バレエのあらすじ

【オリジナル版】

1.序曲
第1幕:「黄金時代」工業博覧会
2.名誉招待客の行列
3.ウィンドウ展示の見学
4.展示品のデモンストレーション
5.手品師と客引き:ヒンズーの踊り
6.宣伝のための懸賞勝負
7.ボクシングの試合でのスキャンダル
情景:博覧会場のミュージック・ホール
8.フォックストロット:燃えるような若者の踊り
9.主催者がジヴァを伴って登場する
10.ジヴァのアダージョ
11.ソヴィエト・サッカーチームの到着
12.ジヴァの変奏
13.ソヴィエトの踊り
14.ジヴァがソヴィエトの労働者を踊りに誘う
15.ジヴァとファシストの踊り
16.黒人と2人のソヴィエト人サッカー選手の踊り
17.ワルツ:爆破工作の陰謀者と決めつけられる─“モスクワの手先”
18.ファシスト達の間での混乱
19.集団ヒステリー
20.フォックストロット…フォックストロット…フォックストロット
第2幕:ある街の通り
21.パントマイム:警察の囮によって追跡され、逮捕される
情景:労働者のスタジアム
22.スタジアムに向かう労働者達の行列
23.ピオネール達の踊り─ダンス:ボクシング、円盤投げ、テニス、クリケット、フェンシング
24.ソヴィエト・サッカーチームが迎えられる
25.サッカーの試合
26.間奏曲:皆が好き勝手に楽しんでいる
27.西側のコムソモール女性と4人のスポーツ選手とのスポーティな踊り
28.全員のスポーティな踊り
29.「赤い前線」〔戦前の反ファシスト組織〕
第3幕:ミュージック・ホール(ディベルテシマン)
30.序曲
31.タップ・ダンス:最高の靴墨
32.タンゴ
33.ポルカ:昔々、ジュネーヴでは─「平和の天使」
34.諸階級の協力
35.カン・カン
36.情景:囚人の解放、全てが暴露される
37.フィナーレ:西側の労働者とソヴィエト・チームの団結の踊り

第1幕

某資本主義国の大都市で、工業博覧会「黄金時代」が開催されている。招待されているファシストの領袖達をはじめとする見物客が、博覧会場を見学する。そこに、とあるスポーツ労働組織によって招待されたソヴィエト・サッカーチームが登場する。全員は、展示品にうっとりとする。博覧会の主催者であるファシストは、最新の大砲のデモンストレーションを行なう。一方、ボクシング用グラブを製造している会社は、宣伝用の試合を行なう。ボクシングのレフェリー達は、インド風の格好をしたり、フロックコートを着たダンディな紳士となって、客引きをする。白人のファシストと黒人との間で行なわれる試合に観客は殺到するが、買収されたレフェリーはファシストに勝ちをもたらす。その結果に憤慨した土地の労働者達は、リングに殺到する。警察が彼らを追い返す。

場面は博覧会場のミュージックホールへと移る。ファシストの青年がフォックストロットを踊っている。テーブルの間をぬうようにして、ウェイトレスやウェイター達が舞っている。そこにファシストの女性ダンサー、ジヴァが博覧会の主催者に連れられて登場する。ジヴァの美しさに夢中になる男達は、彼女に挨拶をする。ジヴァはアダージョを踊る。

土地の労働者に伴われて、ソヴィエトのサッカーチームが登場する。ジヴァはチームのキャプテンに興味を持つ。彼を虜にしようとジヴァはエロティックな踊りを舞い、女性的な魅力をふんだんに見せつける。それに応えるように、サッカー選手達はソヴィエトの踊りを始める。ジヴァはキャプテンを踊りに誘うが、彼はそれを丁重に断り、ブルジョアの観客を憤慨させる。怒り狂ったジヴァはファシストの青年とペアを組んで、エロティックでどぎつい踊りを見せつける。これに対して、黒人労働者とサッカー選手達は「連帯の踊り」を踊る。

キャプテンを誘惑しようとするファシスト達の試みはなおも続けられる。キャプテンはミュージックホールでの祝賀パーティーに招待される。一座の踊りに加わらせるため、ジヴァは彼にシャンペン入りのグラスを持ち寄り、ファシスト達の健康を祝して乾杯する。キャプテンがそれを断ると、ファシスト達は彼に殴りかかる。キャプテンが発作的にサッカーボールを手にすると、ファシスト達はそれを爆弾と勘違いし、爆発を恐れて床に身を伏せる。

第2幕

ある街の通り。キャプテン、黒人労働者、ソヴィエト・サッカーチーム、地区の共産党員が市内観光を行なっている。彼らの後をスパイ達が尾行し、キャプテンのユニフォームのポケットに何枚かの偽造文書を忍び込ませる。それが選手達を逮捕する口実となる。黒人労働者はボクサー風の巧みなパンチで警察からコムソモール娘を奪い返し、彼女と逃亡する。

