1990PhoenixPHCD 117Live(30 Aug.)
RUBACKYTĖ, MūzaLANO, StefanLithuanian National Symphony Orchestra2007DoronDRC 3061Live(4 Dec.)
RUDY, MikhailJANSONS, MarissLondon Philharmonic Orchestra1997EMI7243 5 56591 2 5
SHOSTAKOVICH, DmitriCLUYTENS, AndréOrchestre National de la Radiodiffusion Française1958EMICDC 7 54606 2Warner Classics-0825646155019
SHOSTAKOVICH, DmitriILIEV, KonstantinSofia Philharmonic Orchestra1958Armada8 86470 39270 4Live(31 Jan.)
SHOSTAKOVICH, DmitryGAUK, AlexanderMoscow Radio Symphony Orchestra1959VictorVICC-2048Russian Disc-RD CD 15 005, Revelation-RV70006, Melodiya-C10-14089-90(LP)
SHOSTAKOVICH JR, DmitriSHOSTAKOVICH, MaximI Musici de Montreal1985ChandosCHAN8443
UHLIG, FlorianSTÁREK, JiríSWR Rundfunkorchester Kaiserslautern2002hänsslerCD 93.113
VINNITSKAYA, AnnaWELLBER, Omer MeirKremerata Baltica, Winds of Staatskapelle Dresden2014AlphaALPHA 203
VOSKRESENSKY, MikhailJIRÁCEK, VáclavPrague Radio Symphony Orchestra1957SupraphonDV 5456LP
KIM, Min Kyung & MOON, Hyung Jin (Pf)2016ToccataTOCC 0292Arr. for two pianos by D. D. Shostakovich.

D. Alexeev (Pf), J. Maksymiuk/English Chamber Orchestra
第1楽章: 7'55" 第2&3楽章: 11'23" 
きれいな演奏だが、特に印象に残らない。2・3楽章はソツのない出来だが、第1楽章のテンポは疑問。ホルンの強奏も汚い。
L. Bernstein (Pf)/New York Philharmonic
第1楽章: 7'11" 第2&3楽章: 12'08" 
バーンスタインによる弾き振り。リズム感が非常に優れている。また、オーケストラの踏み込みも期待通りで、聴いていて不満を感じる瞬間がほとんどない。第2楽章は少し甘過ぎるような気もするが、表現が板についているのでイヤらしくない。全体のスケール感も非常に立派である。
Y. Bronfman (Pf), E.-P. Salonen/Los Angeles Philharmonic
第1楽章: 7'15"
第2楽章: 6'26"
第3楽章: 5'16" 
整然としてはいるが、全く面白味がない。こういう演奏だと、楽曲の退屈な側面ばかりが強調されてしまう。抒情的でもなければ、生き生きとしている訳でもない。どうして録音したのだろうか?しかし、聴き苦しい訳でもない。
A. Cheng (Pf), M. Bernardi/CBC Radio Orchestra
第1楽章: 7'38"
第2楽章: 6'42"
第3楽章: 5'28" 
小綺麗にまとまってはいるが、全く訴えかけてくるものがない。退屈な演奏。
J. Covelli (Pf)/Moscow Philharmonic Orchestra
第1楽章: 6'59"
第2楽章: 6'21"
第3楽章: 5'52" 
きれいにまとめられているが、安全運転に過ぎて退屈。弾き振りであることも影響しているのだろう。演奏の水準自体は決して低くはないが、あえてこの演奏を取り出して聴こうと思うほどのものでもない。
P. Donohoe (Pf), M. Shostakovich/BBC Symphonoy Orchestra
第1楽章: 7'09"
第2楽章: 6'26"
第3楽章: 5'12" 
透明で美しく、力強さにも欠けない音色が素晴らしい。第2楽章でこの美質が発揮されている。ただ、第1楽章で顕著なリズム感の悪さが、この演奏をどこか落ち着かないものとしているのが残念。
P. Donohoe (Pf), D. Curtis/Orchestra of the Swan
第1楽章: 6'57"
第2楽章: 6'45"
第3楽章: 5'18" 
よく整えられた模範的な演奏。等身大の壮麗さが清涼な楽しさを醸し出す快演である。
A. Gugnin (Pf), C. Orbelian/Moscow Chamber Orchestra
第1楽章: 7'18"
第2楽章: 5'52"
第3楽章: 5'32" 
独奏もオーケストラもごく標準的な内容。第1楽章の最後で独奏ピアノの指がもつれ気味だったりはするが、技術面での不満はほとんどない。ただ、これと言った特徴もないので、印象は薄い。
P. Gulda (Pf), V. Fedoseyev/Moscow Radio Symphony Orchestra
第1楽章: 6'46"
第2楽章: 6'16"
第3楽章: 5'11" 
グルダのピアノはやや線が細いものの、しっかりとしたリズム感で安心して聴くことができる。この演奏で凄いのはフェドセーエフ率いるオーケストラ。この曲でこれほどまでに充実した伴奏は、他に思い当たらない。抜群のリズム感とロシアの情感あふれる節回し、そして絶妙の音色。非常に魅力的な演奏である。
M.-A. Hamelin (Pf), A. Litton/BBC Scottish Symphony Orchestra
第1楽章: 6'50"
第2楽章: 7'18"
第3楽章: 5'05" 
鮮やかな独奏と、熱気溢れる伴奏との組合わせが非常に魅力的。現代的なスマートさを感じさせるが、作品の本質とはずれることはない。最良の意味での模範的な演奏。
M. Helmchen (Pf), V. Jurowski/London Philharmonic Orchestra
第1楽章: 7'02"
第2楽章: 6'30"
第3楽章: 5'19" 
溌剌とした勢いに満ち、それでいて終始安定感のある優れた演奏。とりわけ、第1楽章のカデンツァ後の疾走感が素晴らしい。奇を衒うことのない、ごくごくオーソドックスな解釈なのだが、間然とすることなく一気呵成に全曲を聴かせてくれる。オーケストラの、手堅くも共感に満ちた熱いバックも立派。
M. Houstoun (Pf), C. Lyndon-Gee/New Zaeland Symphony Orchestra
第1楽章: 7'17"
第2楽章: 6'37"
第3楽章: 5'35" 
全く音量の出ないソロと、表現力のないオーケストラとによる、実に無気力な演奏。メリハリという言葉はどこにもない。とりあえず技術的な破綻はないので聴き苦しくはないが、この演奏を聴いてもこの曲の魅力は分からない。
P. Jablonski (Pf), W. Rajski/Polish Radio Orchestra in Warsaw
第1楽章: 7'46"
第2楽章: 7'20"
第3楽章: 5'43" 
技術的に安定しており、あっさりとした流れの美しさが心地好い。それだけに、冒頭の重々しさには違和感を禁じ得ない。
I. Jacoby (Pf), C. Mackerras/Royal Philharmonic Orchester
第1楽章: 7'11"
第2楽章: 6'24"
第3楽章: 5'36" 
独奏者の力量が決定的に不足している。オーケストラも無気力な音楽を奏でているだけ。
M. Jones (Pf), W. Boughton/English Symphony Orchester
第1楽章: 7'40"
第2楽章: 5'09"
第3楽章: 6'04" 
楽譜に書いてある音が鳴っているだけ。ソロとオーケストラの両方にリズム感が欠如しているために、非常に鈍重なつまらない演奏に仕上がっている。弦楽器の音程も悪い。
A. Korobeynikov (Pf), O. Kamu/Lahti Symphony Orchestra
第1楽章: 7'21"
第2楽章: 7'33"
第3楽章: 5'42" 
沈潜した静的な音楽の美しさが傑出している。かなり遅いテンポでじっくりと弾き込んだ第2楽章が素晴らしい。一方で、速い楽章も同様の雰囲気をとっているため、やみくもな疾走感に欠ける点は好き嫌いが分かれるかもしれない。ただし、第1楽章のカデンツァ以降には、勢いの良い高揚感がある。
V. Krainev (Pf), A. Dmitriev/Leningrad Symphony Orchestra
第1楽章: 7'06", 第2&3楽章: 10'37" 
独奏は実に素晴らしい。指回りや音色に加えて、一気呵成な勢いと爽やかな抒情が魅力的。ただ、オーケストラが消極的というか鈍いというか、とにかく物足りない。もったいない。
E. Leonskaja (Pf), H. Wolff/Saint Paul Chamber Orchestra
第1楽章: 7'20"
第2楽章: 6'55"
第3楽章: 5'39" 
ソロもオーケストラも技術的にはなかなか水準が高い。ただ、音楽に余裕がないというか、遊びの要素が全くない生真面目な、この曲にしては非常に奇妙な演奏に仕上がっている。確かに美しい部分も多いのだが、わざわざこの演奏を選んで聴こうとまでは思わない。
E. List (Pf), V. Desarzens/Vienna State Opera Orchestra
第1楽章: 6'42"
第2楽章: 5'55"
第3楽章: 5'27" 