舞台はスタジアムに変わる。スタジアムではスポーツ労働者達の祭典が催されている。祝典の中ではボクシング、円盤投げ、テニス、クリケット、フェンシング等の競技が披露される。観客達に歓迎されながらソヴィエトのサッカーチームが登場し、サッカーの試合が始まる。トランプ遊びに興じて時間を潰すファシスト達の姿がオーバーラップされた後、再びスポーティーな踊りが繰り広げられる。

第3幕

ミュージッックホールで「黄金時代」の祝日シーンが繰り広げられる。導入は、有名な「タヒチ・トロット」である。この祝日のプログラムは、当時流行していた一連のダンスからなっている。タップダンスや、1920年のジュネーブ海軍軍縮会議を諷刺したポルカなどが踊られる。

ファシストの一人がソヴィエト・サッカーチームのキャプテンに変奏し、「諸階級の協力」なる踊りを披露する。ここで、牢獄と、労働者によって解放された政治犯がオーバーラップされ、西側のコムソモール娘がファシストの正体を暴く。

バレエは、喜ばしい労働の踊りによって幕となる。

 目次に戻る


【1982年版】

第1幕
第1場漁師のボリスのリードのもと、「若き労働者のプロパガンダ・シアター」が芝居をしている。
第2場リタを探しているうちに、ボリスはキャバレー「黄金時代」へと行き着く。
第3場盗賊のヤーシュカが盗みの計画を練っている。
第4場リタとボリスの踊り。ヤーシュカはリタをめぐって喧嘩する。
第5場ボリスとリタは、互いに愛を誓い合う。
第2幕
第1場リタはヤーシュカの誘惑を拒絶する。
第2場ヤーシュカとその手下どもによる強盗。
第3場リタが海でボリスを見つける。盗賊と漁師達との戦い。
第3幕
第1場盗賊の巣窟での陽気な騒ぎ
第2場リタが「黄金時代」での最後の踊りを踊る。
第3場ヤーシュカは前の情婦リューシカを殺害する。
第4場ヤーシュカはリタを人質にするが、捕らえられる。

第1幕

リタは田舎の祭りの群衆の中に交じっている。彼女は「若き労働者のプロパガンダ・シアター」の芝居を楽しんでいる。この劇団は若い漁師たちによって構成され、そのリーダーがボリスである。そこでボリスとリタは初めて出会うが、名前も聞かないうちに彼女は姿を消してしまう。そして、ボリスは彼女を探しに出かける。

リタを探しているうちに、ボリスはキャバレー「黄金時代」に行き着く。そこではショーが繰り広げられている。ショーのスターは2人のダンサー、マドモアゼル・マルゴとムッシュー・ジャックである。実は、マルゴこそ彼の捜し求めていたリタだったのだ。再会できた喜びにひたる2人はジャックがそっと伺っていることに気づかない。

盗賊の一味が次の盗みの計画を練っている。リーダーのヤーシュカがムッシュー・ジャックである。ヤーシュカの情婦リューシカが横合いから登場して、2人の酔っぱらいをだまし、一味は彼から金を奪う。

「黄金時代」に戻ったヤーシュカは、ボリスとリタが一緒に踊っているのを見る。彼はボリスに喧嘩を仕掛けるが、リタが勇敢にも2人の間に割って入る。ヤーシュカは復讐を胸にその場を去る。残ったボリスとリタはお互いの愛を打ち明けあう。

第2幕

自信家のヤーシュカはリタを誘惑しようとするが、彼女はその誘いを拒絶し、ボリスとその仲間たちのもとへと逃げる。

ヤーシュカの一味が再び盗みを重ね、略奪品を持って隠れ家に入る。

リタが海岸に行くと、漁師達が働いている。ボリスと再会した喜びも束の間、盗賊の一味が喧嘩を仕掛けて来る。リタは助けを求めに走り、駆けつけた漁師達はボリスを救い、盗賊の一味を追って行く。

第3幕

ボリスと漁師達が飛び込んだ盗賊の巣窟では、陽気な騒ぎが持ち上がっている。

「黄金時代」では客達が楽しんでいる。リタはムッシュー・ジャックといつも通りダンスを踊らなければならない。

リタは「黄金時代」を抜け出そうと決心するが、逃げようとする行く手をヤーシュカにふさがれ、愛を迫られる。その様子を見ていたリューシカは嫉妬に狂い、ナイフをヤーシュカに投げつける。怒ったヤーシュカは彼女に向き直り、彼女を殺害してしまう。

ヤーシュカはリタを捕まえ、彼女を人質にして逃亡しようとする。しかしヤーシュカは捕らえられ、リタは無事に戻ることができる。ついにリタとボリスは結ばれ、友達とともに幸せを喜び合う。

 目次に戻る


 ShostakovichのHome Pageに戻る

Last Modified 2006.05.20

inserted by FC2 system