よく弾き込まれた安心感がある。派手な効果狙いの部分は全くないが、十分に楽しく聴くことができる。音楽のバランスが優れているため、この曲が持つ造形の確かさが素直に表出されている。オーケストラは技術的にやや苦しい。
E. List (Pf), M. Shostakovich/USSR Radio Symphony Orchestra
第1楽章: 6'20"
第2楽章: 5'21"
第3楽章: 4'57" 
ソロ、オーケストラ共に尋常ならざる勢いに満ちた名演。作曲者自身のライヴ盤の精度をさらに高めたような演奏。技術面での安心感が表現の安定感につながっているところが素晴らしい。かといって退屈するような部分は皆無で、手に汗を握りながら最後まで聴き通してしまう。
A. Litton (Pf)/Dallas Symphony Orchestra
第1楽章: 7'03"
第2楽章: 7'43"
第3楽章: 5'23" 
きれいにまとめられた、ソツのない演奏。とりたてて不満に感じる部分はないが、強烈なセールスポイントもない。まずは無難な演奏といえるだろう。
O. Marshev (Pf), H. Lintu/Helsingborg Symphony Orchestra
第1楽章: 7'40"
第2楽章: 7'46"
第3楽章: 5'42" 
こじんまりとしたまとまりの良さが美点の演奏。独奏者、オーケストラともに派手なセールスポイントはないが、逆にこの作品を等身大に描き出しているとも言えるかもしれない。
D. Masleev (Pf), A. Sladkovsky/Tatarstan National Symphony Orchestra
第1楽章: 6'29"
第2楽章: 6'39"
第3楽章: 5'06" 
達者で綺麗な仕上がりではあるものの、これと言った特徴のない演奏。オーケストラは、充実した響きが素晴らしい。
D. Matsuev (Pf), V. Gergiev/Mariinsky Orchestra
第1楽章: 7'33"
第2楽章: 5'32"
第3楽章: 5'32" 
作品のイメージを一新させるようなスケールの大きな演奏。軽やかさは後退しているが、壮大な美しさには一聴の価値がある。
A. Melnikov (Pf), T. Currentzis/Mahler Chamber Orchestra
第1楽章: 7'10"
第2楽章: 7'42"
第3楽章: 5'36" 
アーティキュレイションの処理においても打鍵やペダルの処理においても明晰さが際立ち、いわば離散的に音を積み上げることでショスタコーヴィチ作品の持つ連続的なドラマトゥルギーを見事に構成している。クルレンツィス率いるオーケストラの共感に満ちた歌がメルニコフの理知的な響きに色を添え、現代的な抒情性で全曲を満たしている。
J. Ogdon (Pf), L. Foster/Royal Philharmonic Orchestra
第1楽章: 7'15"
第2楽章: 7'36"
第3楽章: 5'29" 
端正な仕上がり。全ての音が余裕をもって奏でられ、全く無理を感じさせない。肩の力の抜けた明るさが、曲の楽しさを素直に表現している。伴奏もソツなくこなしているが、全体にやや洗練され過ぎか。もう少し土臭い力強さがあっても良いように思われる。
C. Ortiz (Pf), P. Berglund/Bournemouth Symphony Orchestra
第1楽章: 7'24"
第2楽章: 6'49"
第3楽章: 5'43" 
悪くはないが、新盤に比べて幾分雑な面が目立つ。勢いだけで押してしまうところが散見されるのが、この曲にはやや不向き。
C. Ortiz (Pf), V. Ashkenazy/Royal Philharmonic Orchestra
第1楽章: 7'00"
第2楽章: 6'59"
第3楽章: 6'06" 
この曲が持つ開放的な雰囲気を、非常に美しい音で聴かせてくれる好演。淀みない音楽の流れが大変心地好い。これだけ天真爛漫な音楽を聴かされると、ついつい「もっと深いものを」などと考えてしまいがちだが、この曲の場合には余計なお世話というものだろう。録音も優れている。
J. Pierce (Pf), P. Freeman/RTV Sinfonie Orchestra Slovenija
第1〜3楽章: 17'11" 
ライヴ録音ということもあるのだろうが、異様な気合いに満ちた演奏。暴力的なまでのオーケストラには快感すら感じる。リズムが安定しているので、勢いが空回りせずに小気味の良い迫力となって伝わってくる。ピアノ、オーケストラ双方に粗さが目立つことが残念だが、それを補って余りある内容がある演奏。
M. Rubackytė (Pf), S. Lano/Lithuanian National Symphony Orchestra
第1楽章: 7'23"
第2楽章: 7'08"
第3楽章: 5'51" 
ライヴ録音ながらも透明感のある、時に怜悧な響きの美しさが印象的な演奏である。自然な盛り上がりにも勿論不足しないが、基本的にはクールな音楽の運びである。
M. Rudy (Pf), M. Jansons/London Philharmonic Orchestra
第1楽章: 7'32"
第2楽章: 6'23"
第3楽章: 5'29" 
ルディのピアノは非常に美しく陰影に富んだタッチで素晴らしいが、あまりに知的にコントロールされた上品な演奏過ぎて、この曲にはあまり合っていないように感じられる。これは、ヤーンソンスが単に伴奏の位置に甘んじていることも原因の一つだろう。オーケストラ側からの積極的な仕掛けがあれば、また違った印象になったかもしれない。
D. Shostakovich (Pf), A. Cluytens/Orchestre National de la Radiodiffusion Française
第1楽章: 6'32"
第2楽章: 5'32"
第3楽章: 5'16" 
軽やかに音楽が流れていく中で、どこか数学的な崇高さすら湛えている名演。全体に落ち着いた感じになっているのが好ましいが、クライマックスでの力強さにも不足していない。第2楽章は大変美しい。両端楽章ではミスタッチも多いが、尋常ならざる推進力を秘めたリズム感は、この作曲家の特徴をよく示している。
D. Shostakovich (Pf), K. Iliev/Sofia Philharmonic Orchestra
第1楽章: 5'59"
第2楽章: 5'19"
第3楽章: 4'57" 
オーケストラは荒っぽいし、肝心のショスタコーヴィチは勢い余り過ぎてよれよれだが、雰囲気、とりわけテンポ感は抜群。万人に薦められる内容ではないが、ショスタコーヴィチ好きには必携の録音。
D. Shostakovich (Pf), A. Gauk/Moscow Radio Symphony Orchestra
第1楽章: 6'02"
第2楽章: 5'10"
第3楽章: 4'51" 
ショスタコーヴィチの早口な口調がそのまま表わされたような演奏。あっけないほど淡々と進んでいくが、独特の雰囲気がよく表出されている上に、様々に場面が転換していく様子が素晴らしい。2楽章の抒情性も個性たっぷりで良い。細かいアラも多いが、一度は聴いておきたい。
D. Shostakovich Jr (Pf), M. Shostakovich/I Musici de Montreal
第1楽章: 6'49"
第2楽章: 6'02"
第3楽章: 5'09" 
孫のソロ、息子の指揮による演奏。どことなく作曲家自身のタッチを思わせる孫の涼やかなタッチは、この曲に結構マッチしている。マクシームの指揮もツボを押えたスケールの大きなもの。しかしマクシームが求めているものが、この小編成オーケストラの技量やドミートリィ・ジュニアの音楽性とは若干ずれているのか、どこかちぐはぐなように聴こえる。全体的な印象は悪くないが、かといって特別優れているところもない。
F. Uhlig (Pf), J. Stárek/SWR Rundfunkorchester Kaiserslautern
第1楽章: 6'38"
第2楽章: 6'36"
第3楽章: 5'22" 
独奏・オーケストラ共にもう少し美しさを求めたい。特にオーケストラの精度がいまひとつで、平凡な出来。
A. Vinnitskaya (Pf), O. M. Wellber/Kremerata Baltica, Winds of Staatskapelle Dresden
第1楽章: 6'47"
第2楽章: 5'38"
第3楽章: 5'23" 
透明な彩りを持つヴィニツカヤのタッチを愉しむことができる。音楽的にはごくオーソドックスな解釈で、取り立てて個性的とまでは言えないながらも、颯爽としつつも貫禄すら感じさせる佇まいにヴィニツカヤの才能の輝きが窺われる。指揮者の手腕なのかシュターツカペレ・ドレスデン管楽セクションの底力なのかは判然としないが、堂々たる風格のあるオーケストラと才気煥発な独奏との対峙が作品本来の姿以上にスケールの大きな音楽を生み出した好演である。
M. Voskresensky (Pf), V. Jirácek/Prague Radio Symphony Orchestra
時間不詳
とても透明で美しい響きが印象的。しっとりとした美しさが心に沁みる。技術的にも安定しているので安心して聴くことができる。ただ、オーケストラの音がやや遠く、表現力に乏しいように聴こえてしまうのが残念。
M.-K. Kim & H.-J. Moon (Pf)
第1楽章: 7'31"
第2楽章: 5'34"
第3楽章: 5'59" 
ショスタコーヴィチ自身による2台ピアノ用編曲。“伴奏”パートのシンフォニックな弾きっぷりが気持ちよく、時に“独奏”をかき消さんばかりの勢いが素晴らしい。オーケストラとピアノの場合は音色の違いによってそれぞれを区別できるのに対し、ピアノ2台では完全に混然一体となってしまうのだが、それゆえの迫力がこの演奏にはある。両端楽章のコーダのようなところで、特に独奏パートがもたつくことと、第2楽章の憂愁の情感が希薄であっけらかんと単調な音楽となっていることは惜しいが、単なる資料以上の音楽的内容を持つ演奏である。

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Last Modified 2023.01.25

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